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過去と後悔

颯太side


ピコンっ


『放課後、いつもの公園で』


篠山から一日おいて連絡がきた。


あいつが知っているってことはおそらく中学でのこと


二口はそこまで賢くなかったはずなんだけど、今や県内トップの学校に通ってる。


三年って長いんだなあと今更実感する。


人前で泣くことがほぼなかった二口が、俺の前で号泣した。


そのことが俺の方に重くのしかかっていた。


前までは壁なんかなかったのに、今は鉄壁があるように感じ、


泣き出した後も、心を開いてくれると思ったけど、さらに分厚い壁が作られたような気がした。


「高嶋〜部活いくぞ」


「あー…今日おれ帰るわ。部長に話しといて」


「えー…デートか?」


「違うわ。小学校時代の友達に会うから」


「…わかった。あーもう、今度飯奢れよ」


「はいはい」


…篠山が話してくれるってことは今日、亜美と接触してる。


あいつは賢かったし同じ学校に通ってんのかな


ちょっと…


嫉妬するな


ーーーー


「懐かし〜」


習い事の帰りによく3人でよった公園。


ほぼ何もなく、あるのはベンチとブランコだけ


近くには大きな公園が二つあるからここにはほとんど人がこないし、密談にちょうどいい


「おせーんだよ」


「あっ」


亜美が通ってる高校の制服に身に包んだ篠山がベンチに座ってた


座っててもわかる。


すごい背が伸びてる


俺が178ぐらいだけど、さらにでかい。


「何センチ?デカくね」


「182。とりあえず座れ」


「はいはい」


隣に腰掛けると、缶コーヒーを手渡された


「ブラックじゃん」


「飲めねーの?」


「いや飲めるけど…」


「じゃあいいじゃん。乾」


「何」


「受け止める自信はあるか?今までの小学校時代の友人はほとんどこのことを知らないだろうし、これからも知ることもないと思う。お前に話すのも、二口がいいって言ったからだから」


「わかってる」


「って言っても俺も深くは知らないんだけどな。あいつが中学校時代、何部に入ってたか、知ってるか?」


「陸上…だっけ」


「そ、今や咲中の陸上部は有名どころなんだけど、昔は違った。俺らが入ったときは三年生は女子が3人、男子が1人、二年生は女子はいなくて男子が5人の弱小校だった。それが、俺らが入ったことで変わったその年の男子生徒はほとんどが陸上部かバトミントン部に入って、男子が20人、女子が7人入った。顧問もかわっって、函館マラソンを走ったようなバリバリの元陸上選手がついて、うちの部活は急成長した。元々足も早くなく、体力のない二口は完全に女子の中から浮いた。女子と男子で練習メニューも違うし、あまり構えなかったんだけど、休憩するところの前を通る時に毎回思ってた。浮いてるって。二口以外の女子は、比較的楽そうで、今日休憩時間とかも話したりしてたんだけど、二口はそれが無理だったみたいで、会話についていけてなかった。始まりはそれ」


「何で二口は陸上児入ったの?」


「あいつ走るの好きだから。知らないと思うけどあいつは部活をやめてから、週に一回十キロ走ってたんだぜ?」


「じゃあ高校も陸上部に…?」


篠山がフルフルと首を振る


「え、何で…」


「トラウマが残ってるかららしい。虐げられた記憶、ハブられた記憶のせいで校庭を走る時は呼吸が急に苦しくなるんだと。いつものペースよりも遅いのに、死にそうになるって」


「…トラウマ」


「んで、それからどんどんエスカレートしていって、次第には部活の、いやクラスの女子全員に無視されたり、睨まれるようになったらしい。これは白川情報」


「白川って陸上部のやつじゃ…?」


「そ、まあそういう人間関係に嫌気がさして二口が不登校になると同時に退部したけどね。」


…不登校


「何で篠山はそんな詳しく知ってんの…?」


「いじめの主犯格がうちの部活の女子陸上部のキャプテンだから、だな」


「えっ」


いじめの主犯が…?


「二口は三者懇の時に顧問に言おうとしたらしい、でも、その前に先生に言われたらしい。山本がお前のことを先生の前ではちゃんとしてるように見せて実は裏ではやってなかったと言ってるが何でだ?と」


「それは二口が先生がいないときサボってるって認めた上のセリフじゃ…」


「そ、それだけあいつは先生に信用されてたどれだけ深くちが必死に弁明しても、聞く耳を持たなかったらしい。それが原因であいつは一時期学校に行けなくなった」


「…にしてはあの学校って」


「一年の後半と二年まるまる言ってなかったから内心がない。私学でここら辺で内心が三年生だけなのは俺らの学校ともう一つぐらいしかない。三年生になった瞬間人が変わったように勉強してたよ」


「…そっか。ありがとな、話してくれて」


「まだ1番重要なことを言ってない。あいつは…今、人を信じれない」

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