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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第2章 神官と第2回公式イベント編
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第49話



「まずは挨拶代わりにこれでも食らえ!」


 私はドランク・アニマプラントへ聖水を投げる。パリン!と瓶が割れ聖水がかかり、ドランク・アニマプラントからジュゥゥ……と音が鳴る。


「ドラワァァァ……!?」


 聖水が身に染みるのか悲鳴が溢れる。そして聖水をかけられヘイトが完全にこっちに向いた。他のプレイヤーはガン無視で私の方へ突撃してくる……私も移動してドランク・アニマプラントを誘導する。これで他のプレイヤーの邪魔にならないね。


「ドラワァァァ!!!」


 黒化したドランク・アニマプラントは黒い花粉をばら撒いてくる。見るからに酩酊だけじゃなくて呪いも誘発しそうな見た目してるな……


「雨のおかげか拡散しにくくて助かるね。周りの邪魔にならない。プルーン!」


「ヒヤァ」


 私の言葉に反応し、プルーンは花粉へ凍結液を吐く。花粉は周囲の雨のおかげでガチガチに凍って地面へと落ちる。


「ドラワァァァ!!!」


 花粉が効果が無いと悟ったドランク・アニマプラントはこっちに駆け出してきた。そして前足を振り上げ、思いっきり叩きつけてくる。


「ドロォォ……」


 その攻撃を肥大化したスチンが受け止める。雨が降っているからすぐに大きくなれる。


「ビリリリリ!」


 動きが止まったドランク・アニマプラントの懐にレモンの放電タックルが叩き込まれる。濡れているからかバチバチバチ!!と激しい音が鳴り響く……範囲が増えていて危うくスチンが巻き込まれるところだったね。


「ド、ドラワァァァ……」


 ドランク・アニマプラントは身体からプスプスと煙を出して後退りする。強化されているとはいえ聖水の弱体化も入ってる。それでこの程度のダメージか……雨で聖水が薄くなったかな?


(雨が想定外の問題起こしてる……前線組大丈夫かな?)


「ドラワァァァ!!」


 身体から立ち昇っていた白煙が消え、更に怒ったドランク・アニマプラントは咆哮を放つ。そして今度はグルッと回転し、鋭い棘が生えた尻尾を振り回してきた。


「ド、ドロォォ……」


 スチンが受け止めたけれど、棘が身体に刺さり、そのまま削り取られたからかダメージがかなり入ってしまった。ドランク・アニマプラントは好機とばかりに追撃を放とうとする。


「ヒヤァ……!」


 その追撃をプルーンの氷柱が阻む。ドランク・アニマプラントは身体が凍るのを嫌ったのか後ろに下がった。氷柱が当たったところに氷が膜のように張り付いている。


「《物理耐性》があるとはいえ、身体を削り取られたらダメージにはなるよね……ライム。回復お願い」


「メキュ!」


 私はライムにスチンの回復を頼んだ。さーて、あれを何度もやられると嫌だな。無駄にスチンにダメージを負わせたくないし……次で仕留めよう。私はストレージから聖水を取り出して更に投げつけた。弱体化が弱いなら……更にかけて上乗せすれば良い。


(こちとら製作者……消費することに躊躇は無い)


 聖水漬けにしてやろう。雨で薄まっても問題無いくらいにね……


「おい、あの人めっちゃ聖水使ってね?あれいくら分使ったんだ?」


「惜しまず使えとは言われたが……あんだけ使うのは流石に」


「てか聖水の殆どは前線組が持ってて、俺たちは3本ぐらいしかねぇしな……おっ、ゴブリンコマンダー倒せた」


「ヘビィスネークも討ち取ったりー!!次は悪魔だー!!」


 向こうは悪魔以外片付け終わったようだね。ならこっちも終わらせよう!


「ドラワァァァ!!!」


「ドロォォ……」


 聖水をかけられまくって怒髪天状態のドランク・アニマプラントが突進してくる。それを回復したスチンが受け止めた。弱体化でパワーが落ちてるね……


「ビリリリリ!」


「ヒヤァ!」


 動きが止まったドランク・アニマプラントにレモンとプルーンの攻撃が叩き込まれる。しっかりと弱体化させ、今までの蓄積もあってドランク・アニマプラントは地面へと倒れ消えていった。ふぅ、ようやく片付いた。


