第9話
なんか日間ランキング5位になってたんですが……
えっ、夢?
第2の町セカンディア。町の近くに沼地と山がある町で色んな資源が手に入りやすい町。3つ目の町は山側にあるが、モンスターが強くて突破するには沼地である程度lvを上げないとキツいらしい。
そして沼地は状態異常を使うモンスターが多くて状態異常を回復するためのアイテムが必要になる。もうこの町は品薄で最初の町ファストロンへ買いに来る人も多いんだよね……最初の町の名前この町に来てようやく知ったよ。どんだけあの町に興味無かったんだよ……私。
「毒や麻痺の回復丸薬。ファストロンよりも買い取り額が高くて良い金額になったね……」
ファストロンが1瓶(5個入り)が200G買い取り。ここでは同じものが400Gで買い取りだった。2倍の値段で買い取ってくれてウハウハだったね。ついでに必要無い素材も売り払ってきた。現状、私のストレージには調薬キットに薬の材料、そして肥沃な土しか入ってない。メタルチップあとで買わなきゃ……
(つまりは沼地がそれだけ厄介ってことだけどね……)
沼地の厄介な点は状態異常以外にもあるらしく、それが足場の悪さ。ぬかるみや底無し沼に気をつけながら進まないといけない。靴とかも沼地用のものじゃないと移動速度が下がる……モンスターも一部を除いて動きが悪くなる。敵は勿論十全に動けるやつばかり。
「とりあえず行ってみようか。沼地には新しい薬草が生えてるらしいしね」
「メキュ!」
「ビリリ!」
私はライムたちと共に沼地……悦楽の沼地へと向かった。
◇
悦楽の沼地。性格の悪い神が人が苦しむ様を見たいがために作ったという逸話から付けられた名称。状態異常を扱うモンスターに泥の中から不意打ちをしてくる。マジで性格の悪い場所だけど、人を呼び込むためなのか有益な素材も多いため探索する価値はある。
「あー、これ進むだけなら作られた道があるんだね……採取するのに沼地に入らなきゃだけども」
沼地には木製の遊歩道のようなものが作られていた。恐らく有志のテイマーがコツコツと作ったんだろうね……板材の種類がバラバラだし。一本道じゃなくて色んな方に伸びてるのは探索範囲が偏らなくて良いね。
(今回は様子見も兼ねてる……今後はここに通うようになると思うし)
採取も今回はいいや。沼の中に居る時に襲われたら確実に死ぬ……モンスターの情報は集めてあるけど実際どんな感じか知らないし。
(今回は地形とモンスターの観察するのを目的にしよ)
私はライムたちと遊歩道を進んでいった。道は大きいモンスターも通れるようにされてるのか、広めに作られてて進みやすい。他のプレイヤーとのすれ違いも問題無くできる。
(なんか周りのプレイヤーに見られるような……)
私が気にし過ぎなだけかもしれないけど……スライムが珍しいのか?確かに私以外にスライム連れてる人見ないけども。
(人の少なさそうな方に行こう……)
ジロジロ見られるのが嫌だから私は人の少なそうな道に進んでいった。追いかけられたりはしてないから視線は段々と減ってくる。
バシャ!ビュ!
「わっ!?」
進んでいると唐突に横から紫色の液体が飛んできた。私がギリギリで回避し飛んできた方を見ると紫色のカエル、ポイズンフロッグが沼から顔を出していた。
「ゲコ!」
ポイズンフロッグはピョンとジャンプし遊歩道の上へ飛び乗ってきた。早速モンスターのお出ましか……だけどこっちには。
「ビリリ!」
蓄電完了したレモンがいる。モンスターと遭遇しなさ過ぎて100%も溜まってる。触れたら危ないよ。
「ビリリ……ビリ!」
「ゲコ……ゲコ!」
ペタ。ゴクン
「あっ……」
「メキュ……」
レモンがポイズンフロッグに向けて威嚇しているのを眺めていると、ポイズンフロッグが舌を長く伸ばしてレモンをパクッと飲み込んでしまった。えっ、ノーモーションでそんな即死みたいな攻撃してくるの?
「てか、レモン飲み込まれたらどうしようも無いんだけど!?」
「メキュ!?」
飲み込みという攻撃に驚き過ぎて私とライムはワタワタし始めた。吐き出させたいけど私たちじゃ力技は無理。ポイズンフロッグに効く獣避けも準備して無いし。と、その時。
「ゲココココココ!!?」
突然、ポイズンフロッグがバグったような鳴き声を放ち始めた。そして痙攣しながら倒れ光に変わって消える……そしてポイズンフロッグが居たところにヘニョンと潰れかけたレモンが残った。
「ビリリ……」
レモンはHPがかなり削られていた。そして蓄電量が0になっている……体内で放電したのか。体内から感電したせいで変な鳴き声を出してたんだね。
「ライム。治療お願い。念の為毒の治療もしておいて……こいつ毒液吐いてくるから毒浴びてると思うし」
「メキュ」
私はライムに治療を頼み、帯電砂利を用意した。うちの特攻隊長を回復させないと……それにしても焦ったね。
(まさか飲み込んでくるなんて……毒以外にも厄介な攻撃を持ってるなんて)
レモンが体内から放電してくれなかったら私たちも危なかった。蓄電量が足りてなかったら放電してもヤバかったかも。
「情報収集が足りなかったかな……丸呑み攻撃とかカエルらしい技といえば技だし」
結構したつもりだったんだけどね。あと帯電砂利も在庫が尽きてきたね……これは餌だけじゃなくて蓄電させるためのものでもある。無くなるとちょっとマズい。
(あと2、3回の戦闘はなんとかなりそうだけど……1回補給しに町に戻った方が良いかな)
出先でバッテリー切れとかスマホみたいに致命傷になりそう。そんなことを思っている内にレモンの治療は完了した。ライムも手慣れてきたね……ただ、レモンがまだ疲れてるようだからもう少し休憩しよ。
『個体名:ライムの《医療術・Ⅰ》が《医療術・Ⅱ》にランクアップしました』
「おっ、スキルが成長したね」
スキルに数字が付いているものは使い続けるとランクアップして強化される。ライムには治療させまくってたからね……進化前のレモンは戦うたびにダメージを負ってたから。
(どんな感じに強化されたかな?)
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《医療術・Ⅱ》
回復効果を1.5倍にする
治療行為で経験値を得られるようになる
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1.5倍になっただけか。でも25%強化が50%強化になったって考えると大きく見えるよね。
(レモンの《蓄電・Ⅰ》もランクアップさせたいなぁ……蓄電できる量が威力に直結するから)
スキルのランクアップは使い続ければできる……要するに蓄電させて放電させるを繰り返せば上がるはず。
「私のlv上げをしつつスキルのランクアップを目指そうか……」
そんでlv10になったら新しい子を仲間にしたい。スライムは異なる進化先で対応策を増やし数でゴリ押す……じゃないと多分今後キツくなる。
「ビリ!」
「疲れ取れた?じゃあちょっとだけ戦闘しようか」
私は帰り道の蓄電分を残すようにしてモンスターと戦った(ポイズンフロッグしか出てこなかった)。レモンが飲み込み攻撃にトラウマを持ったのか、舌に注意して体当たりからの放電で仕留めていった。若干殺意が漏れてたね……
「ビリリ!!」
「……あれ下手するとカエルのモンスターを見たら突撃しそう」
手綱はちゃんと持っておこう。私はカエル相手にバーサーカーになりそうなレモンを見て溜め息を吐いた。




