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15 須藤一臣



小さい頃から雪奈の事が好きだった。


幼馴染の弘斗も雪奈の事が好きなのはわかっていた。


雪奈も弘斗の事が好きなのもわかっていた。


それでも、俺は雪奈を諦められなかった。



中学二年の頃、思い切って雪奈に告白した。



「ずっと雪奈の事が好きだった!俺と付き合って欲しい!」


「!!う、嬉しい!私もカズくんの事好きだったの!」



マジか!雪奈は弘斗の事が好きだと思ってた。


成功するなんて思ってもみなかった。



「あ………でも、でもね?カズくん。」


雪奈の表情が曇る。


「私、カズくんに言わなきゃいけない事があるの。」


「な、なんだよ?俺と付き合えないのか?」


「そうじゃないよ、カズくん。でも、でもね?」


なんだ?何か条件でもあるのか?


「あの、私、ヒロくんの事も好きなの。」


それは何となく気付いてた。


けど、俺の告白を嬉しいって……。


「カズくんの事も、ヒロくんの事も本当に好きなの!」


え?でも今は俺が告白したんだから、俺を選んでくれるんだよな?


「私、カズくんとヒロくんの二人と付き合いたいの!」


はあ?そんな事無理だろ?


「雪奈、そんな事出来るわけないだろ?」


「でも!ヒロくんの事も諦められないの!」


それは……。


「それが無理なら、カズくんと付き合うのは無理かも。」


!!!!そんな!!


「ちょ、ちょっと待ってくれ!弘斗と一緒じゃなきゃダメって事か?」


「うん、二人とも大好きなの。」


「俺とだけ付き合ってくれって言ったら?」


「だったら……ごめんなさい。」


嘘だろ?そんな事ってあるかよ!


「わ、わかった。けど、弘斗が雪奈を好きかどうかわからないだろ?」


「それは……そうかも。私から告白した方がいいかな?」


「ま、まだ早いんじゃないか?もっと距離を縮めてからの方が……。」


「やっぱりそうかな?」


「そうだろ?弘斗から告白するくらいじゃないと!」


「そう?じゃあ、私頑張ってみる!」


「そ、それまでは俺と付き合ってくれるのか?」


「うん?そうだね、カズくんの事も好きだからいいよ!」


弘斗の気持ちは何となくわかっていたが、俺はどうしても雪奈と付き合いたかった。










「雪奈!雪奈!好きだ!雪奈!!」



高校一年の冬、俺と雪奈の関係が弘斗にバレてから、俺の周りから人が居なくなった。


それは雪奈も同じだった。


弘斗の性格上、俺達に嫌がらせをするようなことは無いと思う。


ただ、弘斗には友達が多く居たから、俺と雪奈の話が伝わって自然と今の状況になったみたいだった。


雪奈の両親の俺を見る目は冷たかった。


弘斗は雪奈の両親に交際の報告をして、約束事なども交わしていたようだった。


そんな弘斗を裏切るようなマネをした俺と雪奈に雪奈の両親は冷たかった。


「アンタたちの付き合いなんて認めない」


そう言われた。



「雪奈!雪奈!」



俺の両親は、「友達と二股を掛けていた女なんかと付き合うのか」と一言言っただけだった。


俺の両親は、昔から俺に興味がない。


経済的には余裕があったため、不自由することは無かったが、普段会話も無いし食事を一緒に摂ることもなかった。


そんな両親に報告したところで、普段より冷たい声で一言言われて終わった。


俺の友達も俺から話しかけても、素っ気無い態度をとるだけだった。


サッカー部でも孤立した。


部内には弘斗と仲が良かったヤツが沢山いた。


もう、俺には雪奈しかいない。


雪奈にも、もう俺しかいないはずだ。



「雪奈、ずっと一緒だ!」



今日も雪奈を部屋に連れ込み、お互いの傷をなめ合う。


終わりに向かって進んでいく。



「雪奈!雪奈!」



もう終わる、と、その時。






























「あっ!私、もう……!ヒロくん!ヒロくん!!!!」


































雪奈?


お前……。


いま……。




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― 新着の感想 ―
[一言] 一臣、雪奈の弘斗への告白を止めといて自分だけと付き合わせようとした。弘斗が告白するまでは、自分一人のものと。これで結果的に捨てるなんて、無責任このうえないクズだ。
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