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第148話

大変お待たせしました





 MEO内で地震があった翌日、あれから新たに地震は起きたりはしなかった。町とかにも被害は無し……ただ、何も変化が無かった訳ではないようで。


「一部のフィールドで立ち入り制限か……」


 アーカイブの新聞を広げ、私は昨日の地震の影響を調べていた。かなり大きい変化があったみたいだね。

 立ち入り制限がかかったのは悦楽の沼地、雷鳴の小砂漠、旧ノーステルマ、星喰みの洞窟。最後の星喰みの洞窟は初めて聞いたけど、どうも湾岸都市シーフロンティアから行けるサブフィールドらしい。

 立ち入り制限といっても奥地だけのようで、浅いところなら探索は可能。属性強化薬の素材や霊結晶の補充はできそうだね。


(何処も似たような理由で立ち入り制限がされてる……)


 立ち入り制限の理由はモンスターの暴走。スワンプ・メガロドンやヘルゲートガーディアン……その辺のボスよりも強いモンスターたちが暴れていて手がつけられないんだとか。


「原因はあの地震っぽいけど……これどうなるんだろう?」


 沈静化するのを待つのか討伐するのか……討伐だとかなり面倒な気がするね。スワンプ・メガロドンとか第3回公式イベントの後くらいに何回か討伐しようとしたらしいけど……惜しいところまで行かずに負けたらしいし。


「なんとなくだけど……またイベントがありそう」


 準備だけでもしておくか……荒稼ぎする準備を。基本的な薬はライムの分体たちが作ってくれるから助かる。


「というか……1回クティアさんのところ顔出してくるか」


 バイオ・スライムたちの様子見も兼ねてね。私は新聞をテーブルに置いて神殿に向かう準備をした。あ、ルベリーは連れて行こう……バイオ・スライムたちが会いたがってるだろうしね。



「ノ、ノロォォ!?」


「「「「ウィル!」」」」


 スライムの神殿。今まではクティアさんとショゴちゃんしか居なかった神殿にはバイオ・スライムたちが沢山居た。

 バイオ・スライムたちがルベリーにくっ付き、餡子を包んだ抹茶大福みたいになってる。


(相変わらずバイオ・スライムたちはルベリーが好きだね……)


 ちなみにバイオ・スライムたちは神殿内の清掃とか雑事のお手伝いをしている。数が多いから神殿周りも清掃中……あ、呪毒による汚染は心配無い。仮に汚染されたとしても……バイオ・スライムたちが吸収するからね。


「メ、メキュ……」


「問題無いし大丈夫だと思うから……しばらくあのままにしておこう」


 普段くっ付かれてるからな。偶にはくっ付かれる側の気持ちを味わってもらおう。ちなみにスライムの神殿の変化は他にもあって……


「あっ、ココロさん。こんにちは」


「ココロ先輩。お疲れ様でーす!」


 なんと私の他にスライムの神殿所属の神官プレイヤーが増えました。ただし女性だけ……男性は居ない。


(理由は分かるけどね……そもそもスライムオンリーって人が希少だし)


 あとうちは神官服がね……男性用も結構露出がヤバいんだよね。1回神殿の清掃中に見たことあるけど、あれは女性以上に着る人を選ぶ。

 ちなみに彼女たちは第3陣……そして私が第3回公式イベントの予選でアドバイスした子たち。私に憧れてスライムオンリーで進めてきたらしい……いやー、私の真似をしてもらえるなんて嬉しいね。


(絶対、他のプレイヤー真似した方が強くなれるのにね)


 彼女たちには頑張ってほしいね……南の湿地帯は本当に頑張ってほしい。進めるなら北と西が1番楽かもね。暑さや寒さに耐えるために装備の強化が必要だけどさ。

 私は後輩神官たちに手を振って挨拶し、クティアさんの所に向かった。クティアさんは仕事部屋に居て……なんか書類に囲まれてた。


「あ、ココロちゃん。南の浮上都市ぶりね……」


「クティアさん……なんかやつれてませんか?」


「あはは……実はね……」


 なんでもこの間のバイオ・スライムたちの輸送……中央神殿に確認とか許可を取らないでやっちゃったらしく。中央神殿に怒られて面倒な仕事をやらされてるらしい。


「普段、人が居ない地区でのほほんとしてるんだから少しは苦労しろって……しくしく」


「泣き真似する程ですか?」


 チラッと紙を見てみると、内容としては細かい予算の調整……クティアさんが苦手そうな仕事だね。この人、細かいこと少し苦手だし。


「そういえば今日はどうしたの?」


「あぁ、そうだった。ちょっと確認したいことがあって……」


 私は地震の件をクティアさんに聞いた。スワンプ・メガロドンはテイマーギルドの管轄として、ヘルゲート・ガーディアンは神殿の管轄だろうからね。どういう方針になるかぐらいは聞いておきたい。


「んー……現状としては静観するぐらいだろうけど、このまましばらく変化が無いなら戦闘になるかもしれないわね。討伐とまでは行かなくても弱らせて沈静化を図る感じかしら?」


「戦う可能性はあるんですね……ちなみに神殿はどれの討伐に?」


「そりゃ……管轄の旧ノーステルマに居るヘルゲーム・ガーディアンにはなるわね。相性的にも神殿が相手するべきだし」


「ですよねー」


 あれとかぁ……まぁ、スワンプ・メガロドンよりかはマシか。あいつは丸呑み=死だからね……足場も狭いし。


「何かあったらこっちから連絡するから……で、悪いんだけど仕事手伝ってくれない?ちょっと終わる未来が見えなくて」


「どれだけ渡されたんですか……まぁ、私のお願いが原因なので手伝いますよ」


「メキュ」


 私はクティアさんの書類仕事を手伝った。幸いにもそこまで専門的な知識は必要無さそう……計算さえできれば。


(電卓は都合の良いことにメニューにあるからね……)


 私は電卓を駆使しながら書類を片付けていった。できた書類はライムが整理して片付けてくれる……そうしてテキパキと進めていきなんとか終わらせた。


「あとはクティアさんのサインが必要なものだけなのでお願いしますね」


「ありがとねー……やっと解放されるわ」


 精魂尽き果てかけているクティアさんに挨拶して私は部屋を後にした。そして礼拝堂まで戻ってくると……精魂尽き果てるルベリーが倒れていた。


「ノ、ノロォ……」


「あ、いけない。うっかり忘れてた……」


 バイオ・スライムたちに揉みくちゃにされたルベリーは体力が限界を超えた様子……これは少し休ませないと帰れないね。


「それまで私もバイオ・スライムたちと遊んでいようか」


「メキュ」


「「「「ウィル!」」」」


 私はバイオ・スライムたちと戯れ、ルベリーの復活を待った。



次は早めに出せるよう頑張ります

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