第133話
仕事が忙しい!!
他にもやらなきゃいけないことがあるので更新がしばらく荒れそうです
本当にすみません
「ふーん……結局、あのバリアは消えなかったんだ」
お茶を飲みつつ、私は自分の拠点でアーカイブの新聞を読んでいた。昨日、浮上都市の6ヶ所全てのボスがようやく倒されたわけだけど……それでも中央エリアのバリアは解除されず、先へと進むことはできなかったらしい。
恐らく中央エリアは決戦ステージみたいな感じで、最終日に解放されて決戦って感じかな?
「他のプレイヤーもそれに向けて準備中って感じだね……」
私の場合は……プルーンのlv上げかな?進化目前まで上がってるからね。というわけでちょっとレベリングしに行こう。
「丁度、チェリーたちに誘われてたからね」
前回遊べなかったから丁度良い……今回のメンバーはライム、プルーン、レンシアで行く。
(レンシア、今回行く場所とは相性的にイマイチだけど……最近出番無かったから)
イベントのフィールド、何処も水気多くて……まぁ、結晶を多用すればある程度は戦えるかと思って連れて行くことにした。それにアタッカーに関してはチェリーたちに任せられるしね。私は連れていくメンバーと一緒に調査拠点Cへ移動した。
今回探索するのは研究所……ここは人気無いから楽で良い。なお1番不人気なのは劇場で……昨日まではボス討伐で賑わってたけど、討伐終了後は閑古鳥状態なんだとか。
「あっ、ココロちゃ〜ん!こっちこっち〜!」
私が待ち合わせ場所に近づくと大きな声が聞こえてきた。恥ずかしいからやめて欲しい。人気無いとはいえプレイヤーは居るから、視線が集まる……
「久しぶりチェリー。ミリアちゃん」
「毎日学校であってるけどね。まぁ、こっちでは久しぶりだね」
「私は本当に久しぶりですけどね。お久しぶりですココロさん」
私たちが挨拶している間、パートナーたちも挨拶し合ってる……ん?なんかチェリーのパートナーたちの見た目大変化してない?
「え、チェリーの子たちどうしたの?特殊進化?」
「そうだよ〜。ツクモガミっていうの」
ツクモガミ……付喪神か。確か古道具や器物が100年年月を経て魂が宿り、妖怪や神として現れるってやつだっけ?要するに和風系の種族なんだろうけど……トーテムポールにモアイ像……それと水晶ドクロだったかな?どれも和風じゃないから、服装が民族衣装風でどっちかというと精霊っぽい。
(足が透けてるからお化けっぽさもあるけどね)
あと見た目何処となくチェリー要素が含まれてるね。やっぱり見た目が人に近くなる進化は、プレイヤーの容姿が反映されるのかな?悲しくもどの子も胸が……
「ん?今何考えたココロちゃん?」
「ん?いや、チェリーの子供時代はこの子らみたいな容姿だったのかな?って」
「あ、それ私も思いました。可愛いですよねこの子たち」
凄みのある笑顔を向けてきたチェリーを上手いこと誤魔化した。心読まれたかと思った……これがナギだったら直接言ってたんだろうな。その光景が簡単に想像できる。
ちなみにミリアちゃんのパートナーたちも進化してて、モロコシは尻尾が4本に。ウサギの子は黒い自分より大きいハンマーを担いでいて、ニワトリの子はトサカがクリスタルみたいにキラキラしていて羽毛がモッフモフしてる。
(ミリアちゃんのパートナーも変化凄いな……)
ウサギの子に関しては武器がね。それ短い手足で振り回せるの?あとトゲ付いてて殺意の高さが……
とまぁ、チェリーとミリアちゃんの変化に驚きつつも合流したから研究所へと向かった。今回はボス……は面倒だからその手前までだね。残滓のボスはスキップできるから楽で良い。
「ゴォォォ!」
建物に入る前の珊瑚の道を歩いているとイロウジョンシーゴーレムが行手を遮ってくる。だけど私は攻撃指示を出さない……出す必要ないしね。
「キャロット!」
「キュ」
ミリアちゃんが指示を出すとウサギ……キャロットがハンマーを構えて軽やかにジャンプ。そのまま重い風切り音を鳴らしてハンマーを叩きつけた。ドガァ!!と音が鳴りイロウジョン・ゴーレムの身体を抉り取るように破壊した。
「ゴ、ゴォォォ!?」
バランスが崩れイロウジョンシーゴーレムは地面へ倒れた。そこにチェリーのインディーがスゥと近づいていく。
「インディー。やっちゃえ!」
チェリーの緩い指示を聞いたインディーは手に持ったトーテムポールを振り回す。トーテムポールから太い風の柱が伸びてイロウジョンシーゴーレムの身体を更に抉り飛ばす。身体の6割を失ったイロウジョンシーゴーレムは力尽きて消えていく。
(うん、全然問題無いね……むしろ火力高)
