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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第5章 第4回公式イベント 浮上都市編
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第115話




「…………全然、何にも起きないな?結構探索してるけど」


 研究所に入り込んで時間が経過した……しかし私やライムたちの身体に異常は発生しない。聞いてた話しだと時間経過で紋様が出てくるはずなんだけど……なんで?ライムたちはスライムの特性で無効化できそうではあるけど、私は普通の人間……あっ、もしかして?


「耐性……ライムたちの耐性を持ってるからかな?」


 私の防具……忘れがちだけどパートナーにしているスライムたちの耐性を得ることができる。パートナー10体分の耐性……考えてみると1番耐性面でガチガチなの私じゃね?


(耐性で防げてるってことは未知の状態異常では無い……環境的に属性由来の可能性は低い)


 あるとしても闇とかかな……崩壊とかも有り得そうだけど、それだと誰も耐性持ってないからね。


「状態異常としては肉体系由来……ライムたちは精神系は防げないからね」


 まぁ、呪い関係はルベリーが耐性持ってるけどね。環境的には毒か呪いかな……暴走や凶暴化は副次的な効果って可能性がありそう。段々と絞り込めてきたね。


「んー……でも毒なら薬で対処できるはずだし。呪いに関しても聖水で対策できてるはず」


 神殿所属が増えて聖水の供給も増えてるからね。んー……本当によく分からないな。とりあえず奥まで行けば原因が分かるはず……それはそうと。


「後ろどうしようか?」


「メキュ」


 後ろ……なんか着いて来てるんだよね。プレイヤーではなくモンスター……襲ってくるわけでもないから放置してたんだけど、流石に気になる。


(それに……なんか多いんだよね)


 最初は1体くらいだった……それが気づいたらポヨポヨポヨポヨ!と凄い音が聞こえてくるようなった。良い加減煩いし……どうにかしよ。私は一旦気にしないように先に進んだ。そして曲がり角を曲がり……追いかけて来ているモンスターを待ち構えた。


ポヨポヨポヨポヨポヨ


 音がどんどん近くなる。耳がおかしくなりそうな程の密度を伴い、音の主たちは曲がり角を曲がり顔を見せた。


「「「「「「ウィル!?」」」」」」


 音の正体はある程度察しては居たけどスライム……明るい黄緑色でこの研究所を流れる謎の液体に酷似している。鳴き声はなんか変わってるね。

 スライムたちは見つかって慌てているのか、ワタワタとし始める。あー、これどうしよ。


「メキュ」


「ビリリ」


「ヒュウ」


 慌て始めたスライムたちをライム、レモン、チェリモが宥め始める。スチン、ルベリーのコミュ力低い組は私と一緒に眺めてる。

 スライムたちは次第に落ち着きを取り戻した。スライムたちの数は20体……多いな。


「「「「「「ウィル!」」」」」」


 スライムたちはライムたちと打ち解けたのかピョンピョンと楽しそうに跳ね回る。私の称号のおかげとはいえ……敵であるはずのスライムに襲われないの強いなぁ。


「メェェバァァ……!」


 私がスライムたちのワチャワチャを見ているとスライムモドキのアメーバ野郎が出てきた。可愛いスライムたちを見て癒されてたのに……そう思いながらレモンに駆除指示を言おうと思ったら。


「「「「「「ウィルゥゥゥ!!」」」」」」


「メ、メェェバァァ……!?」


 スライムたちがアメーバをボコボコにし始めた。アメーバは「何事!?」みたいな戸惑いを見せながらボコられていく。まぁ、味方だと思っていたやつからボコボコにされたら戸惑うよね……


(今のうちに掲示板を……)


 スライムたちの情報が欲しいからね。私は普段あんまり見ない掲示板を開き、スライムたちの情報を探した。結果としてはスライムたちの名前はバイオ・スライム。この子たちも謎の状態異常を発生させるモンスターだった。


