第16話
ちょい長め
許して……
『個体名:ライムのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
「あれ?アセロラよりもライムの進化が先になった……これは予定外だったね」
アセロラを仲間にして1日経過。のんびりlv上げをしていたらライムの進化が可能になった……まぁ、最初に進化してからかなり戦闘してたからね。
「むしろ今まで第2進化させてなかったの私くらいでしょ……」
そんなことを呟きつつライムの進化先を確認した。第2進化はどんな感じになるのかな?
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進化先
▶︎ハイメディカル・スライム
高い回復効果の薬液が生成できるスライム
食べた薬の効果を蓄積し、生成する薬液の効果を上げることができる
蓄積できる効果は3つまでストックできる
▶︎ピュリファイ・スライム
聖水を一定量摂取した回復系のスライムが進化した姿
回復を促進する治療液と不浄を祓う浄化液を作成することができる
浄化液の作成は摂取した聖水の質で変化する
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進化先は2つ。ハイメディカル・スライムは正統進化。ピュリファイ・スライムは聖水を食べたことによる特殊進化っぽいね。
(《食育》が消えてもその後の食事が進化後に影響する……これはしっかり覚えておこう)
とりあえず選ぶのはピュリファイ・スライム。特殊進化は貴重だろうからね……私はポチッと決定した。
ライムは進化の光に包まれ、光が消えると色味が少し白っぽくなっていた。なんだろう……クリームソーダが頭にチラつく色味だね。ステータスはどう変わったかな?
▽▽▽▽▽▽
ライムlv1/40
種族:ピュリファイ・スライム(第2進化)
HP:70/70
MP:95/95
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅰ》
《治療液作成・Ⅱ》
様々な回復効果を促進する液体を作り出す
直接かけることでも回復効果を発揮する
《浄化液作成・Ⅱ》
汚れや呪いを浄化する液体を作り出す
《医療術・Ⅱ》
回復効果を1.5倍
治療行為で経験値を得られるようになる
△△△△△△
メディカルスライムのスキルを強化しつつ、浄化能力を得た感じか。《治療液作成》の感じだとHP、毒、麻痺以外の回復もできる感じか……効果対象が広がる=回復効率が下がるってイメージあるから注意は必要そう。
「メキュ!」
「あっ、鳴き声は変わんないのね」
進化したら変わると思っていたからちょっと意表を突かれた。ステータス確認のあとは検証に移りたいね……特に浄化液。効果的に聖水に近いものだろうし。
「ライム。これに浄化液出してくれない?」
「メキュ!」
空のビンを取り出して中に浄化液を入れてもらう。浄化液は淡い青色で水とほぼ同じ見た目の聖水とは明らかに違うね。効果の方は……
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浄化液
効果
汚れや呪いを分解する効果がある
泥水に混ぜれば真水へと変え
闇属性のモンスターにかけると弱らせられる
聖水に似た効果だが別物である
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聖水の代用品ってとこかな。浄化草みたいな効果もあるのは面白い。これも加熱すると多分固まるんだろうなぁ……
(何と混ぜるか……実験のしがいがある!)
私がそう思ってワクワクしていると、カタカタとフールスケルトンが近寄ってくる音が聞こえた……そういえばここダンジョンの中だった。
「あー、でも浄化液をかけたらどうなるか実験してみたかったし。丁度良いね」
私は早速浄化液をフールスケルトンへかけた。聖水をかけた時と同様に煙が出てフールスケルトンが苦しみ始めた……だけど聖水よりは苦しみが少ないな。
「量が足りない?ライム直接かけてみてくれない?」
「メキュ」
私はライムに頼んで浄化液を追加でフールスケルトンにかけた。フールスケルトンは更に苦しんでいった……追加すれば弱体化は強くなるのか。調整できる点は聖水より便利そうだね……聖水だと過剰に弱体化させる時あったから。
「検証終わったから、レモンとアセロラやっちゃっていいよ」
「ビリリ!」
「ピュキ!」
弱ったフールスケルトンにレモンたちをけしかけて倒させる。アセロラもいい感じに動きが良くなってきた……進化後に期待が高まるね。
「スチンも働いてもいいんだよ?泥弾とかあるし」
「ドロォォ……」
私の問いかけにスチンはやる気の無い返事をした。まぁ、私の防具として働いているから文句無いんだけどさ……最近声かけても反応が無いことが多いから「寝てる?」って思うことあるけども。
(霊結晶の採取はしっかりやってくれるし、スチンの出番になることも現状無いし)
タンク役になるとしてもスチンのサイズだとね……身体を広げても大した範囲カバーできないから盾役として扱い辛い。今後の進化で大きくなれるようになればタンクになれるかな……その場合は移動をどうするかまた考えなきゃだけども。
「私の鎧っていうのも立派な仕事だしね。フールスケルトンも倒れたし、アセロラの進化目指して頑張ろう」
「メキュ!」
「ビリ!」
「ピュキ!」
「……ドロォ」
◇
「これをここに持ってきて、これとこれを入れ替えれば…………できた」
ライムの進化からしばらくして、私は宝箱のパズルを解いていた……15パズルの魔法陣柄の縦横7の1欠け48ピース版。地味に面倒だった。
「図形は角を見つけないと面倒だからなぁ……数字や絵は角を見つけやすいから楽なんだけど」
苦労して開けた宝箱の中身は……お宝が沢山入ってるね。これはポイントウマウマ……
(攻略数でポイント稼ぐのは難しいから……こういうので集めないと)
