第150話
遅れて申し訳ありません
なんとか更新です
(やっぱりメロンの進化は一筋縄じゃ行かないね……)
特に平日の時間が少ない時はね。ルベリーが進化した翌日、ルベリーと共にスライムの神殿に向かいながらメロンの育成に悩んでいた。
葉獣の樹海の狩りはかなりのモンスターを倒せた……ただあそこのモンスターは好戦的で数が多いからか経験値が控えめなようで。あんまり戦闘してきてなかったメロンを進化まで持っていけなかった。
「まぁ、1日でできるとは思わなかったしね……とりあえず今日はルベリーの試練済ませちゃおう」
「ノロォ!」
今回はいつもの入り口からは入らない。今までは私1人だったけど、プレイヤーの神官が増えたからね……
「えーと、ここかな?」
スライムの神殿裏手。私はこの前の手伝いの時に教えてもらった入り口を探す……ガサガサしているとマンホールみたいな蓋を見つけた。蓋は横に動かすと梯子が出てきたのでゆっくりと降りていき、無事に試練の間に辿り着いた。上の蓋は勝手に閉まっていった……あれこっちからも開くよね?
「ルベリーも梯子降りれて良かった……中々シュールな絵面だったけども」
「ノロォ?」
ルベリー……というかスライムヒューマの身体って下半身が特殊だから普通には降りられない。上半身私と同じ感じだったけど、下半身は一段ずつズルンって感じで滑り落ちてく感じ。本当にシュールだった。
「少し休憩したら試練しようか」
「ノロォ」
万全な状態で臨みたいからね。私は少し休んで気力とかを回復、そして闇の試練へと入った。
「闇だから真っ暗な部屋かと思ったけど……そうでもないね」
闇の試練の部屋は小さな小部屋。中央には円形のテーブルが置いてあって、色々な大きさや形状の瓶が置かれている。いつもの石碑も置いてあるから説明を確認した。
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闇の試練
①正しい液体を飲めばクリアとなる
② テーブルの上の瓶は100本。そのうち正解は1本、様々な呪いを含んだ液体が99本ある。瓶の蓋はパートナーには開けられない。
③呪いで死亡するか、呪いが5種類重なると失敗となる。中には飲んだ時点で即死となる液体も存在する
④ 液体は一口分で効果を発揮し、混ぜることで効果が変質または消失することはない。
⑤正しい液体を飲んだ時点でクリアとなる
※この空間では称号、装備、アイテムの効果が制限される
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なんか複雑そう……とりあえずこの得体の知れない液体を飲めってことか。
「でもこれ……ルベリーの力を使えば簡単じゃない?」
ルベリーは呪いを感知できるからね。正しい薬なんて呪い含んで無いだろうし……そう思ってルベリーに探知させてみるけれど、呪いが含まれていないものは1本も無かった。
「あ、これ……正解の薬も呪いか」
確かに説明文には正しい液体って書いてあって、呪いを含んでいない液体とは書いてない。
(め、面倒な試練だね……)
となれば今度は呪いの強弱で判断を……作戦を変えて再挑戦するも今度も失敗。呪いの強さはどれも変わらなかった。
その後も色々試すが失敗。瓶の形状もヒントかと思ったけど……大きさと形状が違うだけでヒントに繋がるものは無かった。
「ここに来て運ゲー?いや、そんなわけないか」
そんなの試練の課題としてはおかしいからね。運も実力の内って言葉があるけど……こういう試練で運任せは無いはず。
私はもう一度石碑の内容を確認した。気になるのは効果の部分……普通、こんなヤバいものを混ぜたりしないはずなのに説明が?
「あ、まさか……そういうこと?」
説明を読み直した私は攻略方法が分かった気がした。ただ、この方法だと下手したら死ぬ……生き残れる確率は大分低い。
「でも、これしか方法が無いよね……」
私はテーブルの上の瓶で1番大きいものを手に取り、一口分を残して中身を捨てた。そして残りの99本から一口分ずつ大きい瓶へと足した。足されていった中身は瓶の丁度良い位置ぐらいににる。
これが私が思いついた方法。混ぜても効果が変化したりしないなら……全部混ぜて飲んでしまえば良い。1つの正解と99の不正解をね。
「正解は一口分を飲み込んだら効果を発揮する……それよりも先に不正解の方が効果を発揮したら私の負け」
とはいえこのまま飲むつもりは無い……だって見るからに黒いモヤを纏っててヤバそうだからね。ここからはルベリーの力を借りる。
「ルベリー。呪い少し吸収して……全部吸収しないようにね?」
「ノロォ!」
ルベリーは返事をして瓶のモヤを吸収し始めた。モヤは次第に薄れていき……ほんのりと薄いモヤを纏う程度に収まった。これくらいならいけるかな。
「いざ!」
私は瓶を持って一気に上へと傾ける。中身のドス黒くヤバげな雰囲気の液体が口に入り、この世のものとは思えなくエグ味が舌を襲う。吐き出しそうになるけれど必死に堪え、私はなんとか飲み込んだ。
「うっ……」
飲み込んだはいいものの、味覚への暴力に私は呻き声をあげるしかない。そんな中、私の意識は薄れていき……真っ暗になって意識を失った。
◇
ポム!ポム!ポム!
「う、苦しい」
お腹の上で何かがリズミカルに跳ねる衝撃で目を覚ました。目を開けると薬を飲んだ小さな部屋じゃなく、いつもの水晶がある部屋だった。試練は無事にクリアしたみたいだね。
「ノロォ」
「ありがとうルベリー」
起き上がろうとすると側に居たルベリーが手を貸してくれる。その手を掴んで起き上がった私は、お腹の上で跳ねていた犯人……ここの管理をしているスライムが目に入った。
「ムム!」
その子はまるで夜空のような感じだった。黒に近い藍色の身体に星のような煌めきがある。闇属性の子にあんまり見えないね。
「ムム」
夜空スライムはピョンピョン跳ねると水晶に触れるようジェスチャーする。私はジェスチャー通り水晶に触れ、聖書がまた少し豪華になった。あとは魔法陣に乗れば帰れるね。
「ムム!」
「ノロォ!」
私が寝ている間に仲良くなったのかルベリーと夜空スライムは『またね』という風に挨拶をしていた。そしてルベリーに手を引かれ私は試練の間を後にした。こうしてルベリーの試練は終了した。
ココロ
「で、あれで試練の攻略は正解だったの?」
作者
「そうだね。呪いの薬を混ぜて飲むは大正解。失敗の方の液体だけど……即死効果以外は混ぜたら無意味だからね」
ココロ
「どういうこと?混ぜても効果消えないでしょ?」
作者
「確かに効果は消えないね。でも例えば……『攻撃力が1上がる代わりに防御力が1下がる薬』と『防御力が1上がる代わりに攻撃力が1下がる薬』を同時に飲んだらどうなる?」
ココロ
「そりゃ足し引きでプラマイ0……あー、そういうこと?」
作者
「そう。効果が打ち消しあって実質無効化される。即死に関しても正解の液体を飲むと『即死時に気絶状態で蘇生』って効果が発動するからね……と、ここまでが1つ目の正解」
ココロ
「1つ目?」
作者
「最後ルベリーに呪いを吸収させたでしょ?あれが2つ目の正解。99の呪いの集合体だよ?普通に飲んだら呪い過多で口に含んだ時点で死んでたんだよね……爆発四散して」
ココロ
「なんてトラップ仕掛けてんの!?」
作者
「だってそっちの方が面白いからね!」




