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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第2章 神官と第2回公式イベント編
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第35話



「あっ、そういえばファストロンに来たのにクイラさんの所に顔出すの忘れてたね」


「メキュ」


 テイマーギルドにシンフォニアで受けた依頼の薬を納品(他の町でも納品可能。転移技術ですぐに送れるらしい)した後、淘汰の大森林に向かおうとしたところでクイラさんのことを思い出した。流石に温泉から帰ってきてるよね?


「てかライム以外は初見だね……レモンもクイラさんと別れてから仲間にしたし」


「ビリ?」


 こんな大世帯で行ったら驚かれるかな……いや、私の格好で驚かれるか。あの時こんなに露出度の高い服着てなかったし。何事!?って思われそう。


「懐かしいね。このハガネツルだらけの建物……庭が雑草まみれになってる」


 頑張って綺麗にしたのに……これもしかして帰ってきてない?


コンコン


「あれ、無反応?お昼過ぎだしねてる訳じゃないんだろうけど……」


 玄関のドアをノックしてみたけど反応無し。なんやかんやあの人規則正しい生活してるんだよね……実験の爆発は多かったけど。本当になんであんなに爆発してたんだろうね?


「ニトロペッパーとかを処理せず放り込んだりしないと爆発しないよね……」


 あの人パートナー居ないから処理しないで放り込みそうだし。私が今になって理解してきた爆発の原因に冷や汗を出し始めていると、右隣の家の玄関が開いた。そして女性が出てくる。


「おや?クイラ先生のお客さんかな。クイラ先生なら先日温泉から帰ってきて、そのまま東のイスティリアに行っちゃったから居ないよ」


「あ、そうですか……ありがとうございます」


 私はお隣さんにお礼を言い、クイラさんの家を後にした。あの人帰ってきて早々に別の町に行ったのか……


(イスティリアは淘汰の大森林の先の先の町だね……)


 かなり遠い。少なくとも今の私たちでは辿り着くのは無理だね。淘汰の大森林の表面で苦戦してる現状ではね。


「プルーンがそろそろ進化だけども……それでも難しいか」


 私はミント味の飴を口に入れて頭をスッキリさせて思案していった。その時、運営からメッセージが届いた。内容はアップデートと第2回公式イベントの告知。そして第2陣の参加についてだった。


「アップデートはクラン機能の追加に、細々とした不具合の修正や調整……あとダンジョンも追加されるんだ」


 クランはプレイヤーが集まって作るもの。これは前に告知されてたね……私は今後もソロの予定だから全く気にしていなかったけれども。頭の片隅にでも置いとこう。

 ダンジョンの追加に関してはファストロンとセカンディアに1ヶ所ずつ新たにダンジョンができる。ファストロンのはスライムやゴブリンなどが出てくる、戦い方を学ぶためのダンジョン。セカンディアのは獣系、鳥系、植物系メインの料理の素材が多く取れるダンジョン。植物系のモンスターは戦ったことも出会ったこともないからちょっと気になる……行ってみようかな?


「イベントは無人島でのサバイバルね……これまた王道なイベントだね」


 イベントの開催は今週の日曜日。時間加速機能を使うことでリアル5時間をゲーム内では5日間にするらしい。


(時間加速。一時期話題になったね)


 フルダイブ式VR技術の発展で生まれた機能。電脳空間内の時間を加速することで仕事の効率を上げたりするのを目的とした機能なんだけど……長時間の使用によるリアルの時差ボケ、事務仕事は早くなっても現場や配達は早くならないなどの問題点が出てあんまり使われなくなったけど。

 それにこれを悪用した企業が出て国の許可が無いと使えなくなり、最大でも8時間しか使うことができないようになった。


「とりあえず概要ちゃんと見よ」


ーーーーーー

第2回公式イベント 

タイトル

【The Survival Devil Island】

開催期間

8月21日(日)12時〜17時

ストーリー

船旅を楽しんでいた貴方は無人島へと漂着した。助けの船が来るまでの5日間、他のプレイヤーと協力して生き延びろ……この悪魔の島で。

概要

・プレイヤーは約500人ずつランダムでサーバに振り分けられます。

・イベントには5種類、各20個までアイテムを持ち込むことができます。

・イベント中、行動により貢献度ポイントを獲得します。イベント終了後、貢献度ポイントを基に各サーバー内で貢献度ランキングが発表されます。

・イベント中、無人島の発展率に応じて発展ポイントがサーバー毎に獲得できます。イベント終了後、各サーバーの発展率を基に発展度ランキングが発表されます。

・貢献度、並びに発展度は戦闘だけではなく、生産でも獲得することができます。

・イベント終了後、ランキングに応じた報酬が与えられます。


※イベント参加には予め参加登録が必要です。

※イベント中に獲得したアイテムは、一部を除いてイベント終了時に獲得できます。

※第2陣プレイヤーはイベント中、経験値獲得量が増加します。

※このイベントは時間加速機能を使用します。

ーーーーーー


 説明長……前のやつよりちゃんと練られてる感じがする。


(悪魔の島……嫌な予感がするね)


 無人島で悪魔……頭がタコの船長が出てきそう。クラーケンを引き連れて。


「てかこのイベント、私には割とキツイなぁ……顔出ししなきゃいけないし」


 貢献度稼ぐのに調薬をする気なんだけど、作る薬が丸薬ばっかりで簡単にバレそうなんだよね。ブラックリストに放り込んだやつと同じサーバーになったら面倒。配慮とかされてるだろうけどさ……されてるよね?


