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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 ゲームスタートと第1回公式イベント編
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第19話




 更に日が進んでイベント最終日。私の攻略数はようやく50に到達した。多分私ダントツでビリだろうなぁ……ちょいちょい薬作りや素材集めしてたし。


(そろそろ霊結晶を取りに行きたいんだけど……まだ出待ちしてるやつがいるんだよね)


 そのせいで採取しに行けない。霊結晶は光ってるからこっそり採取することも難しい。ライムの浄化液が聖水として使えるから困ってないけども。売る分の聖水が枯渇しそう。


「プレイヤーマーケットには『素材採取できないため聖水は品薄になります』って告知してるから大丈夫だろうけど」


 それ書いてからなんか沼地に殺気立った人が増えてきた気がするけども……怖くて近寄り難い。それにイベント終われば聖水の需要も一気に減るでしょ。


「とりあえず今日はポイント稼ぎ、そして効率の良いlv上げの最終日……いつもより頑張ろう」


 私のlvがもうすぐ30に行けそうなんだよね。そうすれば新しいパートナーを増やせる……このイベント中に連れて行けるパートナーの数を最大にしたかったけど、思ったより攻略が難しかったりして最終日に達成することになりそう。


(スチンの進化も目指したかったけど……それは山の攻略の時に目指すことにしよ)


 というかスチンのlv上げは多分時間かかると予想してる。スチンはライムと同じ特殊進化……ライムの進化がレモンと比べると時間かかっていたからさ。多分特殊進化は普通の進化と比べて次の進化まで長くされてる。元々1進化スキップしてるようなものだから長くても不満は無いんだけど。


「カタカタ……」


「ヴェェェ……」


 向かってくるスケルトンとゾンビ(経験値)たちをライムたちと共に倒していく。宝箱は勿論全部開ける。ミミックならば逃さず仕留めて経験値にする。今回は何体出てきてくれるかな?


「メキュ!」


「ビリリ!」


「メララ!」


 敵はライムの浄化液をかけられスケルトンならレモンの放電。ゾンビなら私が油をかけたところをアセロラに燃やされる。私が何も言わなくても素早く行われる。育成の成果が出てきた。おかげで私は考え事する余裕もある。


(この効率的な動きを他のところでもできるようにしたいね……)


 まぁ、最適化するにはしっかりとした情報が必要になるんだけどね。だから初めていく場所や初見の敵相手だと難しい……現状指示無しで敵を最適な方法で倒してくれるのは満足できるんだけどね。初見の敵への対処は今後の育成の目標になっていく……


「この安定性のある戦闘……付け加えるならどんな子がいいかな?」


 回復1攻撃2防御1。この布陣に新たな1ピースを入れる。回復と防御は1で良いし、攻撃3は過剰。そうなると求められるのは敵を弱体化させる子……それこそポイズンスライムが良いかな。


(ただ今のメンバー的にポイズンスライムは力不足感が……今持ってる素材なら特殊進化をさせられる毒を作れるだろうけど)


 特殊進化3は重い……個人的に5体目までのパートナーは一時的に交代させることはあっても冒険へ連れて行くことの多い子たち。特に新たに1枠空くlv40になるまではかなりの時間がかかると思う。つまりしばらくはメンバーが固定されるということ。

 あと次のイベントは恐らく対人戦になると予想している。この手のゲームで対人イベントなんてお約束みたいなものだし。その時に今の時点で対策できる毒は少し弱く、特殊進化への道はイベントに間に合わなくなる可能性が高い。

 よって今回はポイズンスライムは見送る。毒に変わるデバフ使い……それを探そう。ポイントで交換できる餌で良さげなので探してみよ。


「そろそろポイントの使い道も決めないとね……素材がメインになりそうだけど」


 ポイント引換はイベント終了後1週間は猶予がある。だから急いで交換する必要は無い……ちなみに今持ってるポイントは1万ちょっと。ちょいちょい薬の素材と交換してるから溜まってない。特に今は防御力を上げる薬の実験してるし……

 実験の結果としては失敗しまくってる。理由は単に素材不足……素材交換にあるのは採取で取れる素材だけ。モンスターの素材が無いから、カメの素材が手に入らないんだよね。ポイント交換にあった素材で色々頑張ってみたけど失敗続き……失敗したとき爆発を覚悟したのに爆発しなかった。


(爆発しなかったのは良いことだけど、なんでクイラさんは爆発してたんだ?)


