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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第4章 第3回公式イベント 闘技大会編
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第102話

新年明けましておめでとうございます(遅刻)

今年もよろしくお願いします



「「シャアアアア!」」


「ヒヤァ」


「ビリリ!」


 2体の大蛇の猛攻。プルーンとレモンが対抗するがあまり状況は芳しくなかった。最初の一撃で体内に溜めていた分を消費し切ったのか、爆炎も雷撃も放ってこない……でもその巨体から放たれる物理攻撃は普通に脅威だった。


ブォォォン!!ビダァァァン!!


 重い風切り音を立てて太い尻尾が振り回される。受け止めたプルーンの大盾にはヒビが入りノックバックで後ろに大きく下がってしまう。叩きつけは受け止めたらそのまま押し潰されかねないため逸らすしかない。

 他にも噛みつき攻撃とかもやってきたけど、そっちはそこまで威力は無く。毒液みたいなのが垂れていたけど、スライムには毒は効果は無い。まぁ、尻尾攻撃だけでもキツい……


(物理攻撃も強いとか……やってられないね)


 特に尻尾の振り回し……速度があり範囲も広い。プルーンが受け止めることができなければ、宛らボーリングのピンみたいに纏めて薙ぎ払われてしまうだろう。遠近……なんなら中距離も対応可能なアタッカー。えっ?いつかこんなやつと戦わなきゃ行けないの?


 とはいえこっちもやられてばかりじゃない。プルーンは氷の大盾の表面に氷の棘を作ってダメージを与えているし、レモンもコブラに吸収されないようにキラーサーペントの方に電撃の鞭を与えてる。しかし防御力が高く氷の棘も電撃の鞭の効き目が悪い……それに。


「キュワァァ!」


 与えたダメージは向こうのヒーラー……羽毛トカゲに回復されてしまう。腹立つ事に向こうは遠隔で回復できるみたいなんだよね。ライムは治療液をかけないと効果が無いのに。


(まぁ、向こうは回復が有限みたいだけどね……)


 回復能力を使うたびに羽毛トカゲの白い羽根が段々と灰色に色褪せていっている……でもそのペースは遅く、こっちの消耗度を考えると向こうの回復が尽きる前にこっちが削り切られるな……


「攻撃でも回復でも向こうが上……凄い辛い……」


「そりゃこっちは戦闘ガチ勢だし……生産プレイヤーに上行かれてたら攻略組名乗れない。というかここまで耐えられてる事に驚いてるし」


 自分のパートナーたちに指示を出しつつ、ナギはこっちを称賛するようなことを言ってくる。上から目線なのがムカつくけど……実際に向こうの方が上だから何も言えない。


(むしろトッププレイヤーから褒められたことを誇るべき?)


 でもナギはなぁ……リアルだと遅刻常習犯で授業中に平気で居眠り、体育授業の終わりには死にかけてる。誇りにくいなぁ……


「何その目は……残念な人を見るような目で見ないでくれる?」


「いや、リアルのあなたは充分残念でしょ……」


「……確かに」


 納得するんだ……まぁ渚らしいけども。そんな呑気なやりとりを挟みつつも、状況は相変わらずこっちが不利のまま……これは勝つのは無理かな。力の差が大き過ぎる……


(でも何もできないままやられるつもりは無い!)


 勝ちの目が無いならせめて大きな爪痕を残して散るとしよう!スライムの底力を見せつけてね!


