第99話
「ガァァァァァ!!!」
「シャァァァァ!!!」
「グォォォォォ!!!」
「ギィィィィィ」
スクリーンに映っているのは怪獣大戦争と言えるような戦闘。白色の洋風なドラゴン、ハイホワイト・ドラゴンに対し、黒に赤いヒビのような模様の入ったラヴァ・キラーサーペントと背中に2本の大砲のような器官があるツインキャノン・メガトータスが攻撃する。大蛇と大亀の後方では黒と紫の斑模様のデッドカース・ベノムリザードがチョロチョロしてる。
「ガァァァ!!!」
ホワイトドラゴンは口からレーザーのようなブレスを吐くけれど、キラーサーペントも口から青い炎のブレスを吐いて応戦。メガトータスの方は背中の大砲から圧縮した風の砲弾を撃ち込んで攻撃していった。
「もうこれ……ヘビとカメの方もドラゴンじゃない?」
でも鱗系なんだよね……戦いたくないなぁ。ホワイトドラゴンがボッコボコにされてるし。2対1とはいえホワイトドラゴンがまともな反撃できていない。
(もう1匹居れば戦いになってただろうけど……)
ドラゴンの育成難易度がかなり響いてそうだね。それと相手の鱗系のプレイヤーがかなり強い。パートナーの強さもあるだろうけど。
この人の指示がかなり的確で、相手のリズムを崩してそのまま押し通していってる。そのせいでドラゴン側が中々立て直せないで削られていってる……
「てかあのトカゲがシンプルに面倒そうだね……」
チョロチョロしてる。こいつ毒と呪いを使えるみたい……こいつが尻尾から紫の棘を飛ばして、それがドラゴンに刺さると目に見えてドラゴンの動きが悪くなってる。
(大蛇と大亀が前線を張り。トカゲが後ろから妨害……)
ベノムリザードを先に潰そうとしても前線の2体が妨害して倒せない。先に前線を倒そうにも大蛇には攻撃を容易く回避され、大亀には甲羅で弾かれる……
ホワイトドラゴンはキラーサーペントに全身を締め上げられメガトータスの砲撃を頭に受けて倒れた。ドラゴン……1回戦で敗退か。
「あの鱗系の人とは戦いたくないね……まぁ、次の試合に勝った場合の話だけど」
次の試合……対戦相手はデルタさん。第2回イベントで一緒だったからある程度情報がバレてる。そして鳥系だからチェリモがかなり大事だね。
「向こうの情報もあるにはあるけど……なんかイベントの頃には居なかったパートナーが居るんだよね」
さっきの試合では相棒のハイブリザード・ホワイトオウル。炎を纏った蹴りを放つハイブレイズ・バトルチキン。金属のような光沢のある羽毛と羽根を持ったスチールアーマー・アッシュイーグル。この3体を出場させていた。
戦い方は地上はバトルチキンが暴れ、上からホワイトオウルが氷で遠距離攻撃。そしてタンク役のアッシュイーグルが狙われた方を守るという布陣。組み合わせ自体は普通……だけど情報系クランの力なのか的確に相手の弱点を突くように動かされる。
(さっきの試合だと動けない植物系のパートナーたちを上から攻撃。遠距離持ちの子たちがホワイトオウルを狙った途端、バトルチキンが弱点の炎属性攻撃で暴れ回る)
そしてバトルチキンを狙えばホワイトオウルが氷の雨を降らせる……相手側は翻弄され続けてそのまま負けてしまった。攻撃が当たりそうになってもアッシュイーグルが守ってホワイトオウルとバトルチキンは無傷だった。
(多分、バトルチキンは出てくる……タンクのプルーン対策でね)
でもこっちがプルーンを出さないと見越して違う子が出てくるかもしれない……デルタさんならそういうことをやってきてもおかしくない。考えても考えても良い作戦が出てこないな……
「というか……作戦で向こうに勝つのは無理だと思う」
だって向こうは作戦立案のプロだよ?こっちの浅い作戦とか全部見透かされてるかもしれない。味方に居ると嬉しいけど敵に回ったらキツ過ぎる。
「とりあえずライムとアセロラ、チェリモで行こう……そんで臨機応変に戦おう」
アセロラなのはバトルチキン対策。空中からの攻撃はチェリモに任せ、ライムで適宜回復していく感じ……これで行くしかないかな。守りが薄いけど、それこそ攻撃こそ最大の防御って感じでやっていこう。
「と、第2回戦がスタートしたね」
第1回戦の第1試合はシードになるから、死霊系と獣系の人の戦い……どんな試合になるかと思ったけど。
「あー、これは酷い。相性最悪」
試合の様子はそう言うしか無い状態。なんせ獣系側のパートナーたちが戦意喪失しかけてる……理由はまぁ、相手側のせい。
「ゾンビ系3体……嗅覚に優れた獣系の子たちにはキツ過ぎる」
死霊系側が出したのはゴーレムと力比べをしていた大型のゾンビに、体から紫色のガスを出す中型のゾンビ2体。中型の方が撒き散らすガスがかなり臭いが強いみたい……狼のパートナーとか気絶しかけてる。
(しかもあのガス……多分、可燃性があるっぽいんだよね)
中型ゾンビの種族名はポイズンバーン・ガスゾンビ。バーンって入ってるから火で爆発する可能性が捨てきれない。離れたところから火を放てば対処できるだろうけど、獣系側のパートナーの火属性の子は近距離攻撃に炎を付与して攻撃するタイプ。自爆しなければガスの散布をやめられない。
(これは……死霊系側の作戦勝ちだね)
私がゴブリンに対して行ったのと一緒、最もこっちは獣系というよりは近距離の火属性への対策な気もするけど。毒なら虫系とかにも効きそうだしね……
「これはこの人が決勝に行くかな?」
私がそう思っている間に戦況は完全に死霊系側に傾いている。獣系のパートナーたちが充満しているガスに苦しんでいるところを大型ゾンビがパンチやキックで大暴れ……少しは抗おうとしていたけど悪臭には耐えきれなかった。獣の手だと鼻の穴を塞げないしね。
「とりあえず言えること……どんまい」
私は死霊系のプレイヤーが勝つ様子を見ながら獣系のプレイヤーに向けて呟いた。さーて、この後は私の試合だ……なんとか頑張ろう。
ちょっと忙しくなるんで更新がかなり不定期になるかもしれません
一応、1月末までは不定期になります
ご理解のほどよろしくお願いします




