第145話
お待たせしました。新章スタートです
「さて……イベントが終わったし。早速ジャングルの攻略と行きますか」
「メキュ」
イベント翌日。私は監視都市アマゼニアからジャングルへと挑もうとしていた。アマゼニアから行けるのは2つのエリア。
1つ目は葉獣の樹海と呼ばれるエリア。植物属性のモンスターが襲いかかってくるエリアで、戦闘頻度がかなり高いらしい。
2つ目は熱霧の樹海と呼ばれるエリア。高温多湿で常に熱い霧が立ち込めている。視認性と環境の悪さで苦しめてくる。
「今回は葉獣の樹海へ行ってみようかな」
初めての突入なら環境はシンプルな方が良い。今回ライム、アセロラ、ルベリー、レンシア、ドランってメンバーだからね。
「高温多湿だとレンシアがキツイかもしれないし」
「スナァ……」
私はレンシアの頭を撫でた。そしてジャングルへと降りる原始的なエレベーターに乗った。ガラガラと滑車が回る音が鳴り、ズンと衝撃ごして地面についた。
「ここが葉獣の樹海……」
南国の熱帯林のような植生。人がそれなりに立ち入るからか道はあるけど……かなり鬱蒼としてるね。
(最初はアセロラ抜きで戦わせようかな……?ピンチになったら参戦させれば良いし)
最初からアセロラ参戦は良くない気がする。植物属性相手だと火属性は相性有利だからね……第3進化組にまずはやらせてみよう。
「ドラン。防御よろしく」
「メタァ……」
ドランを前にして私たちは葉獣の樹海へ突入した。そして突入して5分もしないうちにモンスターが襲いかかってきた。
「ガァァァァ!」
「メタァ……」
木の上から奇襲してきたモンスターをドランが盾のように形状変化させた腕で防御する。奇襲してきたのは、黄緑の体に葉のような模様があるピューマ。緑ピューマは防御されるとすぐに後ろへ下がって威嚇してくる。
「スナァ……!」
「ガァァァ!」
威嚇してくる緑ピューマに対してレンシアが砂で拘束しようとするが、左右に機敏に動きながら回避し再び向かってくる。猫科は厄介だね……機動力高くて。
「ルベリーの鎖も当たるかどうか……ルベリー、《堕落呪歌の呪い》お願い」
「ノロォ!」
私は聴けば効果が発揮される《堕落呪歌の呪い》を使わせた。ルベリーが歌い始めるとジワジワと緑ピューマの動きが鈍くなっていく。
「ガァァァ!」
「メタァ……」
「スナァ……!」
動きが鈍くなった緑ピューマは原因のルベリーを狙うがドランに阻まれる。左腕が変化した盾に攻撃は阻まれ、右腕が変化した剣で少しずつ身体を刻まれる。
蓄積される呪いと出血による動きがどんどん鈍くなったところをレンシアの砂に絡め取られた。巻きついた砂は結晶の棘を生やし緑ピューマの身体に食い込みながら身動きを封じた。
「ガ、ァァ……!」
完全に動きを封じ込められた緑ピューマはまな板の上の魚も同然。ドランによって捌かれるのを待つだけとなった。
「メタァ……」
右腕をランスのような形へと変え、緑ピューマへと突き立てる。ちょっと表現し辛い生々しい音が緑ピューマの体内から聞こえてくる。
「ガ……ァ……」
緑ピューマは小さな断末魔を残して消えていった。緑ピューマが消えると枝分かれするように棘の生えたドランの右腕が……何エゲツないことしてんの?
「しかも高温状態……あの緑ピューマは地獄を味わったね」
ドランの温度変化能力……頭から抜けてたね。とりあえずアセロラ抜きでもなんとかなる強さってのが分かって良かった。
あとあの緑ピューマの名前はグリーンヘル・ハンターピューマ。素材を見た感じ特殊な能力は無さそうだった。
「メラ……メラ?メララ!」
「わっ!?」
私がグリーンヘル・ハンターピューマの素材を確認しているとアセロラに突き飛ばされた。そして私の頭があったところを何かが勢い飛んでいった。
飛んできたものは緑色の棘。よく見ると薄らと紫色の液体が付着している……毒か。毒自体は効かないとして、アレが頭に直撃していたら死んでいたね。で、何処のどいつ?あんなの飛ばしてきたやつは。
「ギュロロロ」
私が棘が飛んだきた方を睨むと棘を飛ばしてきた犯人が出てきた。そしてそいつの姿を見て私は苦虫を潰したような気分になる……そいつは背中に扇のような背ビレがあり、尻尾に鋭い棘の生えた恐竜……ステゴザウルスと呼ばれる恐竜の姿をしていた。
「亜竜……こんな入ってすぐのところに生息してるなんてね」
「ギュロロロ!」
ステゴは尻尾をユラユラ動かしたかと思うと尻尾に生えた棘を飛ばしてきた。ドランが前に出て防御するけれど、弾き切れず盾のように広がった腕に刺さっている。毒自体は無効化してるけど……棘自体の威力が高いね。
「ノロォ!」
「スナァ……!」
ステゴに対して呪いの鎖と砂の拘束が襲いかかるが、ステゴが尻尾を振り全て打ち払う。
そして尻尾の棘を再生させると再び飛ばしてくる。今度はレンシアも砂の壁を作って防御をするけど、多少勢いを削ぐくらいしか効果が無かった。これは舐めプしてる場合じゃないね。
「ライムはドランの治療。アセロラはあのステゴに攻撃。ルベリーは呪歌で妨害。レンシアはドランのカバーして」
私はライムたちに指示を出す。ライムとドランがレンシアの後ろに移動し治療。代わりにやる気を漲らせたアセロラが前へと出た。こーれ、ドランがダメージ受けたことにちょっとキレてるね。末っ子の仇取ろうとしてる。
「メララララ!」
アセロラは両手を前に向け、火炎放射をステゴへと解き放った。それに対してステゴは背中の背びれのような板に光を集めると口からビームを放った。ビームはアセロラの火炎放射と攻めぎ合うが、アセロラが《過燃焼》を使うと均衡は一瞬で崩れステゴが炎に包まれた。
「ギュロロ……!」
「スナァ……!」
弱点であろう炎に包まれてもステゴは倒れず尻尾を振って棘を飛ばすが、それはレンシアの砂が阻む。ダメージとルベリーの呪いのおかげで、今回は砂でも受け止められたね。
最後の足掻きを防がれたステゴは地面へと横たわって消えていった。亜竜が出てきてビックリしたけど無事に倒せたね。
「これで一息……は付けそうにないね」
「メキュ」
私は周囲の森から感じる敵意……殺意を感じていた。もう次のモンスターが来ている……淘汰の大森林以上の殺伐さだね。
(戦闘頻度が高いとは聞いていたけど……ちょっとこれは想定外)
アセロラだけで捌き切れるか……そこは上手いこと指示していこう。私は新たなモンスターに備えながらそう思った。
作者「イベントで強くなって安心してた?残念、楽なんてさせないよ?」
ココロ「腹立つー……八つ当たりでしばらく戦闘回にしてあげようか?」
作者「それだけはやめて!?」




