草刈りの音が響く、散歩道
草を刈る音
漂ってくる
緑の香り
とても逞しくなった
田んぼの稲を
あっという間に追い越し
僕の背丈に迫ろうとする
雑草たちを
とても羨ましく思う
大きなシオカラトンボ
雲が切れて
射し込む陽光に煌めく水面スレスレを
飛び回っている
墓地の周辺には
来週に備えて
掃除に来ている人たちの車が
並んで停められいる
大きな銀杏の木の上では
一羽だけのカラスが
誰かを呼ぶように
大声で鳴いている
僕は
いつもと変わらない
散歩道を
一人で歩いている
一人で
だけは余計か
ずっと恐がって
逃げ続けてきた結果
だもんな
いつもと変わらない
そう言えるくらい
外や近所へ出られるようになった
少しずつ
少しずつ
いつまで言ってるんだろう
ってくらい
本当に
少しずつ
それは多分このまま
何周も
何周も
遅れたまま
なんだろうけど
それでも
絶対
少しずつでも