第144話
短めです
あと、前回プロローグとエピローグを間違えました……
疲れてんのかな?
イベント最終日、夜。常に空を覆っていた雲が消え、霧も無くなったことで浮上都市は星とクラゲを思わせる青い満月の光で明るく照らされていた。
モンスターたちも鳴りを潜めており、倉庫街や市場などのフィールド以外は敵が沸いていない。最終戦の城はプレイヤーたちが宴会をしている……私もさっきまではチェリーたちと参加してたけど抜けてきた。行かなきゃいけないところがあったからね。
「ここも静かだね……というか呪毒が無い?」
私が来たのは研究所……パイプとかを通っていた呪毒は消えていて、黒い珊瑚が生えている廃墟にしか見えない。あのキラーアメーバも出て来ない……まぁ、目的はあのスライムモドキじゃないけどさ。
「お、居た居た」
「「「「ウィル!」」」」
私たち以外誰も居る気配が無い研究所を進み、呪毒に侵されたトカゲと戦った場所に来るとバイオ・スライムたちが居た。ここに来たのはこの子たちに会いに来たんだよね……イベントも終わっちゃうし。
「メキュ」
「ビリリ!」
「メララ!」
「「「「ウィル!」」」」
「……ドロォ」
「ヒヤァ……」
ライムたちとバイオ・スライムたちが戯れ始める。2名ほど怠そうにしてるけども……ルベリーも連れてくれば良かったかな?バイオ・スライムたち、ルベリーに引っ付いてたからね。
「と、それは良いや。ライム、バイオ・スライムたちに集まるように言ってくれる?」
「メキュ」
私はライムにお願いしてバイオ・スライムたちを集めてもらう。研究所のあちこちからワラワラとバイオ・スライムたちが集まってくる……あれ?こんなに居た?
「集まってもらって悪いね。ちょっと着いてきてくれない?」
『ウィル?』
私は不思議そうにしているバイオ・スライムたちを連れて研究所を出る……そしてそのまま住宅街を抜けてCの調査拠点へ。プレイヤーは誰も居なくて、調査団のの人たちも撤収してしまったので綺麗な空き地だね。
「あの人はまだ来てないか……ん?」
待ち合わせ相手が来てないと思っていると、遠くに見える海の一部が膨らんだ。その膨らみは水飛沫を上げながらこっちへと向かってきていた。お、来た来た。
「ココロちゃんお待たせー」
「待ってましたよ。クティアさーん」
膨らみの上にはショゴちゃんを抱えたクティアさんの姿が……乗っているのは水の試練であった子かな?
クティアさんたちは勢いそのままに着岸。ドプンって感じでクティアさんが乗っていたスライムが揺れる。
「オシャ〜」
「メーア。お疲れ様」
滑るように降りてきたクティアさんがポンポンと乗ってきたスライム、メーアちゃんを撫でている所に私は近づく。バイオ・スライムたちはクティアさんを警戒しているのか私の後ろに……いや、数多過ぎて隠れられてないよ。
「クティアさん。来ていただいてありがとうございます」
「気にしなくていいわ。ココロちゃんのお願いだからね……後ろの子たちが話していた子たちね」
クティアさんはしゃがむとバイオ・スライムの1匹を撫でた。それで警戒心が無くなったのかバイオ・スライムたちは隠れるのをやめてクティアさんに集まっていく……ちょ、クティアさんが埋まっちゃってる。掘り起こせー!
「や、闇属性の子でここまで人懐っこいのは珍しいわね……びっくりした」
「あの数でしたからね……服乱れてるので直しておきますね」
バイオ・スライムたちの海からクティアさんを救出。服があちこち乱れてて大変マズい……うちの神官服の形状的に。
「で、どうですか?問題無さそうですか?」
「そうね。これだけ人懐っこくて友好的なら、王都に連れて帰っても大丈夫ね」
クティアさんは自分の周りをピョンピョン跳ねてるバイオ・スライムたちを優しく見つめる。そう、私がクティアさんに来てもらったのはバイオ・スライムたちをこの浮上都市から連れ出してもらうため。
イベントが終わった後、この浮上都市がどうなるか分からなかった……もしかしたらイベントが終わった後、また海の中に沈んでしまうかもしれない。だからクティアさんに相談したんだよね。そしたら人間に害が無いなら王都の神殿で引き取ってくれるとのこと。
(丁度、神殿の管理のお手伝いが欲しかったらしいからね)
あの神殿、普段クティアさんとショゴちゃんしか居ないからね。2人だけじゃ確かに管理し切れない……
(他の子たちは多分試練の管理しているんだろうし、人手……スライム手が必要か)
ちなみに危険性があった場合は神殿内から出さないように気をつけながら管理する予定。神殿内なら人に迷惑もかけないからね……あの神殿、なんでか地下広いし。
(試練の場以外にも部屋ありそうだしね……)
あの神殿の間取りがどうなってるのか知りたいところ。それはさておいて、早速バイオ・スライムたちの輸送準備をしていく。といってもメーアちゃんに乗せていくだけなんだけどね……やっぱり大きいよね。この子。
「それじゃあ私は帰るわね……あんまり長く神殿を空けていられないから」
「はい、バイオ・スライムたちをよろしくお願いします」
クティアさんは颯爽とメーアちゃんに乗った。メーアちゃんの上では手を振るかのようにバイオ・スライムたちが身体を揺らしている。
「また向こうで会おうね」
「「「「ウィル!」」」」
「オシャ〜!」
メーアちゃんは汽笛のような声を出して出発した。メーアちゃんの身体がどんどんと水平線へと進んでいき……遂に見えなくなった。
「さて……それじゃあ私たちも帰ろうか。ルベリーたちが待ってる拠点に」
「メキュ」
「ビリリ!」
「ドロォ……」
「メララ!」
「ヒヤァ……」
早く帰らないとルベリーが拗ねそうだからね。私は浮上都市から王都へと転移し、留守番組が待っている拠点に帰った。
こうして浮上都市での冒険は幕を閉じた。
次回、掲示板
早めに出せるよう頑張ります




