第127話
今回は手早く仕上げました
あのね……戦闘シーンは最初と中盤が辛いんじゃ
「「「ウィル!」」」
天井から落ちてきたバイオ・スライムたちはピョンピョン跳ねるとルベリーの背中側に移動、そして積み重なるようにしてルベリーを支えた。更に何匹かは球体を一緒になって押し始める……バイオ・スライムたちも球体の影響を受けない様子。
(バイオ・スライムたちも呪毒の身体を持ってる……だから大丈夫なのか)
ルベリーもバイオ・スライムたちの加勢が来たことで持ち直した。そして球体を呪毒キメラへと押し返した。球体は呪毒キメラへとぶつかり爆発する。
「ギィビィアアアァァァ……!」
流石に自分で出したものだから状態異常になることは無かったが、爆発の余波でよろめいている。しかも爆発のせいで身体の表面の呪毒が剥がれてツギハギの目立つ肌が見えた。
「むっ、あれは……ミネル!あの剥き出しになった肌に攻撃を!」
「ホー!」
デルタさんは剥き出しとなった肌を見るとそこへ集中攻撃する。剥き出しとなった肌に当たった攻撃は今まで以上に傷を与え、更には再生していない……
「成程、呪毒を纏っていないと再生できないのか……」
更に言えば呪毒は鎧の役割もしていた……剥がす方法は高威力の爆発っぽいね。最初のアセロラの《爆炎粘砲》で剥がれなかったのは威力が足りなかった可能性があるね。
「アセロラ。《過燃焼》使っていいよ……攻略法が分かったからね。呪毒を剥がして」
「メララ!」
アセロラは全力攻撃許可の指示を聞いた瞬間、一気に胸元が一気に青白い光を放つ。そして《過燃焼》によって青く変色した《爆炎粘砲》がチュドン!と放たれ、呪毒の鎧を壊して肌に焦げ目を作っていく。
その間に私は無茶したルベリーを回収。ライムに緊急治療を行わせる。気絶してたから運ぶ時にバイオ・スライムたちが手伝ってくれて助かった。
「ギィビィアアアァァァ!!?」
高温の爆発で呪毒を剥がされ呪毒キメラは大きく怯んでいく。アセロラはドカドカと《爆炎粘砲》を遠慮なく撃ち込んでいく……その影響かボスエリアの気温がどんどん上がっていってるような……
ビチャ!ビチャビチャ!
呪毒の鎧を吹っ飛ばしてるから勿論周囲には呪毒が飛び散っていく。しかしその飛び散った呪毒の液体はバイオ・スライムたちが駆けずり回って綺麗にしていく……彼らにとってはご飯が飛び散ってるのと変わらないからね。
「ギィビィアアアァァァ!!!」
流石にこれ以上呪毒を剥がされてはいけないと思ったか。呪毒キメラは手を大きくすると呪毒の海に突っ込み、救い上げる様に振り上げた。呪毒の波が発生し足場の上を押し流そうとするが。
「メララララ!」
「「「ポッポー!」」」
撒き散らす様に放たれた《爆炎粘砲》の泡と、ウィンドバースト・ピジョンが発生させた竜巻が波を爆発と強風で打ち消した。しかしその大波は目眩し……本命はさっきの球体攻撃のチャージだった。
「ギィビィアアアァァァ!!!」
呪毒キメラは再び色彩豊かな球体を口の中へ生成していく。キャンセルさせようと剥き出しとなった肌へと攻撃が加えられていくが、さっきの大波の対処でアセロラはMPが枯渇し回復中……レモンの雷撃も筒が無いため効果的ではない。このままだと2射目が発射される……が、急にチャージが止まった。球体はまだ全然完成できていない。
「ギ、ギィビィァァ!?」
呪毒キメラの方も戸惑っている。私は呪毒キメラへと液体を注ぎ込んでいた管を見てみると液体が途中で止まっている……というか詰まっていた。そしてそのつまりの原因は……バイオスライムたちだった。
(上にあるであろうタンクに侵入して……管に侵入して詰まらせたの!?)
