第149話
「とりあえずボス戦はしばらくは無さそう……いつでも戦えるように準備はしておこう」
とりあえず今やるべきなのは……ルベリーとメロンの進化だね。ルベリーは呪いを使うであろうヘルゲート・ガーディアン対策。メロンは効果の高い薬を作るためだね。
葉獣の樹海の植物たち……なんか今までのと比べて栽培が難しいみたいなんだよね。品種改良や大量生産をするには今のメロンだと少し厳しい。
「というわけで……地獄のレベリングin葉獣の樹海開始」
今回の編成はルベリーとメロンのレベル上げ対象。そこにライムとアセロラ、プルーンを加えた編成。デバフと攻撃で襲ってくる奴らを蹴散らしていく感じ。
(守る暇も無さそうだしね……)
レモンも欲しかったけど、植物属性は雷に耐性があるからね。プルーンなら《寒獄生成》のデバフだけじゃなくて近接もカバー可能……ほんのり守りもカバーされてるからね。
「プラァ……」
「そんな怠そうにしないでよ……」
なお、庭から連れ出したメロンはめちゃくちゃ気怠そう……でも最近はやることなくて殆ど寝てるの知ってるよ?呼ばないと外にずっといることも。他の子たちは基本的に寝る時は拠点内に入るけど、メロンは裏庭の真ん中で寝てることが多い……せめて中で寝て欲しい。
「まぁ、今回メロンはデバフやってくれればのんびりしてていいよ……それじゃあ始めるよ」
メロンから甘い香りが漂い樹海へと広がっていく。プルーンがメロンを中心として《寒獄生成》を発動し、アセロラとルベリーが敵に備える。ライムは私の側で回復待機、私はアセロラの燃料(MP回復薬)補給係。
「「「キュリリリ!」」」
「ガァァァァ!」
メロンの香りに引き寄せられたモンスターたちが樹海から飛び出してくる。いつも好戦的なモンスターたちがより殺気立って襲ってきてちょっと怖い。
「メララララ!」
「ノロォ!」
向かってくるモンスターたちに《過燃焼》の効果が乗った火炎放射が焼き払う。火炎放射の範囲外から襲ってきたモンスターたちはルベリーの鎖に縛られ、冷気のドームに触れているモンスターは凍りついていく。
「ヒヤァ……」
動けなくなったモンスターたちはプルーンが槍で突き刺して処理していく。メロンは更に《酒肉華の香り》を撒き散らし酩酊と誘惑でモンスターたちを混乱させていく。火傷、呪い、凍結、酩酊、誘惑……5つのデバフを味わっていきなさい。
「ギュロロロ!」
「キシャァァ!」
ステゴやカマキリも出てくるけど、このデバフ五重奏の前には全力を出せないでいる。やっぱりスライムは敵の動きをどれだけ邪魔できるかどうかで変わるね。
「ギュロロロ!」
「メラ……!」
「ヒヤァ……」
ただまぁ、万全とは言えない布陣。遠距離攻撃だとアセロラやプルーンが被弾する……まぁ、即死じゃなければライムが全回復させるんだけど。
「アセロラ。燃料補給」
「メララ!」
私はアセロラにMPを回復させる。アセロラは足されたMPを燃料にモンスターを燃やし続ける。メロンの香りはかなり広く撒き散らされ……モンスターたちが集まって来る気配が凄い感じ取れた。
「メロンの進化は今回だと難しそうだけど……ルベリーはもうすぐだったし、ルベリーの進化を目標にしよう」
アセロラどんどん燃やしてけー。私はアセロラの燃料補給をしながら経験値を稼いでいった。
◇
『個体名:ルベリ-のlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
何十体ものモンスターたちを灰に変えていたらルベリーがlv60に到達した。幸い、モンスターたちの波も少し収まったところ……この隙に確認して進化させちゃおう。
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▶︎進化先
オプスキュリテ・スライムヒューマ
闇属性のスライムヒューマの進化先の1つ
数多の呪いをその身に宿し自分の物へと変質させる、強欲で執念深いスライムヒューマのみが進化できる
その身体は高濃度の呪いだけではなく猛毒でもあり、気を許した相手以外が触れれば破滅する
文献にも情報が殆ど無いが……それは目撃したものが破滅してしまったからかもしれない
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厄ネタでは?てかこれ……呪いでもあり猛毒って呪毒では?バイオ・スライムたちとの触れ合いが進化に影響したのかな?
とりあえず進化させてみると身長は特に変化無し、ただ髪にインナーカラーのように黄緑色が入って。左目も同じく黄緑色に……身体にも黄緑の紋様がほんのりと浮かんだり消えたりしていた。
(この配色……エナドリが思い浮かぶ)
さてステータスはどうなったかな?
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ルベリーlv1/80
種族:オプスキュリテ・スライムヒューマ
(第4進化)
HP:400/400
MP:666/666
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅲ》《呪い無効》《怨念昇華》
《吸命呪鎖の呪い》
《堕落呪歌の呪い》
《反毒呪身の呪い》
直接攻撃を受けた時、受けたダメージによって相手に猛毒と衰弱を与える
《呪毒付与》
追加でMPを消費することで、呪いに呪毒の効果を付与する
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やっぱり呪毒使えるようになってる。試しに鎖を出してもらうと鎖の側面に付いていた小さな棘が黄緑色になっている……なんかカッコいいね。
「それじゃあ実験も兼ねて使ってみようか……あいつらに」
「ガァァァァ!」
「ギュロロロ!」
進化したルベリーの力を早速試していく。ルベリーは呪いの鎖を伸ばした。進化した影響か速度が上がり、素早くモンスターたちへと巻き付いて動きを止めた。
「ガ、ガァァァァ!?」
「ギュロロロ!!?」
鎖の拘束力も上がっているようでステゴすら完全に動けなくなっていた。そして身体に食い込んだ棘から呪毒が蝕み始める。
「ガ……ァァ……」
「ギュ、ロロ……!」
鎖に縛られたモンスターたちはどんどん弱っていく……あまり長く苦しめるのは嫌だからそろそろ片付けさせるか。あと……
「ノロォ……♪」
なんかルベリーの表情がね……恍惚としているというか。あんまり良くない感じになってる。進化して性格に変化が起きたか?
(嬉々として相手を苦しめる……そうならないように注意しよう)
私は笑顔で呪いの鎖を延ばしていくルベリーを見ながらそう思った。
実のところ
初期のルベリーは呪いでは無く、毒の使い手でした
今回の進化で初期構想の力を手に入れた……
ちなみに呪毒を得たことでバイオ・スライムたちからはより熱烈な歓迎を受けることでしょう




