第111話
防衛都市ぺレーミア。惑わしの大砂丘の先にある大きな都市でアラビアンな雰囲気があり、かなり活気がある。そして防衛都市と付いている理由は……
「凄い火山だね……」
西の更に先に見える大きな山脈。ここからでも見えるほど溶岩が赤く光り、山頂からは黒煙が雲のように広がっている。
西の砂漠地帯はここらで一旦終了……この先に広がっているのは溶岩の流れる活火山なメインになる。そしてあの先にはまだ行けないんだよね。何故かと言うと……
「テイマーギルドのランクが足りないんだよね……」
ここから先は危険地帯。テイマーギルドのランクがB以上じゃないと進めない……私はまだランクCだからね。最近はギルドの依頼をあんまり受けてないし……あとランクB以上はランクアップする時に試験を受けないといけない。
「試験は王都のギルドじゃないと受けられない……ちょっと面倒だね」
まぁ、受けないと攻略止まっちゃうから……時間がある時に受けてこよう。とりあえずドランの進化させちゃおうか。流石に往来の多い場所で進化させたくないから、久しぶりにギルドの生産室を借りた。
「さーて、どんな進化先になったかな……」
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進化先
▶︎ネオコアダイト・スライム
コアダイトの力をより引き出せるようになったスライム
強力な磁力、高温、低温の操作能力が更に向上
手数の多さならスライム随一と言える
なお、このスライムの情報は皆無であり
未知に包まれている
▶︎フォーミング・スライムヒューマ
人に近づきたい、人になりたいと願った金属性のスライムの進化先
主人に愛され、主人を深く信頼していないと進化先に現れない
人に近くなったことでより精密な磁力、温度の操作が可能になり、自分の身体の状態も変化させられるようになった
人とモンスター。その境目に至る可能性をもつ
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フォーミング……整形?思っていた感じと違うなぁ……とりあえず進化させてみよう。あ、進化先はちゃんと聞いた上でね。まぁ、ドランには『お好きに』みたいな反応を返されたよ。
「メタァ……」
進化したドランの外見は相変わらず私とそっくり。メタリックになるかと思ってたけど少し暗い灰色になり……ジト目に無表情。や、やさぐれてる?
(ステータスは……色々変わってるな)
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ドランlv1/60
種族:フォーミング・スライムヒューマ
(第3進化)
HP:150/150
MP:150/150
スキル
《悪食》《物理耐性・Ⅳ》
《磁力操作・Ⅳ》《温度操作・Ⅳ》
《適応金属体》
周囲の環境に合わせて適応する金属の身体
熱などのフィールドによる影響を無効化できる
雷属性の攻撃を受けると、適応が少し解除されてしまうため注意
《身体硬質化》
自分の身体の細胞を固形化させる
固めた身体は流動性が無くなるが、武器にも盾にも使うことができる
ただし、電撃が流れると固形化は解除される
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ふむふむ……温度系の耐性と《金属体》が合体して《適応金属体》になって、《身体硬質化》が新しく増えたって感じ。ドラン、あなたはどんな進化先を目指してるの?