「メェェバァァ……」


「「「「「「ウィルゥゥゥ!!」」」」」」


 情報収集を終わらせるとほぼ同時。多勢に無勢……数の暴力を受けたアメーバはバイオ・スライムたちに寄って倒された。うーん、数ってやっぱり偉大。


(名前に・付きの時点で強いことは理解してたけど……想定以上だったね)


 敵対されないように気をつけなきゃ……まぁ、ライムたちとピョンピョン跳ねてるのをみている限り大丈夫そうだけどね。というかここまで打ち解けてるなら……


「ねぇ?この場所で1番重要な場所って知ってる?」


「「「「「「ウィル?」」」」」」


 ダメ元で私はバイオ・スライムたちに聞いてみた。バイオ・スライムたちは大事な場所?って感じで身体を傾け……着いて来てって感じで先導し始めた。まさか案内してくれるなんて……あんまりここに対する帰属意識が無い?


「「「「「「ウィル♪ウィル♪」」」」」」


 ご機嫌なバイオ・スライムたちに連れられ、私たちは研究所の奥へと向かっていった。時折、アメーバが襲ってきたりするけど被害は0……バイオ・スライムたちの殺意が高過ぎる。


「私たち、ほぼ何もしてないね……」


 経験値と素材が手に入らないから良いことばかりではないんだけどね……経験値稼げないのは不味いから流石に途中から私たちで戦闘することにした。


「「「「「「ウィル!」」」」」」


「ここ?」


 そうして辿り着いたのは大きなタンクの並ぶ場所……液体の貯蔵庫なのかな?タンクにはパイプがいくつも繋がっていて、折れているパイプから中身の液体がドバドバと地面へぶちまけられている。何処かに穴が開いてるようで今居る橋のような足場が沈没することはなさそう。


「ウィル!」


 私が周囲を確認していると1匹のバイオ・スライムが大きな声をあげた。その子のところに行くとバルブハンドルがあった。近くにはここの研究員が残したと思われるメモが……開いて確認をしてみると、このバルブハンドルを捻ることで液体の流れを変化させることができるみたい。


「どうも本命は地下にあるみたいだね……」


 メモには地下にある何かを止めようとしたが、地下が水没して入ることができなくなった。そのため地下に流入している液体……呪毒を止めるためにここに向かったらしい。


「呪毒……これが正体か」


 名前からして呪いと毒の複合ってところかな……詳しい情報はこのメモには書いてないね。とりあえずこのバルブハンドルを回そうか。私は丸いハンドルに手をかけ回そうとする……と、その時。


ザバァ!!


「ギュイイイ!」


 タンクから漏れ出た呪毒の海。そこから甲高い鳴き声と共に何かが飛び出して足場に乗ってきた……現れたのは10m程の身体に棘が生えたトカゲ。目と棘が緑色に発光し、口からはダラダラと呪毒の液体が垂れ続ける。


「中ボスってやつかな……すんなりと回させてはくれないか。レモン攻撃。チェリモは空から援護。スチンはレモンのカバーに入れるようにして」


 私は驚きつつも指示を出す。ルベリーの鎖で拘束できれば良かったんだけど……呪毒を扱うなら呪いの効きは悪そうだからね。


「ビリリリリ!」


「ギュイイイ!!」


 レモンの雷撃剣を受けトカゲは痛がる様子を見せる。しかしその傷はジュグジュグ!と嫌な音を立てて再生していく……こいつ再生能力持ちか。


「ギュイイイ!!」


「ドロォ」


 傷を再生させたトカゲは尻尾を蠍のように曲げて先をこっちに向ける。ジャキ!と棘が伸びると私たちに向けてマシンガンのように射出された。それに対してスチンが水の膜を広げて防ぐが、弾幕が多く何発か抜けてスチンにダメージを与える。


「ギュイイイ!!ギュイ!?」


「ヒュウ!」


 スチンを削り殺そうとトカゲは更に弾幕を増やそうとしたが、上空からチェリモの霧風刃を何発も受けて尻尾が切り落とされる。流石のトカゲも切り落とされた部位は再生に時間がかかるみたい……とは言っても猶予は短いみたいだけど。


