第33話
忙しくてストックが切れてきてしまった
頑張って書いてはいますが、そのうち毎日更新が止まるかもです
バン!バババン!
「っ!採取また失敗した。痛った……」
「メキュ」
爆竹みたいな音が鳴り響く。手にダメージを食らって悶絶していると、ライムが私の手に治療液をかけてくれた。赤くなってたのが治っていく。
(ニトロペッパー……本物の火薬みたいに爆発。ここまで採取するのが難しいと思わなかった)
赤く熟れた実。触れるとポロッと取れて爆発……緑色の実は爆発しないんだけど、赤くないと効果が発揮されない。素手での採取はほぼ失敗するから、予め用意しておいた採取用の鋏で丁寧に採取している。それでも失敗して痛い目に遭ってるんだけど。
「にしても今回は派手に音が鳴ったね……これはやってしまった」
爆発して大きな音を鳴らす。その行為がこの淘汰の大森林で意味すること……それは。
「ビィィィ!」
近くに居るモンスターを呼び寄せてしまうということでもある。音に引き寄せられたエナジービーがブゥゥゥン!と羽音を鳴らして向かってきた。
「ビリリ!」
「メララ!」
エナジービーの羽音を聞いたレモンとアセロラが臨戦体勢に入る。そしてエナジービーがプルーン目掛けて突撃し、針を突き刺そうとした瞬間にレモンの放電タックル、アセロラの炎上タックルがリズムよく叩き込まれた。
「ビィィィ……」
黄と赤の2連撃を受け、エナジービーは地面に落ちて光になった。レモンとアセロラ……初戦の影響なのか、エナジービーへの殺意が高いんだよね。見つけ次第総攻撃……被害は無いから良いことだけど、毎回フルパワーで攻撃すると消耗か大きいから控えて欲しい。
(まぁ、火炎放射を使ってないからマシか)
私はそんなことを思いつつ、ニトロペッパーの採取を続行した。
「これだけあればしばらく持つかな……いや、もう少し集めとこう」
実験でどれだけ消費するか分からないからね。扱いが難しい素材だから失敗して最初の方は無駄になりそうだし。
「てかこの森。扱いの難しい素材が多いんだよね……」
簡単に潰れ、その汁が素肌に付くと火傷するアシッドベリー。下手に触れると破裂し強力な睡眠効果のある花粉がばら撒かれるスリープリリー……全部1回は採取失敗して大変だった。
「スリープリリーは私にしか効果がなくて助かったね……ライムたちにも効いてたら全滅してたかも」
《悪食》で無効化されて良かった。起こし方が私の上で跳ねるって乱暴なやり方だったのはあれだけど。地味に君ら重いんだからね?
「シャァァァ!」
私が起こされた時のことを思い出していると、ズルズルと赤黒い大蛇が這い出してきた。うわ、こいつは……
「ブラッドパイソンかぁ……うーん、面倒」
こいつ、地味にバイオレンスな設定あるんだよね……こいつの体色は血が吹き出るほど強く絞め殺した獲物の返り血で染まったっていう。
「シャァァァ!」
ブラッドパイソンは威嚇すると私に向かって滑るように向かってくる。まぁ、絞め殺せるのは私くらいだもんね……でも素直に絞め殺されないよ。私には優秀な護衛がいるからね。
「ビリリ!」
「シャァァァ!?」
私に巻きつこうとした瞬間、レモンが放電タックルを叩き込む。ブラッドパイソンは麻痺し動きが鈍るが、キッ!と目を鋭くすると私に向けて噛みつこうと首を伸ばした。
「メララ!」
麻痺を乗り越えた決死の一撃はアセロラの炎上タックルが横から襲いかかって沈められた。それでも起き上がろうとしたが、プルーンの凍結液をかけられて動けなくなった。やっぱり爬虫類は寒さに弱いね。
「こいつとやる時はプルーンの凍結から入ろう。その方が楽そうだし」
えーと、こいつの素材は皮と牙……どっちも薬の素材にはならないみたい。これは売る素材行き……
「「ウキィィィ!」」
「もう次が来た……しかも面倒なやつが」
今度はデカい骨を武器のように持ち、頭に獣の頭骨を被ったサル、ボーンモンキーが2匹出てきた。こいつらは木を登って上から攻撃してくる……武器の硬い骨(原始人が待ってそうなやつ)で殴ってくるか、拳程の骨の塊を投げてくる。ウザいのはそれを仲間と組んでやってくること。
「ウキィィィ!」
「ウキャァァ!」
私がボーンモンキーに苦い顔をしていると、ボーンモンキーたちが攻撃を仕掛けてくる。片方がレモン目掛けて骨を振り上げて突撃し、もう片方が骨の塊を投げつけてくる。
「ビリリ!」
「ドロォォ……!」
「ウキャァァ!?」
棍棒を振り下ろしてきたボーンモンキーは攻撃を避けられ放電タックルの餌食に、投げつけられた骨の塊はスチンが身体を大きくし包み込むように防御した。
「ウ、ウキィィ……」
「ビリ!」
放電で麻痺したボーンモンキーはレモンがトドメを刺した。骨の塊を投げたボーンモンキーは仲間がやられた途端にトンズラしていった。あいつ……仲間を見殺しして逃げやがった。
「逃げていくモンスターはこいつが初めてだよ……しかも素材ショボいし」
武器にしてた骨だけとか何に使えと?説明もただの骨としか出ないし……お金になるかな?これ。
「なんかここに居るとどんどんモンスターが来そうだし……移動しよ」
ニトロペッパーもある程度採取できてるしね。私は次の採取場所に移動した。移動中は息を潜めて慎重に……じゃないとヤバいのと出会すかもしれないから。
「グォォォォ!」
(あっ、あいつはマズいやつだ……ライムたちにストップの合図をしないと)
私は全身に赤い傷跡のあるクマ、バトルスカー・グリズリーの姿を見て隠れる。あいつはこの森の表層では1番強いモンスター……シンプルに身体能力が高く、麻痺や火傷に耐性があって相性が悪いんだよね。アセロラが不用意に動いて見つかって、戦闘したら壊滅しかけた……
(怯まないし止まらない。スチンが大きくなって盾になってくれなかったら全滅してたね)
スチンの防御力に感謝。勝てたのは運が良かったからもあるし、あいつとはしばらくは戦いたくない。
「グォォォォ!」
「…………行ったね」
バトルスカー・グリズリーは咆哮を上げるとノシノシと何処かへ去っていった。こっちに来なくて良かった……
「おっ、あいつが居たところ。採取したことの無い素材がある……これも危険なやつだけど」
確か棘に猛毒が滲み出ているベノムローズって素材。生半可な革の手袋は貫通するから結構危ない。私の手袋とかセカンディアのやつだから簡単に貫かれるね。
「触れないように気をつけよう」
私はチョキン!チョキン!と鋏でベノムローズを切っていく。手に取る時には棘に触れないように慎重に……よし、OK。
「トングとかも用意すれば良かったかな?ファストロンに置いてあるだろうし……後で探してみよう」
っと、そろそろ帰らないと。このままだと夜の大森林を歩き回ることになる……ここの夜とか怖過ぎる!
「えーと、橋は……あっちか」
地図で橋の位置を確認し、私たちは暗くなる前に淘汰の大森林から帰還した。途中、エナジービーやボーンモンキーに絡まれ、時間がギリギリになったのには焦った。
「軽く買い物したら実験だね……実験も怖いなぁ」
今使ってる器具でいけるか?ちょっと気をつけて実験しよう……私は採取したものに危機感を持ち始めながら、ファストロンへの帰路に就いた。