まだ第3進化だよね。やっぱりスライム以外の系統は火力出しやすいのかな……キャロットはハンマーの性能もありそうだけど。
「とりあえず呪毒の対策しようか」
私はチェリーとミリアちゃんに呪毒耐性を得られる薬を渡そうとした。私たちは効かないから必要無いけど……チェリーたちは必要だからね。少し多めに作ってはきた。
「あれ?そういえばチェリーのパートナーたちって……呪毒になるの?」
「ん〜、大丈夫かな〜?インディーたちは進化してから肉体無くなって毒は効かないし。呪いは逆に吸収しちゃうからね」
あー、やっぱり?てかそもそも薬飲めないか。霊体系は確かそういう特性を持ってるってカクリヨさんから聞いたことがある。
チェリーのパートナーたちは進化前は肉体?があったから用意したんだけど、チェリーのパートナーたちの分はミリアちゃんに渡すか。私が持ってても使わないし。
(売るにしても……呪毒耐性の薬は出回り過ぎて値段付かないしね)
これを売るくらいなら他の状態異常回復の薬を売った方が良い……強力な代わりにデメリット重めの薬はナギや百鬼夜行に流せば良いしね。イベント終わったらジャングルの素材で面白そうな薬作れそうだし。
そんなことを思いながら私はミリアちゃんに薬を渡していった。ついでにこれとこれも渡しとくか……ストック溜まってて邪魔だし。
「う、腕が……」
ミリアちゃんの両腕から溢れるくらいまで薬を渡した。その後、私たちは研究所の中へと入っていった。
◇
研究所内部。その探索はちょっとしたところで問題が発生していた……主にミリアちゃんに対して。
「こ、こいつ苦手です……!」
「メェェバァァ……!」
バイオアメーバに対してミリアちゃんがタジタジ。理由としてはミリアちゃんのパートナーと相性が悪いこと。モロコシの炎の攻撃は相性で威力減、キャロットのハンマーは物理耐性があるため効きが悪い。ニワトリのラディッシュはサポート型故に攻撃がね……
「このアメーバ……強いイメージ無かったけど。ハマる相手には強いんだなぁ……」
バイオ・スライムたちにボコられてるイメージしか頭に無かった。あとレモンの雷撃で一撃死…… 強くなり過ぎると見えなくなることもあるもんだね。
「ミリアちゃん任せて。インディー」
バイオアメーバにインディーが風で攻撃をする。しかしバイオアメーバは風にもそれなりに耐性があるようで、身体が千切れようとも再生する……そしてチェリーのアタッカーはインディーのみ。バイオアメーバ1体で詰みかけてる……予想外過ぎる。
「仕方ない。プルーン、レンシア」
「ヒヤァ」
「スナァ……」
私が指示を出すとプルーンが冷気でバイオアメーバを凍結。凍ったバイオアメーバをレンシアが砂の結晶を撃ち込んでバラバラにした。流石に凍結処理からの粉砕処理は再生できないでしょ。
「バイオアメーバがキツいとなると研究所出る?室内だとバイオアメーバしか戦えないし」
バイオ・スライムも居るけど、あの子らとは戦えないからね……そもそも出てこないし。どうも知らないプレイヤーと一緒に居ると隠れちゃうみたい。
「ん〜……大丈夫かな?完全に無効化されてる訳じゃないし。それにダメだったらココロちゃんに護ってもらって見学ツアーで」
「おいコラ」
「あはは……」
私をツアーガイドにしようとするチェリーをペシッと叩く。案内できるほど攻略してないんだよ……来たの今回含めて多分3回目だし。
(最短でボス部屋まで向かっちゃうのもありだけど……ちょいちょい遠回り挟んで向かおうか)
折角の探索なので少しは長引かせよう。私は地図を見つつ研究所を進んでいく。バイオアメーバはプルーンで凍らせてチェリーたちに任せた。これなら倒せる筈だからね。レンシアは複数出てきた時に足止めしてもらう役を頼んだ。補充用の砂はストレージに沢山用意してあるから結晶弾撃ち放題。
『個体名:プルーンのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
そんな感じで進んでいき、もうそろそろボス部屋に着くなー……思っていたらプルーンのlvが規定値まで達した。丁度良い具合に経験値が足りたね。
(進化は帰ってからかな)
チェリーたちは兎も角、他のプレイヤーが見るかもしれないからね。また対人戦イベントとか来たら困る。出る気あんまり無いけど……クティアさんに行けと言われれば行くけどね。
「(進化先はどうなるかな?)」
小声で呟きながら私はチェリーたちとの探索を楽しんでいった。探索はその後無事に終わり、最終日の決戦でまた集まる約束をして解散した。
次はプルーンの進化回……
お楽しみに!




