第46話
改稿作業終了
チマチマと修正加筆するかもしれませんが
温かい目で見てくれると嬉しいです
「良い天気……お昼寝日和だね」
4日目。私はダンジョンの攻略や薬の生産などをせず、拠点の片隅でスチンに寄りかかりながら昼寝をしていた。
別にサボってるわけじゃないよ?ただ単に休憩中なだけだから……あとはできた自由時間を悠々自適に過ごしてるだけ。
(状態異常の対策。それを委託したから自由時間が増えたんだよね……)
委託というか、状態異常対策の薬をどう作れば良いのか。そのコツを教えた。今頃、調薬できるプレイヤーたちが人海戦術で実験をして生産に取り組んでるでしょ。
あっ、ちなみに聖水に関してはなんも教えてない。というか作り方自体は知られてるし、肝心な素材を手に入れるのがちょっと難しいだけで。
(そういえば、沼地の霊結晶ってもう採取できるのかな?)
採取できるようになったとしても、教会に所属したことで行く必要が無くなった。沼地の素材も浄水草くらいしか使ってないしね……あとは悪臭の実ぐらいか。あれ怖くて全然手をつけられてない。流石にイベント終わったら手をつけよ。
「壁画と調査と考察。あとはメタ的な部分で、明日のお昼くらいに悪魔が復活して決戦だったかな?」
なんかあの壁画。古代語も書かれてたらしくて……アーカイブのメンバーの人にそれを解読できる人が居たんだよね。その結果、この島には強大な悪魔が封印されていて……黒いモンスターたちや昨日の悪魔は封印が破れる予兆なんだとか。そんな予感は感じてたけどね……だってこれゲームだし。
「私も自分の仕事しなきゃだね。頑張って聖水作らないと」
実は呪いの欠片を霊結晶にする方法が他のプレイヤーの手によって発見され、霊結晶のアドバンテージがほぼ無くなってしまった。光属性はそこそこいるからね。
(光属性のモンスターの体液、もしくは能力を使えばOK……そんな簡単な方法だったとは。バレるのも仕方ないよね)
しかし素材があったとしても質の良い聖水を作るのは難しい。作成に失敗しまくって素材が無駄になることと、他の状態異常の対策で人員が足りていないから、作り慣れてる私が聖水を作ることになった。素材は全部用意してくれるし……報酬も美味しい。
まぁ、今は霊結晶が溜まってないから仕事してないんだけどさ。既に1回納品してるから文句は無いでしょ。私はそんなことを考えながら暖かい日差しに身を任せた。
ぐぅぅぅぅ……
「お腹空いたね……お昼食べに行こうか」
私はお腹を鳴らしつつ起き上がった。餓死しないようにご飯食べないと……ライムたちには朝に与えてあるからまだ大丈夫。スライムは燃費が良いのか朝と夜にあげれば問題無い。偶におやつであげてるけどね。
「プレイヤーも普段は2食でもいけなくはないんだけど……こういうイベントだと3食食べないと満腹度の調整しにくいんだよね」
まぁ、炊き出しのスープ美味しいんだけどさ。料理できる人が居て良かった……居なかったら肉にニトロハニー塗って焼くしかなかったかも。
「過剰に食べたら死ぬ料理ができそうだけどね……」
ニトロハニー。最終日に余ったら全部渡して料理に使ってもらおうか。最後の晩餐で。エナドリの代わり兼非常食で持ってきたやつだからね……使い切っても問題無い。在庫はまだまだあるしね。
「今日はウサギのシチューか……ご飯欲しいな」
今日のご飯はじっくりコトコト煮たウサギのブラウンシチュー……ご飯にかけて食べたいね。ちなみにチェリーはシチューにパン派だから、この話をするとちょっと論争が起きる。
(チェリーはミリアちゃんとダンジョンに行ってて良かった……)
てかあの2人。中々に奇抜な感じになってきてるんだよね……キツネとウサギは兎も角、トーテムポールとモアイ像のインパクトが強すぎる。確か、モアイ像の名前はイースター……モアイ像のある島の名前だったかな?
