親友とコンビニ
「キリーつ、」
ガラガラガラガラ
「れー」
「「ありがとうございました」」
「着席」
ガラガラガラガラ
「さっきは災難だったね。」
「災難だと思うならホームルーム始まる前に来てよ」
「無理だよ。ラストの授業担任だったんだからそのままホームルームだったじゃん。私まで怒られたくないもん」
「…非常な奴め」
「非常で結構。んじゃ校門まで一緒に行きますか」
「はいはい」
ピコンっ
「あ、私」
高校一年生…同い年か
ここから、というより家からの方が近い為、美亜と途中までは一緒に帰られるだろう。
私が登録している家庭教師サイトは指名制。
性別、ニックネーム、年齢、在学学校、高校生ならば偏差値まで載っていて、そこからワンクリックで指名でき、一期二ヶ月で週一か週二を選べるというものだ。
大体私は小中学生を教えることが多いが、同い年の経験がないわけではない。
弟を教えていて成績が伸びた為兄もというケースや、とある事情によって不登校になってしまった人など、事例は様々。
同い年の方が緊張しないという理由で、県内トップ校に通う私を指名してくれることも多いのだ。
大体私は週ニ、すなわち一人か二人を掛け持ちするのだが、今は完全フリー
前担当していた生徒さんの成績が、目標値に達成した為だった。
なのでここ一ヶ月、バイトは無し。
一人暮らしの身の為、そろそろ貯金を切り崩していかないといけなくなる。
大阪に家族はこの春に転勤したが、私は既に進学する学校が決まってた為1人でこっちに残ることに。
流石に仕送りはもらっているが、節約をして何とか二ヶ月ってとこ。
留学の為に貯金もしたいからバイトをしてる。
って言っても家庭教師だけなんだけど
「美亜」
「なに〜?」
「一緒に帰れるっぽい」
「やった!!てか当日に連絡くるって大変じゃない?」
「この日に予約が入ってるとはくるよ?」
「そうじゃなくて、年齢とか。だって小学生と高校生とじゃ教える内容全然ん違うでしょ?」
「スマホに自作テキストは入ってるし、近くのコンビニでコピーしたらいいだけだし、あと初回は学力見る為にテストしたり、普段どれだけ勉強してるかとかの話が半分だからそこまで気にならないけどね?荷物多くなるの嫌だし、わたし的には全然OK」
「…まあそうだけど。私も亜美にかてきょ頼もうかな〜」
「まあうちのサイトは良心値段でだいぶお安くなってるけど…」
「え、親友からお金とるの!?」
「何時間きっちりとかになると仕事のなっちゃうしね、放課後に自分も勉強しながら片手間にでいいならいいけど」
「もちろん!!お願い!!赤点とって夏休み潰れるのだけは嫌!!」
「美亜もこの学校入れてるし、賢いとは思うんだけどなあ…受験勉強何してた?」
「塾の詰め込み。もうほぼ忘れたんだけどね」
「んじゃ中学範囲からやり直したら?高校の数学って中学のがわかってる前提だから、そこをちゃんとやっとかないとダメだよ?」
「え〜…めんどい。本当に必要なの?」
「じゃあ考えてみてよ、土台があるでしょ?んで、その上にどんどん重い物つに重ねていくとするじゃん。で、その土台が脆かったらどうなる?」
「崩れる?」
「正解。だから土台はきちんと作った方がいいでしょ?」
「うん」
「その土台部分は勉強に置き換えると基礎な訳よ。」
「あーね?」
「本当にわかってんの?」
「わかってるわかってる」
「ほんとかなあ…まあいいけど。でもって土台はどれだけ作り込んでもいいわけよ。まあ作りこみに熱中しすぎて本体作り忘れたら本末転倒なんだけどさ、」
「んー。まあ、わかった。中学の教科書は1ぱり出してみるわ」
「一応最後までやってると思うからすぐ思い出せると思うよ。んじゃバイバイ」
「え、もう!?」
「生徒さんの家から1番近いコンビニにつきました。さっさと帰って」
「は〜い。」
美亜は私の隣のアパートに住んでる。
学校までは一駅分だし、いつも歩いて二人で通ってる。
ダイエットにも良いしね
美亜と私はソフトテニス部に所属してるんだけど、ノークラブdayである今日…水曜と、カテキョのバイトがある金曜は行かないから、ちょっと部活の中では気まずい
まあ一年生なのにレギュラーってことも大きいんだけど
「…行くか」