1 過去
前作の主人公、弘斗の友人の山下悟の物語です。
前作を先にお読み頂いてから今作をお読み頂けると嬉しいです。
大分長くなったので、5話ずつくらいで投稿しようと思います。
後半から弘斗、一臣、雪奈も登場します。
最後までお付き合い頂けると幸いです。
「せんせー、さとるくんがぶったー!!」
「ど、どうしたの?!どうしてぶったりしたの?!」
だって、女の子にいじわるしてたから。
「だめでしょ?そんな乱暴ばっかりしてたら幼稚園の誰もお友達になってくれなくなっちゃうでしょ?」
おかあさんがよわい子はたすけてあげなさいっていってたから。
「どうして皆を殴ったりなんかしたの?!」
だってみんなでネコをイジメてたから。
「先生!ウチの子とこの子は別のクラスにしてください!こんな乱暴する子と一緒のクラスじゃ安心して小学校に通わせられません!」
「そうですよ!今回だけじゃないんですよね?!」
「は、はあ、わかりました。善処いたしますので……。」
「本当に皆さんウチの子が申し訳ありませんでした!」
「おかあさん、なんであやまるの?みんながネコを」
「いい?悟君?もう暴力を振るったりしたらダメよ?」
「せんせい…でも……。」
「でもじゃないの!いい?!約束!」
「……うん。」
「なあ、お前らゲーセン来るぐらいなんだから小遣い持ってんだろ?」
「そうそう、おとなしく財布出した方が痛い目見なくて済むぞ?」
「え、あ、ぼ、僕たちそんなに持ってません……。」
あれは…同じクラスの奴か。
中学生にカツアゲされてんのか。
中学生三人相手か…。キツイけど。
「それを確認するために財布出せって言ってんだよ!」
「小学生だからって千円くらいは持ってんだろ?」
「いいから早く財布出せって言って」
ドゴッ!
「ぐえっ」
「あ!や、山下君!!」
「なんだ?!お前らの仲間か?」
「えっ?い、いえ!違います!ぼ、僕たちは知りません!」
「お金は渡します!許してください!」
ああ?
「そうか、だったら早く財布出せよ。で?何なんだよお前。」
「このガキ、いきなり飛び蹴りカマしやがって!」
「オラ!こっちこいや!」
ゴッ!バキッ!!
「ヒーロー気取ったつもりかも知れねえけどな、現実はちゃんと見ろよ?」
「お前のお友達はさっさと金おいて逃げちまったぞ?」
「ははっ!小学生のくせに俺らに喧嘩売る度胸は認めてやるけどな!」
「なあ、お前もう学校来んなよ。」
「ホントなー。いっつも同じ服着て貧乏クセエし。」
「ボソボソ喋るから、何言ってんのかわかんねえしな!」
「イライラするんだよねー?根暗でキモいし。」
「なあ、コイツサンドバッグにしねえ?」
「いいね!ちょうどイライラしてたんだ!」
クラスで大人しいヤツを狙ってまたイジメてんのかよ、アイツら。
ドゴッ!
「あ……。や、やめてよ……。」
「聞こえませーん!ちゃんと喋ってくれないとねー!」
ガスッ!
「い、いたいよ……。」
「そーら、もういっちょ」
ゴンッ!
「いってぇ……。山下ぁ、なにすんだよ!」
「うるせえ。俺もイライラしてんだよ。殴ってもいいんだよな?」
「ち、ちげぇって!殴るならコイツにしろよ!」
ゴスっ!
「いっ!だからコイツに」
「貴方達、何してるの!」
「あっ!先生!山下君が急に殴ってきたんです!」
「はあ?ちげーだろ、こいつらがイジメてたから…。」
「僕たちはイジメなんてしてません!」
「なあ!そうだよな!」
「は、はい…。僕はイジメられてません…。急に山下君が殴ってました……。」
「山下君!職員室まで来なさい!全く!いつもいつも!」
「なあ、お前らその制服三中だろ?中学生のくせにデートか?」
「くっそ生意気だな!よお彼氏君、デートなら金持ってんだよな?」
「い、いえ、持ってません……。」
「ンなワケねえよなあ?ゴチャゴチャ言ってるとヤっちまうぞ?」
「や、やめてください!」
「いやー、ダサい!!ダサすぎる!!」
「あ?誰だ、お前?」
「や、山下君!」
「!お、お前が三中の山下か……。」
「だったら何だよ?先輩?!」
「チッ!行こうぜ、コイツメンドくせえわ。」
「おう、お前あんま調子のんなよ?」
「はっ!捨て台詞までダッセえな!」
「や、山下君…。僕たちそんなにお金持ってません!」
「あ?」
「ご、ごめんなさい!に、逃げよう?!」
「ああ。走るぞ!」
「……あー、そうかよ。」
友達なんかいらねえよ。