地べたに這い蹲るより空を見ていたい
初執筆!初連載小説です!至らないところも多々あると思いますが生ぬるい目で見てください。
俺は神野幸樹。俺は全てにおいてダメダメな所謂無能だ。俺には弟がいる。名前は未来、あいつは俺とは違って全てにおいて優秀だった。そのせいか家族は未来を甘やかすばかりで、俺に一切見向きもしなかった。何をしても未来に劣る俺は悔しくて悔しくて負けたくなくて血の滲むような努力をしてきた。しかしその努力が報われるようなことは起こらなかった……。
社会人になって俺は会社に就き、身を粉にして働いたそれでも目立つような成績を残すことが出来なかった。むしろ会社の足を引っ張る存在になった。弟が生まれ、才能を露わにして、家族から見捨てられても、頑張ればいつかは報われると思っていた。そんなことはなかった。もうこんなことは懲り懲りだった。
俺は今、ビルの屋上にいる。ここから飛び降りてこの憎い世界から去るつもりだ。フェンスに足をかける、風が急に吹いてきて体をゆさぶった。心臓がバクバクと鳴っているが気にしないようにして縁に足をつく。足が竦んだ。でもここで諦めてしまったたらずっと報われない、この結果が全ての世界でずっと生きなければならない、それは嫌だった。勇気を振り絞ってビルから飛び降りる。飛び降りる途中見えてきたのは走馬灯ではなく、淡い光だった。
「………っ!」
自分のまわりなにか気配がして飛び起きる。そこは一面光で包まれた場所だった。辺りを見渡しても特に物はないただただ光で溢れていた。
そういえば俺は死んだんじゃなかったのか?なぜ体を動かすことが出来る?
そう疑問を持った時ふと頭上から声がした。
「あら?起きたんですね。起きたなら言ってくださいよぉ。ずっっとあなたが起きるのを待ってたんですからね!」
「……は?」
上を見ると翼の生えた美しい女性が立っていた。
(なんだコイツ……新手のコスプレイヤーかなんかか?でもこの空間でそんな人が出てくるわけもないし……てか俺死んだんじゃなかったのかよ……)
「何ぼーっとしてるんですか?!私はあなたを……」
「あの……すいません」
俺のことは気にせず次々捲し立てる彼女の話を遮った。彼女は片眉をあげ、
「なんですか?」
といかにも不機嫌そうに尋ねてきた。
俺は、
「ここって何処なんですか?そしてあなたは誰なんですか?」
これ以上彼女をめんどくさくしたくないのでいかにも優しそうに尋ねてみた。彼女はハッとすると
「ここは天界です。私はあなたを新たな世界に導くためにやって来ました」
と急に落ち着いて話し出した。
(??????)
俺は混乱した。新たな世界ってなんだよ。なんでまた同じ人生を繰り返さないといけないんだよ……
「お断りします」
「ぇぇえええ〜!なんでですか!?新しい人生送りましょうよ!!!!」
「嫌です。もう懲り懲りなんですよ、才能と結果が全ての世界は。どうせその新たな世界に行ったところで変わりはしない。才のないやつはどんどん消えていく、俺みたいに……」
「でもお願いです!新たな世界に行ってください!行かないと私殺さちゃいます!」
「殺される?」
「はい……私、仕事が全然出来なくて何度も失敗してしまってるんです。この仕事は人の人生を決める大事な大事な仕事なんです……それなのに私は失敗ばかりでいらない人の人生までめちゃくちゃにしてしまいました……それがバレて……これが最後のチャンスなんです!お願いします!才能も全部全部最高にします!だから……!」
「わかりました」
「本当ですか?!」
「はい、でもちゃんと約束は守ってくださいよ」
「もちろんです!」
そう彼女が言うと俺の目の前に人1人飲み込めのそうなほど大きい輪っかが現れた。
「この輪をくぐってください。そうすればあなたは新しい世界に行くことが出来ます」
俺は意を決してその輪をくぐった。視界が全て白に染まっていった。
目が覚めるとそこはベッドの上だった。
次回、俺は力を知る。