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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第4章 第3回公式イベント 闘技大会編
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第91話




「キュィィ!」


「スナァ……」


 砂地を走り回るアースラプトルに砂の触手が次々に襲いかかっていく……アースラプトルは回避していくが触手は回り込んだり量を増やしたりして追い詰めていく。


「キュィィ!」


 アースラプトルが襲いかかってくる触手に攻撃をするが、触手は打ち払ってもすぐに新しいものが出現して襲いかかる。おまけに砂には硬く鋭い粒が混ざっているため、攻撃すれば逆にダメージを負っている。

 そうしてスタミナを削られていったアースラプトルは絡め取られ砂漠に沈められていき……生き埋めとなって消えていった。あっ、素材が手に入ったから倒せたね。


「いや……倒し方前よりも怖過ぎない?」


 レンシアが目を離した隙に戦い方がエゲツなくなっていってる……本当にそういう教育とかしてないのに。


(武器として使える砂が多いしね……生き埋めも砂漠だからだろうし)


 相手がいる地面の下の砂を動かして空洞にして引き摺り込む……地面の深いところまで砂の大地である砂漠だからできる技だね。サンドワームとかの地面に潜れる相手には無意味だけど……それ以外のモンスターは埋まったら終わり。そのまま土葬されてしまう……


「砂漠限定の即死技……敵も使ってきそうだから怖いね」


 サンドワーム辺りはやってきそう……虫系ならアリジゴクとかも使ってきそう。なんかここ虫系多いしその内出てきそうだね。


「今日は2箇所目の安全地帯を見つけたいね」


 いつか来る攻略の日に向けてね。前回の地図を頼りに1箇所目の安全地帯まで最短距離で移動、そこから新しい安全地帯を見つけるのが今日のサブ目標。レンシアの進化を目指しつつ頑張って探そう。


「「「ピルルルルル!」」」


 進み始めた私たちに挨拶するかのように、サンドワームが3体も出てくる。ここまで来るとサンドワームは3体以上確定……


「前回の私だったら大変だったけど……今回はしっかり作戦を練ってきてる」


 今回のメンバーはライム、アセロラ、プルーン、ルベリー、レンシア。敵の数が多いから範囲攻撃と範囲デバフの構成にした。ルベリー用にMPの回復薬は沢山用意してある。


「「「ピルルルルル!」」」

 

 サンドワームたちは共鳴するように鳴くと一斉にこっちに向かおうとしてくる……が、サンドワームたちが潜ろうとした地面の砂がピラミッドみたいな形に変化。結合し固くなっているそれに頭から突っ込んだサンドワームたちは顔から突っ込んでいく。ゴッ!って重い音が聞こえた。


(机の角に顔面から思いっきりいったくらいの衝撃かな?…………普通に痛いやつ)


 人間だったら怪我待ったなし。特にあいつらは1番鋭角なところに真正面から行ったからね……絶対に痛い。


「「「ピルルルルル!?」」」


 顔面強打したサンドワームたちは悲鳴を上げユラユラとふらつく。ミミズにも脳震盪とかあるのか?と私が思っている間に、サンドワームたちはルベリーの呪いの鎖で捕縛。動けない間にアセロラの火炎放射とレンシアの砂の槍が突き刺さり、サンドワームたちはあっという間に処理されてしまった。


「こいつら、そこまで弱い敵じゃないはずなんだけどなぁ……」


 砂に潜れるって時点で強いからね。土属性じゃないと潜られたら攻撃できない……レンシアが居なかったら面倒だった。


(調べた感じ……土属性のモンスターって一定の物質に特化したタイプは本当に強いらしいからね)


 闘技大会に向けて属性について調べた時に知った。土属性のモンスターには土、石、砂、泥……これら全てを扱える万能型と、どれか1つしか扱えない特化型がいる。

 万能型は扱える範囲が広い代わりに威力や操れる量が少ない。特化型は1つしか使えない代わりに威力が高く操れる量が格段に多いらしい。また特化型は操れる条件が厳しいほど強力……


(レンシアは乾いた水気の無い砂限定……特化型の中でもかなり厳しい条件)


 ついでに土属性の子の特徴の1つとして、モンスターの中では賢く、戦闘に工夫を凝らす子が多い……レンシアが誰にも教わってないのにエゲツない戦い方をする理由がここに詰まってるよね。特にレンシアは臆病な部分が助長してそう。

 ちなみに前々から思ってことなんだけど、モンスターの性格は属性によるものが多いらしい。未進化ならその個体が最も最適な進化先の属性が反映される……別の属性になるとそっちに引っ張られるんだとか。調べた本だと……


ーーーーーー

火:活発、怒りっぽい

水:柔軟、憂鬱

雷:せっかち、情動的

土:臆病、凝り性

風:楽観的、放浪癖

氷:冷静、冷酷

闇:メンヘラ、執念深い

光:母性、慈愛

植物:のんびり屋、サボり屋

金属:堅物、無慈悲

ーーーーーー


 こんな風に性格の例が書いてあった。これ色彩と崩壊は案の定書いてなかったんだけど……どういう性格してるか分からないの怖過ぎる。破壊衝動とかあったら嫌だなぁ……ショゴちゃんを見る限り大丈夫そうだけど。


「色彩の子は人見知りだったっけ?まぁ、色彩と崩壊は仲間にする時の楽しみにしよう」


 その前に金属属性の子が先だしね。今、私のlvは76……あと4か。イベント終わった頃に迎え入れられるかな?


