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29才独身焦って始めたこと

作者: スズキ

心臓の音が暗闇の中で鳴り響く。


ドクンドクン


スマホの画面には

"たくみ"

画面には先ほどまで匠とやり取りしてたメッセージがLINAのアプリに表示されてた。


今電話大丈夫だよ。


スマホに切り替えて通話ボタンを押した。


「おーすずか?どうした?」

いつものたくみの声だ。

私は深呼吸して匠に…

1.おぼろげな記憶と夢と私。


目の前には腰の高さくらいの机があって、

大きな教室。おもちゃの取り合いをしてる男の子2人と

おままごとしてる女の子4人…それから絵本読んでる子と…


カラカラ-


扉の開く音がする方向を見ると、周りの子よりも随分大きな女の子が入ってきた。

目で追っていくと、私の机よりも大きな机に手をついて皆んなに大きな声で話をした。


「みんな、休み時間は終わりだよ。席について」


どうやら先生のようだ。


「みんなには将来の夢について書いてもらいたいから紙をくばるよ‼︎」


机の上に届いた紙には


"しょうらいのゆめ"


って書いてた。


私はピンク色のウサギの筆箱からえんぴつと消しゴムを取り出して紙にはこう書いた。ー


ピピピピピピ

カチッ


おぼろげな夢の記憶をうっすら感じながら、頭の上の丸い時計のアラームボタンを押す。


(えっと、紙には何て書いたんだっけ…うーん思い出せない)


その瞬間ケータイのアラームがけたたましく鳴り響き鈴香はベッドから飛び起きた。

時刻は07:00テレビを着けて洗面所へ向かう。

――――――――――――――――――――

平野鈴香(ひらのすずか)

29歳 独身 彼氏いない歴5年目突破

セフレ無し皆無。恋愛音沙汰なし

趣味:Twittに非現実の願望をツイートする事

――――――――――――――――――

髪型はセミロングのストレート二重の目に丸顔

顔の印象はごくごく普通の女。不細工でもなければ美人で特別可愛いわけでもない、小説や漫画のヒロインにはならないような顔立ち。


爪には夏に向けて薄めのブルーのネイル。

といっても周りの友人達は残り1人を残して足早にゴールインしているので遊びにいく友達もほぼ皆無だ。


鈴香はスマホを取り出してTwittにアクセスした。

カチカチカチ


Twitt

朝起きたら

坂◯健太◯似の彼氏

からのキス♡

まるで眠りから

冷めた姫のよう…

私は幸せ者。

身長も180㎝もあって

イケメンでイケボで♡

絶対絶対来年には

寿退社よ♡


Twittを閉じた鈴香は、準備を終えて玄関の扉を開けた。

また何も変化の無い1週間の始まり。


鈴香の会社は駅から徒歩15分

6月半ば梅雨もそろそろ終わりを迎え夏の時期を迎えようとしていた。


会社へ着くと朝の清掃を行い9時になるとPCの電源を入れた。

「平野さん、おはようございます」

ショートカットでボーイッシュな女性が歩いてきた。

高野理沙(25)去年の12月から地元の彼氏と同棲を始めた。


「おはよう」

高野「平野さん、すみません。ちょっとお伝えしたい事があって…」

(え、なんだろう。今月いっぱいでとか?)

「どうしました?」

高野「実は、妊娠致しまして…12月に予定日になってます。ギリギリまでは働こうと思いますので、ご迷惑おかけしてすみませんが宜しくお願いします」

「え!そうなの!!おめでとう!まさかのでびっくりしちゃったよ!」

高野「わたしもまさか妊娠するとは…笑」


鈴香は今朝Twittした自分を呪った。

(高野ちゃん、去年同棲する時、結婚願望無いって言ってたけど仕事1年も経つ前に妊娠して…ゴム付けようか。うん。)

笑顔ひきつってないかなわたし。笑

その後の業務は殆ど覚えてなく気づくと19時を回っていた。

退勤ボタン押して退社してビルから出ると外は以前に比べると少し明るい夜になっていた。

風は夏の匂いを微かに乗せてマスク越しに懐かしい匂い。


鈴香は駅へと歩いた。


2.出会いとは


職場から駅まで徒歩15分20代前半の頃はヒール履いて歩いていたのにいつからぺったんこのパンプスに変わったんだろ。そんなことを考えながら歩いていると

いつも通ると閉まってる居酒屋が空いてる。

あれ?コロナ時短営業…

緊急事態宣言が今日から解除であった事を思い出した。時刻は19:10…

(一杯飲んでから帰ろうかな。)


店内に入ると月曜日もあってか人のはそこまで居ない状態だった。


カウンターに座るとビールを注文。

メニューのオム焼きそばに目が止まった。

お通しのタコワサとビールがカウンターに置かれて手をつけようとすると、隣に誰か座った。


(誰だろ、横見たいけど失礼かな、えーでもそんなに混んでないのに何で私の横?)