おかげで攻略にかかる時間ががが……でも戦闘オンリーで進めようとすると攻略数が50回までいけば良い方な気がする。だから宝物のポイントが割と大事。
「みんなお待たせ。先進もうか」
私は休ませていたライムたちに声をかけて攻略を再開した。そしてフールスケルトンと少し出やすくなってきたフールゾンビを倒していくと……
『個体名:アセロラのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
遂にアセロラの進化がきた。進化先はいつものラージスライムに戦闘させたからバトルスライム……そしてお目当ての火属性の進化先、ファイアスライムが表示された。
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ファイアスライム
発火能力を持つスライム
身体表面を燃やし敵へ体当たりする
発火時に特殊な油に近い粘液を出すため
多少の水では消えることはない
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また体当たりか……確かにスライムの物理攻撃手段って体当たりくらいしかないけど。身体を伸ばした触手とかペチペチするぐらいしかパワー無いし。とりあえず進化させよ。
「メララ!」
進化したアセロラは真っ赤なスライムへ進化した。触るとほんのり温かい……寒い時に丁度良い温度だね。次はステータスのチェック。
▽▽▽▽▽▽
アセロラlv1/20
種族:ファイアスライム(第1進化)
HP:35/35
MP:40/40
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》
《発火・Ⅰ》
身体の表面に特殊な油膜を作り燃やす
油が切れるか自身の意思で火は消える
《炎無効》
火によるダメージ、影響を無効化する
△△△△△△
《炎無効》はちゃんと持ってるよね。全身炎上(物理)するし……そういえばレモンも能力的に《雷無効》持ってるはずだと思ったけど、《蓄電》で吸収してるから無効化してることに気づいたよね。今まで雷を使ってくる敵と戦ってなかったってこともあるけど……
(あとは実戦でどんなもんか確認するだけ……だけど次ボス戦になりそうなんだよなぁ……)
もう結構終盤の方に居るからさ。宝箱のパズルは最後のほうが難易度高くなるから……そんなことを思いながら進んでいるも、私のその考えを裏付けるかのようにボス部屋の扉が見えた。進化後すぐがボス戦か……まぁ、なんとかなるか。
(そろそろボスも大きいフールスケルトンから変化するかな?)
途中で武器持ったりしてきたけど……骸骨はそろそろ飽きてきた。そんなことを思っているとボス部屋の大扉を発見した。さてさてボスは変化してるかな?
「おっ、骨じゃない……なんかマッチョなゾンビになってる」
「ヴォロロロロ……!」
ボス部屋に居たのは大きくなったフールゾンビ。ガリガリな身体は見る影もなくムキムキ……筋肉が大き過ぎて固定資産税かかってそう。
「まずは聖水で弱らせよう……ライムも浄化液お願い」
「メキュ!」
私はマッチョゾンビが動き出す前に聖水の蓋を開けて瓶ごと投げつけた。ライムも頑張って浄化液を飛ばしてくれる。
「ヴォロロロロ……!」
マッチョゾンビは弱体化なんて知らないような咆哮をあげるとドシドシ!と駆け出し拳を振り上げた。
「回避!」
私の指示を聞きライムたちは散開した。マッチョゾンビはさっきまで私たちが居たところに拳を振り下ろした。
ズガン!
マッチョゾンビが殴った床は砕け陥没していた。怖……
「ビリリ!!」
「メララ!!」
攻撃後の隙を狙ってレモンとアセロラが体当たりをしていく。レモンの放電タックルとアセロラに炎上タックルがマッチョゾンビの左右の脇腹に叩き込まれる。
「ヴォロロロロ……!!」
フールゾンビの強化系だからか効きが悪い。やっぱりゾンビはタフだから苦手……
(見た感じアセロラの攻撃が当たった方を気にしてる……火に弱いのか)
そうなるとアセロラをメインに戦略を立てるか……そういえばあれ使えるかな?私はマッチョゾンビの動きに気をつけてながらストレージを開き、中からポイズンフロッグの油を取り出した。
(軟膏の素材になるから取っておいてたんだよね……)
使うのに毒抜きしなきゃいけなくて放置してたんだけども。これ浴びせて燃やすか。
「レモン蓄電したら一撃入れて…動きが鈍ったところでアセロラが燃やすから」
「ビリリ!」
私はレモンに帯電小石をいくらか渡して急速蓄電してもらった。その間マッチョゾンビがレモンに向かないようにライムたちと一緒に足止めした。
「スチン。泥弾飛ばして」
「……ドロォ」
私はスチンに頼んで泥弾をマッチョゾンビの顔に飛ばした。ライムは浄化液をかけて弱体化し、アセロラはまだ燃えて光っている身体でマッチョゾンビをおちょくっている。
「ヴォロロロロ……!!」
あまりにウザいからかマッチョゾンビがブチギレている横でレモンは蓄電を完了した。そうして意識外から痛烈な一撃を放った。強烈な電撃でマッチョゾンビの動きが一気に鈍くなる。
「今!」
「メララ!」
動きが鈍った瞬間に私は油の瓶を投げつける。そしてマッチョゾンビの身体に油が付着したところをアセロラが体当たりした。付着した油が燃え、マッチョゾンビが炎上していく。
「追加だ。持ってけ泥棒!」
火力が不安だったため追加の油をかけていく。火の勢いがどんどん強くなりマッチョゾンビの全身が燃え盛った。
「ヴォロロロロロロ……」
燃えているマッチョゾンビは火を消そうとしていたが水は無いし、払おうにも油のせいで意味が無い。しばらくしてマッチョゾンビはドサ!と地面に両膝をつき光へと変わっていった。
「次からゾンビは燃やすとしよう……油は沢山あるし」
無事アセロラの進化後の初戦は勝利した。面倒なゾンビの倒し方も分かって万々歳。これからは攻略が楽になるね……
(次の目標はレモンの進化かな。特殊進化はさせるつもり無いし……地道にlv上げだね)
新たな目標に向けて頑張ろう。