「それじゃあ能力チェックがてらレモンの経験値稼ぎのために大砂丘に戻ろうか……」
レモンもあとちょっとで進化だからね。その前にスチンに水を補給して……ちょいちょい消費した薬(私のドーピング)を作り足しておこう。私は準備を万全に整えてから惑わしの大砂丘へ戻った。
◇
ドランの能力チェックをして30分程経過。チェック自体は順調、特に問題無くドランは戦闘をこなしている……うん、こなしているんだけど。
「そういう戦闘方法なの?」
「メタァ……?」
私はドランの右腕……筒のように変形した腕を見る。ドランはその筒の先を偶々こっちに気づいたアースラプトルに向ける。筒に黒い稲妻……磁力が集まり始め、筒から銀色の砲弾がモンスターに向けて射出された。
「ギュイイイ!!?」
射出された砲弾の速度は速く、アースラプトルは回避できずに直撃。身体に大穴を開けて地面に倒れた。ドランの右腕の筒からはシュゥゥゥ……と白煙が発生し、赤く発熱していた。それも《温度操作》で冷やしたのか薄れていく。
これがドランの攻撃方法……ざっくり言えばレールガン。腕を筒の形に変形して硬質化、強力な磁力で弾を射出して攻撃する。弾はドラン自身の身体でスライムの身体は多少千切れても再生できる……要するに無限に撃てる。
(強力な物理遠距離攻撃……まぁ、デメリットもあるけどね)
まず連射ができないこと、1発撃ったら冷却しないと発射できない……ドランはそれを《温度操作》で短縮できるけど。次に発射時は動くことができない。磁力のチャージ中に動くとチャージがキャンセルされてしまう。最後に発射にそこそこ時間がかかること。初見殺し性能は高いから1発目は良いんだけど……1回見られたら警戒されて簡単に避けられてしまう。
(強い分、色々制限がある感じ……それを補って余りがあるほど強力だけどね)
単発火力なら1番に躍り出た。予想の斜め上過ぎる戦い方だけど……ボス戦とかで期待したいね。遠距離でもチェリモは連射だから差別化できてるし。
そんな感じでドランの進化に若干戸惑いつつも経験値稼ぎは順調。そしてようやく……
『個体名:レモンのlvが一定値に達しました。進化が可能となりました』
遂にレモンのlvが60に達した。早速、私はレモンの進化先を確認する。えっ、周囲の安全?レンシアとドランが居れば問題無いでしょ……万能拘束と戦車が居るんだから。
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▶︎進化先
ライジング・スライムヒューマ
雷属性のスライムヒューマの進化先の1つ
刺激を求める好奇心があるスライムヒューマのみが進化できる
感情に共鳴して雷撃を発生させ、興奮している時は三日三晩雷鳴を奏でると言われている
原初のスライムに近い性質を持つ
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順当な進化先だね……私はそんなことを思いつつ進化させる。進化したレモンは全体的に黄色から薄黄色……名前の通りレモンのような色になった。それと身体の中でもパチパチと小さな電撃が弾けている。
(ライムの時に比べると、変化の差があるね)
では肝心のステータスの方を……
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レモンlv1/80
種族:ライジング・スライムヒューマ
(第4進化)
HP:380/380
MP:670/670
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅴ》
《超速発電》0/5000
MP1当たり100の電気を発電
発電した電気は体内に蓄電される
また予め蓄電しなくても
攻撃時に必要に応じて発電し利用できる
《自在雷撃》
電流、電圧を高めた電気を雷に変化させ
その雷を自在に操ることができる
また雷を留め、武器のように扱える
《雷精の加護》
雷属性の攻撃威力を1.5倍にする
電撃の拡散率を3分の1軽減する
《感情強化》
自身の感情の昂りに比例し、ステータスを強化する
ポジティブや怒りなどの感情が強いと強化され
逆にネガティブな感情だと弱体化する
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ステータスも順当に強化……いや、これヤバいこと書いてあるな。《超速発電》とかMPがあるなら蓄電量が実質無限だし。《感情強化》とか戦闘中にハイテンションのレモンのためにあるようなスキル。そして肝心の攻撃の方は……丁度サンドワーム居たからレンシアに捕獲してもらい、実験台にして検証してみる。
「ビリリリリ!」
ビシャァァァン!!
レモンが手を振るうと青白く太い電撃の鞭がサンドワームに放たれ、空気を引き裂くような音と共に直撃。サンドワームは断末魔の悲鳴をあげることなく光へ変わって消滅した。
「スゥ…………これヤバくない?」
地面に倒れる前にサンドワーム消滅したんだけど……これドランが火力1位になったと思ったけど、レモンも火力1位狙えるようになった?
(威力と音も雷と言って過言は無いし……感情が昂ればより強化される)
今日だけでうちの戦闘能力が飛躍的に上昇したね……私はその事実に戦慄した。その後、進化したレモンの力を存分に振るわせて私は拠点へと戻った。ドランとレモンの進化の衝撃が大きかったね……
ちなみに帰って気づいたことが1つ。レモン……進化したことで電撃のコントロールの感覚が狂ったようで、過充電で魔導バッテリーを1つお釈迦にした。電気の調整、また練習だね。