てかどうやって侵入したのさ……でもおかげであの大技は撃てないね。
「ギィビィ……ギィビィアアアァァァ!!!」
管から液体を供給できないが、自分ではどうしようもない呪毒キメラは少し悩んだ末に未完成のまま球体を射出した。球体は未完成故か不安定……さっきの破壊力を感じさせた球体は見る陰も無い。だからレモンの雷撃で簡単に撃ち落とされシャボン玉のように弾けて消える。
「ギィビィアアアァァァ!!!」
管が詰まったことで遠距離攻撃が封じられた呪毒キメラは物理攻撃で攻めてくる……ただここでも管が影響してきている。あいつ管があるせいで動きが制限されてる。足場ギリギリまで居れば当たらない。
「プルーンも攻撃参加させて良い気がするけど……溜まってる呪毒を巻き込んで液体ぶちまけられてるから待機かな」
攻撃はデルタさんやキラリさんに任せよう。レモンとアセロラで問題無い……と、ルベリーもようやく復活した。
「ノ、ロォ!」
「ギィビィァァ!?」
気絶から復活したルベリーはヨロヨロと起き上がりながら呪毒キメラに手を翳す。ジャラジャラと呪いの鎖が呪毒キメラを締め上げて動きを鈍らせる。呪毒の鎧が無くなったからか、少しばかり呪いが効いてる?鎖を壊すのに若干手間取っている気がする。
「今です!総攻撃!」
「〜♪♪〜♪♪♪」
デルタさんの一斉攻撃の指示、キラリさんの歌もアップテンポになっていきパートナーたちの光が眩い程輝いている。私側もレモンが全開の雷撃とアセロラの青白い火炎放射が放たれた。
「ギィビィアアアァァァ……!!!」
総攻撃を受けた呪毒キメラは必死に抗ったが、遠距離攻撃を封じられた状態で数の暴力には勝てず……最後には爆発して散っていった。
周囲には呪毒キメラの肉片が散らばるけれど……全部バイオ・スライムたちが綺麗に掃除してしまった。なんかほっこりする光景だったね。
ズズズ……
呪毒キメラが消えたボスエリアに鈍い音が響き始める。まだ何かあるのかと警戒していると呪毒の海から鉄の足場が出現……新たな道が出来上がった。よく見ると奥の方に出口と思われる小さな扉が見えた。
「恐らくは都市の中央に向かうための道ですね……折角なら行ってみましょうか」
「そうだね……ヤバい……歌い過ぎて声が……」
「ハチミツ舐めます?」
私は頭に溶けかけたような感じのミネルを乗せたデルタさん。ずっと歌っていて声が枯れかけているキラリさんと共に新たに出現した道を進んでいった……なお、バイオ・スライムたちはここで一旦お別れ。
「ノロォ!」
「「「ウィル!」」」
一緒に球体に対処したルベリーとバイオ・スライムたちは友情が芽生えてたみたい。また今度連れてきてあげよう。
(さて、研究所の先はどうなってるかな……)
◇
sideナギ
「ココロは丁度ボスとやり合ってる頃かな……」
「シュルル」
私はラヴィアの顎の下を撫でて独り言を呟く……私も参加したかったけど、あっちよりはこっちの方が楽しめそうだったから不参加。難易度もこっちが高いだろうし。
「蛇姫……時間よ」
「その呼び方やめろ」
舌打ちしつつカクリヨの後ろをついて行く。ただでさえここ悪臭でイライラするのに……
「「「ァ、ァァァ……」」」
「邪魔……ラヴィア」
「シャァァ!」
寄ってきたクソ亡者を焼き払わせる。雑魚は出てくんな……無駄な消耗させるな。これから戦う奴は一筋縄じゃいかない相手だから尚更……
「キャハハハハ!」
地下中央。そこで暴飲暴食の宴をするスキュラ……周辺に積まれた死骸死体はだいぶ減っている。取り巻きタコを減らしたことによって貯蓄は減っている……完全に取り巻きタコを根絶できなかったが、そいつらは有志が足止めする予定。
「私が頼んだ研究所のボスをココロがやるんなら……ココロに頼まれたこいつは私がやらなきゃ」
「それには同感ね……私も彼女にボスに挑むようお願いしちゃったし。攻略勢の意地見せましょうか」
さぁ、タコ焼きパーティーを始めようか。
次回はナギ視点となります
お楽しみに




