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スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 ゲームスタートと第1回公式イベント編
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第3話


「ここであってるよね?凄い建物だね……」


「ピュキ」


 私とライムは蔦まみれの建物を見上げていた。紹介状を渡された時に教えられた場所に来たら、蔦で覆い尽くされた建物に出会したからね……整備してないのかな?庭も雑草が生え散らかしてるし。


「とりあえず入ろうか」


 私は玄関の扉をノックした。だけど反応が無い……留守かな?


「ピュキ!」


「あっ、ライム!」


 私が出直そうかと思ったら抱えていたライムが飛び出して扉に体当たりした。扉は軋みながらゆっくりと開く……鍵かかってない。居るのかな?


「ピュキ!ピュキ!」


 私が開いた扉に若干呆然としているとライムが跳ねて中に入っていってしまった。自由過ぎるよ……


「お邪魔しまーす。誰かいませんか?」


 私は声を出しながら中に入った。薬品のような匂いが少しする……とりあえずライムの後を追わないと。


(物が散らかってる……整理整頓が苦手な人なのかな?)


 薬って埃とかアウトな気がするんだけど……私がそんなことを思っているとライムが騒いでいるのが聞こえてきた。


「どうしたのライム……って、大丈夫ですか!?」


 ライムの元まで行くと白衣を着た女の人が倒れていた。私は慌てて近づこうとした……その時。


ぐぅぅぅぅ……


 倒れている人から空腹を訴えるような音がした。……まさかと思うけど倒れてる理由って。


「お、お腹空いた……何か食べるものを」


「えぇ……」


 私はゾンビのようにこっちは手を伸ばす女の人を呆れるように見つめた。



「いやー、助かったよ。実験に熱中しててもう3日も食べてなかったんだよね。にゃははは……」


「そんな生活してたら死にますよ?」


「ピュキ……」


 私が外で買ってきた食べ物を食べながら女の人……クイラさんは笑いながら私にお礼を伝えてきた。私とライムは若干呆れている。熱中して食事を忘れるとか割と狂人だよね。


(癖があるで片付けて良い問題じゃない……)


 とはいえこういう人は普通の人よりも技術が凄いっていうのが定番。多少の苦労は飲み込むか……


「ところで紹介状のことなんですけど……」


「あー、これね。まぁ、受けても良いよ……というか受けないとテイマーギルドから素材卸して貰えなくなっちゃうし」


 クイラさんはピラピラと紹介状を振った。面倒そうな顔してる……まぁ、素直に受け入れて貰えないか。


「何度も受けたけど皆すぐ居なくなるんだよね……勝手に消えられるのに私が怒られるし」


 あー、これ歴代の習いに来た人たちのせいで相当ムカついてるわ……ちょっとマズいかも。ヤバい実験に付き合わされたりする?


「というわけで受ける前に試験というか……ちょっとやって欲しいことがあるんだよね」


「やって欲しいことですか?」


 私が少しビクビクしながら提示されたものは……庭の草毟りだった。えっ、草毟り?


「もう見てると思うけど私の家の庭って雑草が凄かったでしょ。あの庭色々薬の材料になる植物植えてるから雑草をある程度引っこ抜いて欲しいの。(雑草生えまくったの自作した成長促進剤のせいなんだけど)」


 なんか最後ゴニョゴニョ言ってる……何言ってるか気になるけど、聞いたところでやること変わらないだろうからやめとこ。


「雑草と間違えて薬草抜かれちゃうと困るから……うちの庭に植えた薬草を纏めた手帳を渡すよ。簡単な絵に特徴のメモも書いといたからなんとかなるでしょ」


 クイラさんはそう言って若干ボロボロな手帳を渡してきた。パラっと開くとほぼ殴り書きな文章と落書きのような絵が見えた。文字は日本語だけども……


(これ参考にし難い……)


 読みにくいし絵も分かりにくい。これはテイマーギルドで調べたりしないとマズいかも……まぁ、うっかり雑草以外に触れたりしてもそこまで危険じゃないかな。そんなのが家の庭に植えられてないだろうし……私はそんなことを考えていた。しかしそれを否定するかのような言葉がクイラさんから放たれた。


「あっ、ちなみに植えてる中には雑に扱うとヤバいのもあるから……気をつけてね?」


「……気をつけます」


「……ピュキ」


 こうして薬の作り方を習うはずの私は危険と隣り合わせな草毟りをすることになったのだった。このゲーム、町中でも普通に死ぬって話だから気を抜いたら死ぬなぁ……


(これ草毟りじゃなくてマインスイーパーだよ……)


 町中なのに死の危険と隣り合わせは勘弁してほしい……

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― 新着の感想 ―
[一言] 数字がないマインスイーパーじゃないですか。やだー! とんでもスパルタ授業だよ。 え、まだ弟子入り試験? ははは、またまたご冗談を。
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