胸キュンと涙
「多分これで溶ける…はず」
え、ちかっ
教えるのに夢中になりすぎて気づかなかったけどこれ完全に颯太に寄っかかっちゃてるよね!?
重いとか思われてたらどうしよ…
「そか、ありがとな、といてみるわ」
「仕事だし…」
可愛くないこと言っちゃった
幻滅とかされないよね!?
大丈夫だよね!?
そーっと颯太から離れる
…人の温もり、久しぶりだったなあ
「よし、とけ…亜美?」
「何?」
「何で泣いてんの?」
「泣いてなんか…あ」
ほっぺたを触ると、何故か濡れていて、どんどんどんどん涙は溢れてくる
…とっくに枯れてると思ったんだけどな
「とりあえず、なんかあったかわかんねーけど、一人で泣くなよ」
「…イケメンに成長しやがって。もー…ちょっと胸かして」
ぎゅむっと胸に飛び込み、ぎゅっと抱きつく
フワッと柑橘系の匂いがして、酷く落ち着いた
こいつには、あのことは言えない
言ったら、幻滅されちゃうだろうから
あいつが好きだった私ではもうないけど、まだ好きでいてくれますか?
私は、ずっとずっと、あなたのことだけを想って生きてきたよ
…なんて、言えるはずがない
重すぎるし、ましてやあいつには彼女ができたって篠山が前言ってたじゃないか」
そういえば篠山とも二年近く話してないな…
今、どうしてるかな。
あいつのことだからうちの学校にいるかもしれない。
まあ県外に出てる可能性もあるけど…
「落ち着いた?」
「ん、ごめ…」
「中学か高校でなんかあった?」
「…篠山に聞けばわかるよ」
「俺は亜美の口から聞きたい」
「…口にも出したくない。まだ吹っ切れてないし、多分一生引きずると思う。私の口からは多分一生無理」
「わかった。ほんとに篠山に聞いていいんだね?」
「いいよ。あいつも知ってるかわかんないけど…」
「そっか、」
「あ、んじゃ勉強スケジュール組もっか、颯太は週一コースだから…こんだけかな、出来そう?」
「頑張ったらね」
「じゃあよかった。んじゃまた来週」
「お疲れ様」