(地名そのまま付けるって中々だよね……)
ちなみにイースターは壁役で。大きく硬い身体で攻撃を防ぐ役割を担っている……浮遊する盾ってだけで強いよね。その盾がモアイ像だからとんでもなくシュールな光景になるけど。
頭にプカプカと浮きながら攻撃を防ぐモアイ像を想像しつつも、私はシチューを完食した。ご馳走様でした。
「お腹も満足したし、霊結晶も貯まっただろうから聖水作ってこようっと」
私は空になった器を片付け、生産の小屋に霊結晶を受け取りに向かおうとした。と、その時。
「襲撃!襲撃!北側にモンスター!悪魔は今のところ未確認!」
お手製のメガホンで拡声された声が拠点内に響いた。あのメガホン、腕のある木工職人が作ったからか声が凄い大きくなるんだよね。最初に使った際、作った人と使った人もどれだけ大きくなるか分からなくて……拠点内に爆音で『カレーが食いてぇぇぇ!!!』が響き渡った。
(あれは笑うどころかキョトンとすることしかできなかったね)
なお、カレーはスパイスが足りず作れていない。シチューとかも昨日ぐらいにやっと完成したらしい。
(そんなことは今はどうでもいい。襲撃の対処しなきゃ……)
参加しなくても良さそうなんだけどね……でも今生産班は忙しいだろうし。昼寝した分、戦闘して働いてこよ。
「うわぁ……雑魚敵に上級者向けにいるモンスターが紛れてる。私も参加して良かったね」
拠点北に駆け足気味で移動し、襲撃を見た私はモンスターの中身を確認した。状態異常を使うモンスターの数が少し減っているけど、シンプルに厄介なやつが増えてる。
(戦闘班は明日に備えて殆ど素材集めに行ってるからね……)
報告通り悪魔は居ないから拠点に居るメンバーだけでなんとかなりそうだね。私はアセロラの火炎放射でケイブスパロウの処理を優先しよう。壁を簡単に越えられるからね……飛行能力持ちは厄介。
「アセロラ。鬱陶しい鳥たちを焼き鳥に変えちゃって」
「メララ!」
アセロラの火炎放射が空へと放たれ、飛び回っていたケイブスパロウたちを落としていく。状態異常持ちは他のプレイヤーが倒してくれてるから、ケイブスパロウだけに集中できる。パフュームバタフライも追加されてたけど……動きがゆったりしてるから鱗粉を撒く前に処理できてるね。
「「「ピュルリリリ!」」」
仲間が次々と堕とされていき、怒ったケイブスパロウたちはアセロラ目掛けて突撃してくる。だけど近づいてくれるのは僥倖、より多く焼き鳥にできるからね。
「ビリリ!」
「ヒヤァ」
アセロラの撃ち漏らしはいつも通りレモンとプルーンが処理、他のモンスターが襲いかかってきてもスチンが防いでくれる……お決まりのパターンだね。
「ふぅ、ケイブスパロウの片付け完了。あとは任せてもOKだね」
面倒な奴だけ片付けて私は拠点内に戻った。さてさて、そうしたら私は仕事の方を……
「あっ、お〜い。ココロちゃ〜ん」
「ん?」
私が生産小屋に向かっていると、チェリーに声をかけられた。近くにはミリアちゃんも居るね……モロコシ尻尾増えてない?
「帰ってきてたんだ。で、なんか用?」
「え〜とね。もし良かったらこのあと一緒に迷宮に行かない?折角のイベントだしさ」
「迷宮?」
チェリーとミリアちゃんと?行くとなると中堅向きだよね……私が行っても旨味が無いね。
(でもまぁ、思い出にはなるか。それにミリアちゃんも期待の目で見てきてるし)
あんなに目をキラキラ輝かせれてると断りにくいしね。まっ、気分転換がてら行ってこよ。
(レモンとアセロラがハッスルしないように気をつけよ……モンスターが可哀想になりそうだからね)
私は迷宮と聞き、やる気に満ち溢れているレモンとアセロラを見てそんなことを考えていた。