 謎が増えたね。あと失敗ばかりとはいえ、5種類くらいのキノコを混ぜた滋養強壮薬って副産物はできた。効果としては満腹度を一定時間減らなくする効果……効果だけは良いんだけど、例えることすら難しいゲキマズ……


(あれだけは飲みたくない……というか成功なのか失敗なのか分からない)


 どう手を付けたら良いのか分からない問題児……流石にあれを売る気にもなれない。


(合わない素材を掛け合わせて失敗したら消失するから、あれも一応成功ではあるはず……)


 まぁ、あれの改良は今はいいや。使うつもりないし……売るために作るんじゃなくて、自分が使う分のついでに作ったものを売るのがポリシーだから。これで食い繋ぐ事態は勘弁してほしい……私はゲーム内でも最低限人間らしい生活がしたい。


(そういえば冒険中の満腹度回復手段どうしよ……特に用意してないんだよね)


 お腹空いたら町に帰ってカフェでケーキとか食べてるからさ……ケーキでも意外と満腹度回復するし。肉とかの方が満腹度の回復量多いんだけど量が多い。私としては少量で効率的に満腹度回復できると嬉しい。


(プレイヤーマーケットに良いのあるか探してみよ……他の人のやつ見たことないんだよね)


 コメントの処理と補充で忙しくてね。イベント終わったらゆっくり他のプレイヤーがどんなの出してるか見てみよ。と、宝箱発見。鍵無しだけど……


「ガチャァァァ!」


「ミミック!逃すなー!」


「メキュ!」


「ビリリ!」


「メララ!」


 ミミックが不意打ちしてきた瞬間にライムの浄化液、レモンの放電タックル、アセロラの炎上タックルが間髪入れずに叩き込まれた。

 ミミックに浄化液って効くの?って思うけど、濡れてるとレモンの放電のダメージが上がるんだよね。


「ガチャァァァ……」


「おっ、lvが29になった。これはあと1体ミミックを見つけられれば雑魚とボスで30にできそうだね」


 その後、雑魚を蹴散らしながら進むこと1時間程。2体目のミミックを発見し経験値と変えた。そしてそこから攻略を着々と進めて最深部のボス部屋まで辿り着いた。


「50まで来るとトラップ解除のパズルが中々歯応えあって時間かかったね」


 10×10のパズルとか死ぬかと思った。花の絵だったから良いけど、魔法陣なら無視してた。


「さーて、今回のボスは……あれ?なんか2体いるんだけど」


「ガタガタガタ……!」


「ヴォロロロロ……!」


 50回目。節目だからかボスの大盤振る舞い。スケルトンは槍持ち、マッチョゾンビは相変わらず筋肉を盛り上がらせてる。


「ライムとレモンはスケルトンをお願い。私とアセロラでマッチョゾンビを片付ける……終わったらこっちに参戦して」


「メキュ!」


「ビリリ!」


 私はライムたちに指示を出し、アセロラとマッチョゾンビに向かっていった。正直こいつをアセロラと一緒に倒すのは難しい……何度かこいつとも戦ってタフさは理解している。攻略数が増えて炎上だけじゃ殺しきれない程強くなっている。だからライムたちが来るまで足止めすれば良い。


「ヴォロロロロロ……!」


「そい!」


「メララ!」


 私はドシドシ!と向かってくるマッチョゾンビに油をかけアセロラが着火させた。炎に包まれたマッチョゾンビは怯んで後退りし、手で炎を払った。そして炎が消えると再びこっちに向かってくる。


(油かけてるんだから簡単に消さないでほしいよ……)


 粘度がある油じゃないからなぁ……ポイズンフロッグの油、地味にサラサラしてるから。改良したかったけど変なの混ぜると効果下がるし中々難しい。


「とりあえずライムたちの方に意識を向けさせなければOK。頑張って時間稼ぐよアセロラ」


「メラ!」


 私とアセロラはマッチョゾンビの攻撃を避け、ライムたちから離れつつ燃やして時間を稼いだ。すぐ消されるとはいえ燃やせば怯む。これで時間を稼いでいれば……


「ガタガタガタ……」


 スケルトンを片付けたライムたちが参戦してくる。あのスケルトンは浄化液を浴びるとひるみ、そこに放電を食らうと痺れて動けなくなる……私たちには脅威でもなんでもない。


(浄化液……要するに聖水を沢山使える私たちには相性が悪かったね)


 マッチョゾンビはシンプルに強いから苦手。こいつ弱体化なんて知らんと言わんばかりに動くから……そんなマッチョゾンビも数で攻めれば問題無い。


「極限まで強くなったらどうなるのか気になるけど……私はその域には達せれなかった」


 いつか戦えるといいな。出会えるか分からないけど……


「ヴォロロロロ……!」


 マッチョゾンビは浄化液を浴び、容赦無い全力放電を喰らい、感電が和らいだところに油をかけられ燃やされる。私たちの息の合ったコンビネーションアタックを受けマッチョゾンビはドサ!と背中から大の字に倒れて消えた。


「よし、lv30達成!」


 ボス2体の経験値はとても美味しかった。これで新しい仲間を増やせる……けど、それはまた今度だね。どういう子を仲間にするか悩んでいるし。


(あと1回は……やめとこう)


 ポイントも良い感じに溜まっている。それに50回っていうキリの良い数字で終わらせておきたい……余った時間は調薬にでも使おう。


(リアルの野暮用を片付けるのでも良いんだけど……夏休みの宿題は終わってるんだよね)


 友達と遊ぼうにもいきなり言って予定合うか分からないし……


「最近連絡もそんなにとってなかったから久しぶりメッセージ送ってみるか」


 ゲームも大事だけどリアルも大事。私は久しぶりに友達に連絡を取ることにした。



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