「あ、隣すみません、1人で食べるの寂しくて良いですか?」


「えっ、あ、はい。」

びっくりして声が裏返る。

隣座ったのは25歳くらいの男の人だった。格好はスーツを着ていた。

顔は坂◯健太◯と横◯流◯が混ざったようないいとこ取りな顔立ち。

(え、まってイケメンに話しかけられた。てか隣座った!!まって私声裏返ってはずっ)

男性「おっちゃん久しぶり!俺も生お願い」

店主「おー!あんちゃん久しぶり!生な!」

どうやら居酒屋の店主と顔見知りのようだ。


(まぁでも、隣すわって20文字言葉放って少数の言葉しか返して来ないアラサー間近相手にしないか。笑)

一気にビールを流し込むとプハーと大きく言ってしまった。


横とカウンター越しに視線を感じる。

(あ、家での行いがでてしまった…イケメンの横でって最悪。)


男性「良い飲みっぷりっすねー!」

店主「おーいいねぇ!スカッとすんねー」


鈴香は顔がほてってくるのを感じながら愛想笑いを浮かべる。


鈴香「いやぁ、すみません。笑」


男性の目の前にはビールと軟骨の唐揚げが到着していた。


広瀬「俺、広瀬 匠(ひろせたくみ)って言います。良かったら乾杯しましょ!笑」

彼は人懐っこそうな笑顔でビールを持ちながら言った。

鈴香「あ、ありがとう。私は平野 鈴香です。かんぱーい。笑」


店主「良い出会いに乾杯という事で、おっちゃんからひとつサービス!」


広瀬「え!まじっすか!揚げ出し豆腐じゃないっすか!ありがとうございます♪平野さん、ここの揚げ出し絶品っすよ!」


鈴香「ありがとうございます。いただきます!笑」


(まさかイケメンと乾杯できて揚げ出し豆腐サービス貰えるとは、なんてラッキーな1日なんだろう。まぁ明日からはいつもの平凡な1日の始まりなんだから少しくらい楽しもう。)


広瀬は駅から30分程離れた会社に勤めていて歳は私と同じ29歳。まさかの誕生うっすら月も同じだった。彼の人懐っこさで意気投合して来週も飲もうという話になった。



3.Twitt


ガチャガチャ

バタン


玄関の扉の鍵を閉めると千鳥足で洗面所へ向かう。

歯を磨いで化粧落としてまたもや千鳥足でソファーへダイブ


鈴香「うー気持ち悪くなってきた…飲みすぎたぁ」


(今日は妊娠の報告から始まってイケメンやら来週の約束やら色々起き過ぎて何が何やら。でもたのしかったなぁ…来週飲もうって言われちゃった。ぐふふふ…ん?あれ、連絡先交換してない!!)


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

〜♪〜〜〜♪

目覚まし時計とスマホのアラームが部屋に鳴り響く。

鈴香「う…ん、今何時、うるさ、うるさい…え」


時刻は7:20


(7時20分?)

鈴香「やべーーーーー」」」

鈴香はアラームと時計を止めるとマッハで支度し始めた。


駅に着くと時刻はいつもの時間帯で一安心すると一呼吸おく。すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


「平野さん!」

鈴香「え!広瀬さん!!」

広瀬「あー!やっぱり!平野さんだったんっすね!」


笑顔全開で眩しい爽やかとは正に彼にピッタリの言葉だ。


広瀬「昨日飲む約束してたのに連絡先交換するの忘れてたので、いま交換大丈夫ですか?」


鈴香「うん!私も昨日帰ってから気づいたよ。笑」


2人は連絡先を交換して別れてそれぞれのホームへ向かった。


鈴香は会社へ着くと朝の清掃を始め、いつもよりはやく終わったので趣味のTwittを開いて過去の履歴をスライドする。


(願望妄想Twittに書いたようなイケメンに出会えるとは…正に引き寄せの法則なのかな。あ、もう9時だ、席に戻ろう。)


12:00


お昼はいつもお弁当だ。何故なら食費を節約中だからだ。LINAを開くと広瀬からメッセージが届いていた。

ーーーーーーーー

広瀬:ー1件ー


こんにちわっす!

平野さん連絡先教えてくれてありがとう。

昨日は大丈夫だった?

ーーーーーーーーー

鈴香は口の端が緩まるのが分かる。



カチカチカチ


鈴香:

ーーーーーーーーーーーー

こんにちは!

こちらこそありがとう。

うん^^昨日大丈夫だったよ~

でも飲みすぎちゃった。笑

ーーーーーーーーーーーーー


そこからたわいの無いやり取りをしながら時間が過ぎていった。




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