「うーん……まぁ、バレたらバレたでどうにかなるか。最悪、GMコールという最終兵器あるし」


 面倒な輩はGMに出荷。出荷先でどうなるかは……神のみぞ知るってやつだね。でもこれは最終手段にしたい。ポンポン使ってると何かあった時にすぐに使う癖になりそう。何でもかんでもGM任せは良くない。

 最後に第2陣の参加は……今週の金曜日からだね。始めて2日目でイベントって早くない?イベントの難易度調整ちゃんとしてるよね?


「第2陣向けに安めの薬を用意しておくか……下級とかなら第1陣のプレイヤーも買わないでしょ」


 流石に中級買うはず……買い占め防止で購入制限はちゃんと付けとくけどね。第2陣って2000人居るみたいだから、すぐに売り切れそう。


(下級系の素材は余ってたし……良い金策になりそう)


 かなり安めに売るから数のゴリ押しになるけどね。溜まったままだった素材の処理もできるし丁度良い。


「第2陣が来るのは今週末。今から準備を進めとこ」


 その前に淘汰の大森林で素材集め。プルーンの進化も終わらせよ。私は頭の中で計算しつつ淘汰の大森林に向かった。



『個体名:プルーンのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』


 蜂蜜を集めるためにエナジービーをボコボコにしていると、プルーンが進化できるようになった。地味に時間かかった……


「さーて、進化先はどんなのかな?」


ーーーーーー

ハイフロスト・スライム

強力な冷却能力を持つスライム

水に反応して凍結する液体を放ち、体内で生成した氷を射出し攻撃する

また生成する氷の鎧は分厚くなり、鋭い霜が生え安易に触れることを許さない

長時間持っていると凍傷になるため注意

ーーーーーー


 そういえば氷の鎧のこと忘れてたね。まぁ、凍結液を撒くだけで強かったし。今回の進化でかなり強化されたから今後は使ってみようか。


(進化後の変化はほぼ無いね……少し透明度が上がったくらい?)


 ハイ系は進化後の変化が少ないよね。ステータス見よう。


▽▽▽▽▽▽

プルーンlv1/40

種族:ハイフロスト・スライム(第2進化)

HP:80/80

MP:70/70

スキル

《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》《氷無効》

《凍結液作成・Ⅲ》

水分に反応して凍る凍結液を作り出す

一度に出せる量が増え、凍りつく速度がより早くなっている

《氷柱針・Ⅰ》

鋭い氷柱を体内に生成し射出する

時間をかけるほど氷柱は硬く鋭くなっていく

《霜氷鎧・Ⅰ》

全身に鋭い霜の生えた氷の鎧を作り出す

鎧は火で溶け、打撃で砕かれやすい

△△△△△△


 氷の鎧がスキルになったね。ただ火と打撃に弱いか……まぁ、氷だしね。


「でも火と打撃ならスチンでなんとかなるね」


 逆にプルーンはスチンが苦手な雷とかの防御ができる。スチンとプルーン。それぞれが苦手をカバーし合える。思ってたより良い進化だったね。


「ビィィィ!」


「おっ、丁度良くエナジービーが来たね」


 まずは凍結液から使ってもらおう。


「ヒヤァァ」


 プルーンが出した凍結液は進化前よりも飛距離が伸び、広く散布されエナジービーを包み込んだ。エナジービーの羽が凍り始め、エナジービーは飛べなくなり地面に落ちた。なんか思ってたより強化されてて笑うしかない。


「ヒヤァ」


 地面に落ちたエナジービーにプルーンは15cm程の氷柱を打ち込んでトドメを刺した。あれが《氷柱針》……怖。

 最後に《霜氷鎧》だけど、エナジービー相手に使ってもらったら、エナジービーの針が通らず霜の棘でジワジワと削っていた。だけどある程度の攻撃を受けたところでヒビが入っていったから過信はできないね。


(バトルスカー・グリズリーの攻撃だと一撃で粉砕されそう……)


 攻撃力が高い相手には気をつけないとだね。さーて、これであとは私のlv40を残すだけ……これも今日中にできそうだね。


「ま、新しい子は拠点を手に入れるまではお預けだけど」


 私は小さく肩を竦める。よーし、拠点のために金策頑張るぞ……あと60万G必要だけど。


(ローン組めないもんかね?)


 そんなことを思いつつ、私はニトロペッパーなどの危険物をチマチマと採取し。夜は薬を作ってプレマに流す。第2陣が来るまではそんなルーティンを繰り返していったのだった。














 なお余談として。運営からのメッセージがあった日の夜。寝る前にスマホを見てみたら桜から『【MEO】の第2陣当たった〜』とメッセージが来ていた。証拠としてか当選しましたって運営のメールの画像も添付されてる。


「…………豪運過ぎてビックリだね」


 私は小さく「ハハハ……」と笑った。


桜と主人公をガッツリ絡ませる気は無いです

多分、主人公は今後も基本はソロで行きます

そもそもパーティーになられると作者の文才じゃキツイ

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