「呪毒漬けになると再生力が上がるの?」


 しかもこいつ……痛覚無いね。最初の怯みも痛みよりは雷撃による衝撃に対しての反応っぽい。強くはないけど面倒なタイプだね……


「頭潰したら流石に死ぬよね?」


 とはいえ今回連れてきてるメンツ……部位破壊できるのチェリモくらい。アセロラかドランを連れて来れば良かったね。


「ギュイイイ!!」


 トカゲは尻尾が無くなったからか私たちに向けて突撃、呪毒が滴る爪を振り下ろしてくる。また口からドバァ!と呪毒を吐き散らす。


「呪毒……効かないけど面倒だね」


 呪毒吐きは足場がビチャビチャになってるし……胃酸でも混じってるのがジュウジュウ音がしている。再生能力に毒……嫌われる能力の組み合わせ過ぎる。


「ビリリリリ!!」


「ヒュウゥゥ!!」


 好き勝手に暴れるトカゲにレモンとチェリモが攻撃を加えていくが、再生能力のせいで苦戦気味。無限に再生できないだろうけど……これは消耗戦になるかな。私がそう思ってMP回復の薬の在庫を確認しようとした時だった。


「「「「「「ウィルゥゥゥ!!!」」」」」」


「ギュイイイ!?」


「えっ?」


 突然、足場の縁からバイオ・スライムたちがワラワラと出てきてトカゲの身体に纏わりついた。後ろを振り返ってみると、後ろに居たはずのバイオ・スライムたちが居なくなっていた。どうも戦闘中にしれっと呪毒の海に潜ってトカゲに近づいてたみたい。


「ギュイイイ!!」


「「「「「「ウィルゥゥゥ」」」」」」


 トカゲに張り付きバイオ・スライムたちだけども、トカゲが振り払うと簡単に離れてしまう……ただバイオ・スライムたちが張り付いていたところに傷ができていて、更に再生していない。


「呪毒を吸い取ったってこと?となれば……バイオ・スライムたち離れてて」


「「「「「「ウィル!」」」」」」


 私の声を聞いて張り付いていたバイオ・スライムたちがトカゲから離れる。トカゲは邪魔していたバイオ・スライムたちに攻撃をしようとするが、レモンとチェリモが邪魔をする。


「ライム。あのトカゲに《慈悲の祝福》を」


「メキュ」


 ライムが強力な浄化効果を持った液体をトカゲに振りかける。液体がかかった部分からジュワァァァ……と音が鳴る。黒い身体の色が抜けていってる。やっぱり呪毒は浄化でどうにかできるみたいだね……かなり強力な浄化効果じゃないとダメそうだけど。


「ギュイイイイイイイ!!?」

 

 呪毒を浄化されたトカゲは苦悶の絶叫を放つ。呪毒に依存した能力故に呪毒を浄化されるとダメージか……バイオ・スライムたちも身体は呪毒でできてるだろうし、巻き込まないように離れさせて良かったね。

 トカゲは苦しむ声をあげながらゆっくりと橋の縁、その先の呪毒の海に逃げようとする。呪毒を身体に入れ直すつもりか……でも逃がさない!


「今なら再生されないはず。レモン!」


「ビリリリリ!」


 レモンがバリバリ!と音を放つ雷撃の大剣をトカゲへと振り下ろす。トカゲは雷撃に飲まれ断末魔をあげる前に全身黒焦げに……そして活動を止めた。


ちょっとやること多くて執筆時間が取れない……

今後の投稿ペースが不安定になってしまいますが

ご理解のほどよろしくお願いします

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― 新着の感想 ―
バイオ・スライム20名いたら、やることはひとぉーつ、 キング・バイオ・スライム爆誕だぁw
かわいいなこの子ら。全部は持ってけないだろうし、誰か一体選ぶのも多分決まらないだろうから、合体して大きな一体にならないかな。 でも、自身の体だから制御はできるだろうけど呪毒の塊かぁ。 これ、たまたま…
このバイオ・スライムたち、この研究所の"人間にとって"重要な場所を理解してるのか。スライムたちにとって重要な場所なんてごはん取れるとことかになるだろうし。
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