第134話
チェリーたちとの探索を終え、私は拠点へと戻りプルーンの進化先を確認していた。と言っても1択しか無いんだけどね。
「ブライニクル・スライムヒューマ……これが進化先か」
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▶︎進化先
ブライニクル・スライムヒューマ
氷属性のスライムヒューマの進化先の1つ
堅牢な守りにより、数多の敵に絶望を与えたスライムヒューマのみが進化できる
海水だろうと凍らせる冷気を操り、その氷は鋼でも砕けず生半可な炎では溶かせない
比較的好戦的では無いが、敵対者には冷酷に死を与える
極寒の氷海地帯で目撃され、絶対零度の女王の異名を付けられている
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ブライニクル……調べてみたら特殊な氷柱のことみたい。別名は死の氷柱……なんか怖いものがモチーフになってるね。
「それじゃあ進化させるよ」
「ヒヤァ」
最早見慣れてしまった進化の過程を見届け、進化したプルーンの様子を見る。進化したプルーンは髪が少し伸び、髪先にかけて水色から白色になるようなグラデーションができている。あと前髪がアシンメトリーみたいになって左目はメカクレみたいな感じになってる。
他には薄らと光を反射する冷気を纏うようになったくらいかな……私は装備があるからなんとも思わないけど、寒さに耐性無い人は寒さを感じるだろうね。
「髪型がここまで変化するのは初めてだなぁ……能力の方はどうかな?」
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プルーンlv1/80
種族:ブライニクル・スライムヒューマ
(第4進化)
HP:600/600
MP:400/400
スキル
《悪食》《物理耐性・Ⅳ》《氷無効》
《急速凍結液・Ⅶ》《守護》
《海氷大槍》
極低温の冷気を纏った塩氷の大槍を作り出す
冷気は耐性の無い相手に持続ダメージと凍結を与え、刺せば内部から凍らせ破壊する
金属属性に少し有効
《海氷大楯》
極低温の冷気を纏った塩氷の大盾を作り出す
纏わせた冷気は炎の勢いを削ぎ落とし、触れようとすれば身体の芯から凍えさせる
《寒獄生成》
自分の周囲に極寒の空間を作り出す
空間内の敵は時間経過で凍結が加算され
満腹度の消費を加速させていく
《氷海の守り》
炎と熱への耐性を大きく上昇させ
氷と冷気を強化する
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進化したことで冷却能力が向上……更には大勢の相手に対処できるようになった感じ?《寒獄生成》はかなり気になる。満腹度削りって初めて見るし。
「数ってなれば……地下街で試そうかな」
あそこ、亡者たちが本当に多いから。実験場としては地味に使える……それ以外はゴミだけど。
私は早速プルーンを連れて地下街へ。他のメンバーはライムとレモン。それと少し経験値を取得させるためにルベリーとメロンを連れていった。地下街に着くとすぐに亡者たちがあちこちから集まって襲いかかってくる。
「ヒヤァ……」
「「「「ァァァァ……」」」」
プルーンが少し青みがかった大槍を振るうと、傷口が凍りついた亡者たちが地面に転がる。一撃で倒せてはいないが凍結で動きを止め、発生する持続ダメージが息の根を止めていく……火力の低さを持続ダメージが補っている。
「ヒヤァ……」
「ァァァ……ァ……」
次に守り。プルーンが飛びかかってきた亡者を大楯で殴り倒すと、殴り倒された亡者は氷を纏いながら地面に倒れて動かなくなった。氷はどんどん広がり全身に広がる……完全に凍りついた亡者にプルーンが大槍を突き刺すと粉々に砕け散った。
「亡者の凍結耐性が低過ぎるんだろうけど……下手に殴れなくするのは強いね」
そして最後に《寒獄生成》。これを発動させるとプルーンを中心に青白いドーム状の冷気が発生。ドームの半径は5mくらいで私たちには何も影響が無い。
亡者たちの方はドーム内に入るとジワジワと身体に氷が付着、ガリガリの亡者は最初から満腹度が無いだろうから満腹度削りは分からないけど、凍結の加算は把握できたね。
「凍結速度もそれなりにあるしね……だけどMPの消費が早い」
プルーンのMPはそこまで増えてない。《寒獄生成》はあまり多用できない感じか……その辺の雑魚敵に使うのは勿体無い。
「検証はこんなもんかな……」
攻守共にかなり強化された。スチンとは更に違った役割が持てるし……あと火力上がったのがシンプルに嬉しい。
(プルーンはちょっと火力低いのがネックだったからね……)
あと前までだと凍結液を直接浴びせないと凍結狙えなかったのも、大槍や大盾で殴るだけで凍らせられるようになったのはありがたい。
「てか進化したてなのに能力をちゃんと使いこなしてるね……あぁ、前とあんまり変化無いからか」
戦い方が変わるような強化はされてない……それによって新しい能力に振り回されることも無い。このまま試練に行っても大丈夫じゃない?
「丁度明日はフリー……最終決戦の準備も必要無いし」
既にやってあるからね。私は明日氷の試練に挑むことにした……試練内容は想像できないけど、プルーンは冷静だし行けるはず。
「1番無謀な挑戦な気がするけど……不思議と失敗する予感がしないね」
まぁ、そんなの試練の内容によるんだけど。検証に満足した私は明日に備えて休むことにし、拠点へと戻った。