「あとは偽悪魔だけだね」


 追加が来るまではの話だけど。そんな偽悪魔は現在大暴れ中……腕を振ってパートナーたちを蹴散らし、呪いを撒き散らして苦しめている。なんか襲撃で出てきた時に比べて活発な気がする。こっちは強くなっていく雨のせいで動きが鈍くなっていってるのに……私はボディスーツがベースだからそんな影響無いけど。


「チッ!こいつ聖水かけてんのにあんまり効いてる気がしねぇ……」


「本家が復活したせいでこいつも強化されまくってんだろうな……とりあえず囲んで叩け!」


「ちょ、流れ弾で呪いが……」


 偽悪魔と先に戦闘をしていたプレイヤーたちはかなり苦戦していた。少数精鋭で来ているからダウン者が増えると戦線が崩壊してしまう。


「ライムはHPの治療。アセロラは一応ライムの護衛……私たちはあいつを抑えるよ」


 好き勝手に暴れられてると立て直しができないからね……倒すまでとは言わずとも足止めはしよう。


「ヒヤァ」


「ギィヤァァァァ!?」


 爪を振り回して好き勝手暴れている偽悪魔の顔に氷柱が直撃する。周囲の水分量が多いから氷柱のサイズも一回り大きくなり威力が上がっている……そのせいか思ってたよりも威力があったみたい。


「ギィヤァァァ……ギィヤァァァァ!!」


 顔に氷柱を突き刺さった悪魔は怒りの眼でこっちを見た。そして呪いの塊を作り出すと思いっきり投げつけてくる……だけどその攻撃は効かない。


「黒スラガード!」


「ノロォ!」


 私は抱えていた黒スラを前に突き出す。黒スラは呪いの塊に向けて身体を伸ばして……パクッと食べてしまう。


「ギィヤァァァァ!?」


「ふっふっふっ……私に呪いなんて効かないよ。最強の盾があるからね」


「「「(確かに最強の盾だけど、仲間を躊躇無く盾にしたの怖……!)」」」


 ん?なんか聞こえたような気がする……雨の音のせいで聞き取れなかった。きっと私の作戦を称賛する声だったでしょ……きっと、多分。

 偽悪魔は呪いの塊を何度も投げつけてきたが、全て黒スラが食べてブロックした。


「ギィヤァァァァ!!」


 偽悪魔はいくら呪いを投げても無駄だと理解したようで、腕を振り上げて突撃してきた。やっぱこいつ呪いの塊以外に遠距離攻撃無いの弱点だよね。しかも呪いの塊はデバフがキツいだけでダメージは無いしね。


「ギィヤァァァァ!!」


「ドロォォ……」


 悪魔の振り下ろしをスチンが受け止める。ただの振り下ろし程度なら問題無し……引っ掻きなら削られてただろうけどね。スチンは攻撃を受け止めると肥大化した身体を活かして動きを封じ地面へ叩きつけた。


「ギィ、ヤァァ……!」


 悪魔は思いっきり地面に叩きつけられたことで一時的に動けなくなった。その隙を逃さず黄色い影……レモンが踊りかかる。


「ビリリリリリリ!!」


「ギィヤァァァァ!!?」


 動けないところにレモンの放電をまともに食らって偽悪魔は悲鳴をあげた。私もここぞとばかりに聖水を投げ込んでおいた。少しでも弱くなれ。


「ギィヤァァァァ!!!」


「んー、やっぱり倒し切れないか……まぁ、腐っても悪魔の配下だからね」


 私は腕を振り回しながら飛び起きた悪魔を見て小さく呟いた。こいつ、強化云々関係無く元々がタフだったからね……襲撃の時も割とボコボコに殴られてたのに死ななかったし。

 こいつに対する評価としては高耐久と弱体化を合わせた重戦士って感じ。ゲームとかで割と嫌われるタイプだね……呪いじゃなくて毒だったら特に。


「まぁ、目的は遂行済みだけどね。私の言葉が分かるなら周り見てみ?」


「ギィヤァ?」


 私の言葉を聞き、偽悪魔は周囲を見回した。偽悪魔の周囲には呪いの解呪やHPの回復を済ませたプレイヤーとパートナーたちが居た。


「ギ、ギィヤァァ……」


「レモンの放電で身体が麻痺してるし……ここからは袋叩きだね♪」


 その後の偽悪魔の結末は言わずもがな。偽悪魔は囲まれ殴られジワジワと袋叩きとなり……悲鳴のような鳴き声が本当の悲鳴となって消えていった。


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[一言] 囲んで叩く、これが頭ゴブリンでも出来る必勝法よ!
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