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p.6

「そうか。デザイン案か……だが、見積書があるということは、どのような木材を使うのかなどの大方の事や、デザインは、もう決まっているのではないか?」

「確かにそうかもしれないですね。これは、余計なことを言いました。では、やはり、滝川関東支部長は連絡対象ではないということで……」


 そう結論付けた力丸が、書類を机に戻そうと手を伸ばす。その手を坊丸が、パシリと握り止めた。


「いや、ちょっと待て」

「何ですか?」


  怪訝な顔で力丸が、坊丸を見ると、彼は思案顔のまま口籠る。


「いや……その……」

「一体、何ですか? 懸念事項があるならば、はっきりと言ってください。我らには、時間がないのですよ」


 力丸の少し厳しめの言葉に、坊丸は、たじろぎながらも、自身の考えを口にする。


「いや……あの、杞憂かもしれないのだが、もしかしたら、デザインの変更とかを織田社長は伝えたいのかも……」

「えっ? そうなのですか? どこでそのような事を知ったのですか?」


 力丸の驚いた顔に、坊丸は、苦笑いを浮かべつつ頭を掻く。


「いや、だから、杞憂だと言っただろ。私の考えすぎかもしれない。忘れてくれ」

「……ですが、言われてみれば、その可能性もなくはないです。やはり、滝川支部長も連絡対象に入れておきましょう」


 力丸は、少々不安げな坊丸に頷き返す。だが、その後に、困ったように眉根を寄せた。


「蘭兄さんの机の上の目ぼしい書類は、このくらいですね。しかし、明智近畿支部長、羽柴中国支部長、柴田北陸支部長、滝川関東支部長のどなたをお呼びすれば良いのでしょうか?」

「う~ん。結局、月例報告会に出席される支部長の名前が全て出て……あれ? そう言えば四国支部の名前は上がらなかったな」


 坊丸は、もう一度蘭丸の机の上を見回してみたが、四国支部関連の書類は見当たらない。


「四国支部は、現在、比較的落ち着いていますからね。特に、書類で報告するようなこともないのではないですか? それに今日の会議には、織田四国支部長ではなく、丹羽支部長補佐が出席されるようですし……」

「そうなのか? 御曹司様は、今日はどうされたんだい?」

「さぁ。詳しいことは分かりませんが、今日は、丹羽補佐が代理出席すると、朝、四国支部から連絡がありましたよ」

「ふ~ん。そうか。まぁ、特に検分する書類もないし、今回は、四国支部長の事は考えなくてもいいか」


 二人は互いに頷き、四国支部長を除いた、残り四名の支部長の顔を思い浮かべる。

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