「ライム。レモン。プルーン。作戦R」


「メキュ!」


「ビリリ!」


「ヒヤァ」


 作戦R……RはRushの頭文字で、作戦内容は『相手のパートナー1体を意地でも倒す!』というもの。要するに当たって砕けろ!って作戦。


(まぁ、こういう状況になるのは予想してたからね……準決勝で使うとは思ってなかったけども)


 なんなら2回戦で負けるって思ってたし。私の作戦を聞いたレモンは『待ってました』と言わんばかりにやる気に、プルーンは『やれやれ』って感じを見せつつも氷の槍を作り出す。ライムは治療液を沢山出してレモンとプルーンを万全な状態にした。


「何をするつもりかは知らないけど……させてあげるつもりは無いよ。ラヴィア」


「シャアアアア!」


 ナギの指示を聞いたキラーサーペントが尻尾を勢い良く振り回した。能力なのか尻尾は炎を纏っていて殺意が高かった。


「ヒヤァ」


 プルーンが炎を纏った尻尾を大盾で受け止める。槍を地面に刺すことでノックバックは回避したけれど、炎で氷が溶かされていく。


「メキュ!」


「シャア!?」


 そこにライムが援護、浄化液を炎にかけて鎮火させていく。キラーサーペントも初めて火を消されたのか少し戸惑っている様子。その隙にプルーンは槍を地面から引き抜くとキラーサーペントの尻尾へ突き刺した。しかし火属性相手に氷は不利……溶け出して水に変化していくけれど問題無い。それが狙いだからね。


「ビリリリリ!」


「シャアアアア!!?」


 溶け出す氷の槍に向けてレモンが全力の電撃を流し込む。内部から電撃を受けたキラーサーペントは甲高い悲鳴を出しながら尻尾を戻す。軽い麻痺状態になったのか動きが鈍い……このまま仕留められれば良いけど。


「シャアアアア!!」


「スティグレ。ちょっと待て……」


 仲間が手痛い反撃を受けたことに怒ったのかコブラの方が襲いかかってくる。頭に血が昇ってるのか尻尾じゃなくて噛みつき攻撃をしてきた。ナギも予定外なのかちょっと困惑するように眉を顰めていた。


「シャアアアア!!」


「ヒヤァ」


 コブラの噛みつきをプルーンは大盾で受け止める。コブラは噛み砕こうと顎に力を入れようとし……動きが止まった。


「シャ、ア!?」

 

 コブラの口に大盾が張り付く。理由は簡単……コブラが噛みついた状態でプルーンが凍結液で固めたから。キラーサーペントだと火で溶かされそうだけどコブラなら簡単に溶かされないでしょ。


(あと羽毛トカゲでも治せないしね)


 頑張って噛み砕いてくれ……できるもんならね。蛇って噛む力は弱そうだし。しばらくは噛めないはず。


「ヒヤァ」


「ビリリ!」


 口が固まって戸惑っているコブラにプルーンが作り直した氷の槍を突き刺す。キラーサーペントと違ってコブラは氷に耐性は無い……氷の槍はキラーサーペントよりは容易く鱗と皮を貫いた。


「シャ、ァァ!!」


 コブラは痛みに怯みながらも電撃を纏わせた尻尾でプルーンを弾こうとする。その攻撃に対しレモンが間に入ってガード、吹き飛ばされるけど向こうの電気は吸収できた。吹き飛ばされたけどレモンのダメージはライムの治療でどうにでもなる。


「ヒヤァ」


 レモンに庇われたプルーンは氷の槍を新しく作りコブラへと突き刺す。突き刺した槍は凍結液で抜けないように固めるおまけ付きで。凍結液は更に舞台の上にも撒かれコブラの動きを鈍らせ拘束していく。特に尻尾付近を固めていき攻撃できないようにしていく。


「シャアアアア!!」


「ビリリリリ!!」


 仲間の危機に麻痺から回復したキラーサーペントが向かおうとする。それに対しこちらも回復したレモンが広範囲放電で牽制する。キラーサーペントはさっきの電撃で過度に危険視しているようで大きく後ろに下がった。


(実際はそこまで威力無いんだけどね……)


