表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第1章 ゲームスタートと第1回公式イベント編
15/172

第14話



 イベント開始まであと3分のセカンディア。普段は沼や山を探索しているプレイヤーたちが広場に集まっていて、見ているだけで暑苦しい光景となっていた。


「私たちが入ったら潰されそう……ライムたちは確実に踏まれかねない」


 そんな光景を広場から少し離れたカフェのテラス席で眺める……広場にあんなギュウギュウ詰めになる必要性無いよね?ゲーム内なんだからメニューで解決しそう。もっとゆとりを持った方が良い。


(まぁ、私もゆとりがあるわけじゃないんだけども……プレイヤーマーケットが忙しく)


 アップデートが終わってすぐに作り溜めておいた丸薬を流してみた。聖水は役に立つかまだ不明だから流していない……

 イベント前ということもあるのか売れ行きは上々……収入としても、毒消しの丸薬が最近値下がって250Gの買取だったが、マーケットで300Gで出したらどんどん売れていく。それと比例するように面倒な奴も湧いてくるけどね。


「購入制限かけといて良かった……ブラックリストにポイっと」


 私は『購入制限かけるな。全部俺に流せ!』というコメントを送ってきたプレイヤーをブラックリストにぶち込む。既にブラックリストには30は超えるプレイヤーがぶち込まれている……ゴキみたいに湧いてくるよ。本当に……


「これでもブラックリスト入りは厳選してるんだけどね……」


 ラインを決めてそれを超えた奴だけ放り込んでる…… 理由のあるクレームとかは省いてる。こういうのは今後の改良に役立てるから重要。


(思ったよりも阿呆が多かったか……正体バレないように気をつけよう)


 プレイヤーマーケットは偽名を登録出来るからありがたい。私の偽名は『クズモチ』……スライムっぽいお菓子の名前にした。


ゴーン!ゴーン!ゴーン!


「おっ、時間になった」


 私はプレイヤーマーケットを閉じた。広場の方を見ると空に黄金の鐘が出現し、荘厳な音を立てている。それと同時に、広場の中心に紫色のクリスタルが現れ浮遊し始めた。あれがダンジョンへの入り口になるものっぽいね。


『時間になりました。只今より第1回公式イベント【The Treasure Rush】を開始します』


 そんなアナウンスが聞こえると空の鐘が薄れていくように消えた。そしてプレイヤーたちが雄叫びをあげながら水晶へ群がって行く……あっ、転んだプレイヤーが踏まれまくってる。


「ゲームで町中じゃなかったら死んでるでしょ。あれ……」


 ついでに言うとあの水晶に行かなくてもダンジョンには行ける……案の定メニュー開いたら『欲深き者達の墓塚』に転移するコマンドがあったから。


(イベント説明に書いてなかったのは書き忘れか……あるいはわざとか?)


 わざとだとしたら性格悪いね。私は口から出そうになった言葉をお茶を飲んで流し込んだ。


(私も早速ダンジョンに……っていきたいところだけど、その前に最終確認)


 物資良し。ライムたちのコンディション……スチンが寝てるのか反応無いけど良し。ステータスの方は特段問題無し、レモンの《蓄電・Ⅰ》が《蓄電・Ⅱ》になって溜め込める電気の量が150になったくらいだね。イベント前に上げられて良かった。


「準備良し。それじゃあイベントを楽しむとしよ」


 私はカフェを出て広場の隅に移動してから『欲深き者達の墓塚』へ転移した。光に包まれ一瞬の浮遊感を感じ……光が消えると薄紫色の石で造られた小部屋に立っていて、壁には金の燭台が付けられていて青白い炎が灯っていた。


「金の燭台ってところが欲深い要素なのかな……」


 あとこの構造……迷路なのかな?私、迷路苦手な部類なんだけど。方向音痴って訳じゃないのに何故か苦戦する。


「迷路なら左の壁沿いに進めばいいか……」


 私はライムたちを引き連れ通路を進んでいった。しばらく進んでいるとカタカタ……という音が先から聞こえてきた。


「カタカタ……」


 通路の奥から現れたのは動く人間の全身骨格……スケルトンって呼ばれるモンスター。ただ、体のあちこちに金のメッキみたいなのが付いてるね。


「強くなるほど金メッキの割合が増えてそう……」


 さて予想通りアンデッドが出てきたし、聖水を試してみよう。実験だから1番品質の悪い聖水をかけてみた。


ジュゥゥ……


「カタ……カタカタ……」


 聖水をかけられたスケルトンの身体から煙が出て苦しみ始めた。ばっちり効いてるね……攻略終わったらマーケットに流しておこう。


「レモン。GO」


「ビリリ!」


 聖水の性能を確認できたから私はレモンに突撃させる。放電タックルを受けてバチバチバチ!とスケルトンから音が鳴る。濡れてたからかいつもよりも音が激しかった。


(骨に電気って効くのか不安だったけど……問題無さそう)