「てかプレイヤーは本当に上がりやすいね……」


 上がったところで仲間にできる数が増えるだけだからね……死にやすさは据え置き。鎧とか着なきゃ死にやすい。


(試練に挑戦するまでにlv100にはしたい……)


 試練終わらせても枠が足りず仲間にできませんでした……は色々マズい。lv100自体はそれなりに居るらしいし……地道に頑張ろう。


「「「ピルルルル!」」」


「おっ、またサンドワーム(経験値)が来たね」


 素材は全然活用できないから、せめて私たちが強くなるための糧になれ。私はサンドワームへと無慈悲に攻撃を放つアセロラたちを見ながら心の中で呟いた。



「居るとは思ってたけど……やっぱり居たか。アリジゴク」


 砂の丘の上に居る私は、そこそこの大きさの流砂を眺めていた。流砂の底には足を踏み外し落ちたアースラプトル……そしてそれに噛みつき砂中へ引きずり込もうとするアリジゴクが居た。

 アリジゴクの見た目は上半身しか見えないけれど、黒い鎧のような甲殻で包まれ4本2対の大きく長い顎はガッチリとアースラプトルを掴んで離さない。


「キュィィ!」


「ジュオォォ!」


 アースラプトルは鋭い爪で引っ掻き抜け出そうと踠いているが、鎧のような甲殻に弾かれてそのままジワジワと引き摺り込まれて……見えなくなってしまった。


「怖いなぁ……あんなの大体のモンスターは逃げられないじゃん」


 てかあれどうやって倒すんだろう?流砂にノコノコと入っていけばアースラプトルの同じ末路を辿る……でも流砂に入らないと潜ったままだし、仮に地表に出せても攻撃は全部弾かれそう……火も効果が薄そうだし。


(んー……正直、倒す必要は全然無い。だけど素材がちょっと気になる)


 スワンプ・メガロドンとは違って私でも倒せるモンスターだろうしね……あちこちに同じような流砂あるし。


「…………あのアリジゴク。下半身まで硬い甲殻なのかな?」


 ジー……と流砂を観察していた私はふと思った。上半身があれだけガチガチに防御が硬くなってるなら……見えてない下半身はそこまで分厚く無いのかもしれない。


「レンシア、ちょっと小突いてきて来てくれる?危なかったら逃げてきていいから」


「スナァ……」


 私はレンシアに指示を出す。レンシアはズズズ……と砂に潜っていく。しばらく待っていると流砂の底がモゴモゴと動き始め……


「ジュオォォ!!?」


 砂を撒き散らしながらアリジゴクが飛び出してきた。私の予想通り黒い甲殻に覆われた上半身とは真逆で、下半身は甲殻が無く柔らかそうな腹部。レンシアに刺されたのか穴が開けられていた。


「ノロォ!」


「メララ!」


「ヒヤァ」


 飛び出してきたアリジゴクはルベリーの呪い鎖が纏わりつき、アセロラの炎弾とプルーンの氷の槍が放たれる。


「ジュオォォ……」


 地上に飛び出したアリジゴクは反撃することもできずに光へと変わっていく。上半身をガチガチに固めて、更に常時砂に潜ってるからHPは低めに設定されていたみたいだね。


「えーと、アリジゴクの名前はトラップホール・アントライオン。そういえばアリジゴクの英語ってこんなのだったね」


 素材は大顎と身体を覆っていた甲殻。薬に使えそうなものは無いか。というか面倒臭さの割に素材がショボい。


「こんな感じなら見つけても倒さなくていいか……ん?レンシアどうかした?」


「スナァ……」


 私が素材の説明を閉じると帰ってきたレンシアが服を引っ張ってきた。レンシアは何か干からびた塊を持ってきていた……何これ?


「これ何処から持ってきたの?」


「スナァ」


 レンシアはスッと流砂中心を示した。流砂の底から持ってきたの?


「あっ、ストレージに入った……しかもこれ素材なのね」


 素材名は亜竜の化石骨。体液を吸われ長い間砂に埋まって化石化した亜竜の死骸の一部。綺麗な状態のものは貴重でコレクターの間では高値で取引され、また骨の部分を砕いた粉は攻撃力と防御力を上げる薬効がある。


「これどれだけあった?1個だけ?」


「スナァ」


 ほうほう、そこそこあったと……全部掘り出してもらうと10個ほど手に入った。まさかのアントライオン。有益な素材持ちだったか……


(安全に狩る方法も見つけちゃったし……これは集めないと)


 とりあえずさっき砂丘の上から見つけたやつは全部狩ろう。私はアントライオン狩りを決行した。


「ジュオォォ!!?」


 流砂の底でぬくぬくしていたアントライオンたちは、レンシアによって叩き出され、出てきたところをアセロラたちに攻撃の攻撃で倒されていく。

 アースラプトルを捕食していたアントライオンも簡単に倒せる良いカモだね……調子に乗ってうっかり落っこちないように気をつけないと。


『個体名:レンシアのlv が一定値に達しました。進化が可能となりました』

 

 私がホクホクと亜竜の化石骨を集めていると、レンシアが遂に進化できるようになった……早速進化といきたいけど安全地帯を見つけてからだね。

 流石にサンドワームの群れやアースラプトル、アントライオンが蔓延っているところで進化は危険すぎる。


「アントライオン狩りより安全地帯探さないと……」


 亜竜の化石骨は後でも集められるからね。私はレンシアの進化のために安全地帯を探した。


レンシアの進化は次に回されました……

次回をお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
対処法知ってるとカモになる強敵あるある
>机の角に顔面から思いっきりいったくらいの衝撃かな?…………普通に痛いやつ 場合によっては痛いだけでは済まないやつ 三半規管ぐわんぐわんして当たりどころが悪かったのか出血して危うく搬送されるところだ…
数ヶ月でもうLV100に達しているプレイヤーが出てきているのか。 これだとレベル上限が100というわけではないのかな。
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