 範囲と射程を伸ばすとその分威力が下がるから。まぁ、これでコブラは倒せるかな……レモンが牽制してくれたおかげでね。

 羽毛トカゲの方は非戦闘員なのかそもそも近づこうとしない……ナギも特にコブラを助けるような命令を出さないから、これナギの奴コブラを切り捨てる判断をしたね。


「シャ、ァァァ……」


 口に大盾が固まり、身体中に氷の槍が突き刺され動けなくされたコブラは倒れ弱々しい鳴き声を漏らすしかなかった。変温動物だろうから寒さに弱かったよう……キラーサーペントは属性的に克服してそうだけど、鱗系と戦うときには参考にできそう。


「ヒヤァ」


 トドメを刺すためにプルーンが氷の槍を振りかざす。氷の槍はコブラの喉元へと突き刺さる……コブラは動きを止めて光へと変わって消えていった。氷も一緒に砕け少し幻想的。


「倒せたけど……これ以上は無理かな」


「ヒヤァ……」


 氷を作り続けたプルーンの身体の色が薄くなっている。凍結液作り過ぎたか……この状態だと大盾の耐久力凄いガタ落ちする。この状態でキラーサーペントを相手するのは無理だね。


「ビリリリリ!?」


「おわっ!?」


 私が冷静にプルーンの様子を把握していると、キラーサーペントを牽制していたレモンがゴロゴロと転がってきた。キラーサーペントの方を見ると完全に『怒ってます』って感じの赤い炎のようなオーラを放出していた…………怖。


「まさかスティグレがやられるなんてね。勝手に突っ込んでいったことは後で叱るとして……エンジェ。ラヴィアに残りのMPを」


「キュワ!」


 ナギの命令を聞いた羽毛トカゲが翼を大きく広げた。すると翼の色が一気に灰色に変化し青い光が発生、光は全てキラーサーペントへと吸い込まれていった。


「スティグレを倒したから見せてあげる……これが私たちの本気。ラヴィア」


 ナギの指示を聞き、キラーサーペントは大きく口を開けた。口の中に炎が発生、炎は赤からオレンジ……青へと変化。強烈な光を放ち始める。あー……これヤバいやつ。プルーンが大盾をどうにか作ったけど防げない。レモンはさっきの転倒で目を回して迎撃不能。


「シャアアアア!!!」


 そしてキラーサーペントの口から青白い炎が放たれた。炎は地面へと着弾し……とてつもない轟音と共に爆発した。


「っつ!?」


 着弾による風が土煙を含みながら闘技場を荒れ狂う。なんて威力の攻撃……土煙は次第に晴れていき、舞台の様子が見えるようになると舞台には熱で融解している大きなクレーターができていた。

 ライムたち……死んでないね。着弾位置からしてワザと外された?それでも余波でみんな瀕死状態になってる。なお、相手の方は全然ピンピンしてる。というか物理攻撃が残ってるしね……これは負けだね。外されたのも降参しろってことだろうし。


「降参します。これ以上は勝ち筋無いんで」


 私は潔く負けを認めた。こうして私の第3回イベントは準決勝敗退で幕を閉じた……まぁ、ここまで来れたし満足かな。


「とりあえずライムたちのケアしなきゃ……」


 私は控え室に戻りライムたちの治療を行った。


過去一書くのが大変だった……

しばらくプレイヤーとの戦闘シーンは控えたい……

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― 新着の感想 ―
わざわざ主人公達の格を下げるようなイベント描写要りましたかね? そもそもバリバリ戦闘系メインって訳でもないのに。 意味の無い主人公下げは読者からの不満の種になるので避けることをオススメします。
今年もよろしくお願いします。 まあこれは相手が悪かったからまあ仕方ないな。 しかし準決勝敗退なら三位決定戦がありそうな気もするけど種族縛りで参加人数が少ないからやらないという形なんだろうな。
 まあ、生産系プレイヤーVS戦闘特化型プレイヤーだからねえ。VRMMOの小説だと、戦闘ガチ勢より強い生産系プレイヤーとか珍しくないけど、普通はそうだよね。  むしろ、生産にリソース割いてるプレイヤーが…
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