 私は膝を折り崩れるように倒れたスケルトンを見ながらそう思った。感電って筋肉がないとならないから、突撃命令出してからちょっと不安になったんだよね。


「あっ、こいつ素材落とさない……素材の代わりにポイントって感じか」


 まぁ、骨とか貰っても何に使えば分からんし、犬系のパートナーが居るなら役立ちそうだけど……人骨を与えるのはダメか。


「次は聖水無しで戦ってみよ……5%の弱体化で一撃なら必要無い可能性高い。ライム、レモンは大丈夫だった?」


「メキュ!」


 レモンがダメージを受けてないかのライムチェックも終わり、私は色々検証しつつ先に進んでみることにした。さーて、一体何が待ち構えているかな?



「なんか……思ったよりサクサク攻略できるね。迷路も分岐が全然無い」


 探索開始して30分程。私は想定よりもサクサクと進んでいた。分岐がほぼ無くて敵も少ないから本当に楽に進める。まだ1回目だから当たり前か。


(宝箱とかも今のところ無いしね……これポイントを稼ぐなら結構潜らないと旨味無いね)


 とは言え私たちは戦闘向きの構成じゃないからね。バランスは良いけども……もう前線のプレイヤーは大体はlv20を超えていて、中にはlv30の人もいるらしいし。


(一度に連れ歩けるパートナーの数は5体までだし、このイベント中に私もlv30になりたいかな……)


 ちなみに6体目以降は拠点があれば拠点で待機、拠点が無いならテイマーギルドに預けておける。拠点に居ると自由行動させられるから拠点に預ける方が良い。私のような生産をやるプレイヤーとかは特にね。


(拠点……なんか4つ目の町が今居る国の王都らしいから、そこに作りたい)


 ちなみに国名は千獣国フレンドリア。この世界で1番大きい国らしい……世界地図が何故か閲覧できないからどの程度の大きさなのか分からないんだけど。


(なんか見れる資料……地理関係はあんまし見れないんだよね)


 テイマーギルドの資料室。その町の周囲のフィールドについては調べられるんだけど、他の町とかはあんまり情報が無いんだよね……国単位の地理を知るにはギルドの資料室じゃなくて、ちゃんとした図書館に行かないと見れないのかも。


「図書館……多分王都だよね。どちらにしろ王都までは行かないとか」


 イベントが終わったら頑張って攻略進めよう。今はイベントでレベリング……っと、なんか目の前に大扉が見えてきた。あれ?もしかしてボス戦?


「いくつも階層があるタイプのダンジョンじゃないんだね……それかクリアしていく毎に増えていくのか」


 多分後者だろうけどね。そんなこと思いつつ扉を開ける。扉の先には円形の大きな部屋があり、部屋の真ん中には大きめなスケルトンが居た。気持ち金メッキの部分が増えてる?


「ガタガタ……!」


 声も少し重々しくなってボスらしい……まぁでも。


「聖水を食らえ」


「ガタガタガタ……!?」


 聖水を浴びたボススケルトンは悲鳴をあげ悶え苦しんでいった。うん、こうなるよね。そのあとはいつも通りレモンの放電タックルを食らわせた。

 ただ流石はボスというべきか。弱体化させてるのに死ななかったからスチンの泥弾を数発ぶつけて時間を稼ぎつつ、再度放電タックルを当ててトドメを刺した。


「うーん、やっぱりアタッカーもう1体欲しいなぁ……っと、クリアしたからかウィンドウ出てきたね」


 見てみるとこのまま連続で挑戦するか一旦町に帰るか選べるみたい……思ったより楽だったしポイントも稼げてないからあと何回か攻略しようかな。

 でもその前に聖水だけ売ってこよう。攻略に満足して町に戻ってきた時にコメントを処理できるし。私は1回町へ戻りプレイヤーマーケットに聖水を出してから攻略を再開した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