プロローグ
このお話は、作者の実体験に基づいたお話です。
「亜美の好きな人は?」
「私?いないよ?」
嘘だ。
高校一年生、二口亜美は、小学校の頃のいわゆる初恋のあいつたるものが忘れられなく、あいつはこうだったのになどと考えてしまい、恋愛が出来ない始末に。
よくある初恋を美化しすぎてるというやつだ。
どうせ小学生の頃の記憶だ。
頭の中で色々変換してしまっているだろう
「嘘だー。いるんでしょー?」
「だからいないってば!!」
「へえ…好きな人は?」
「Harumaくん!!」
「いやそれアイドルだから、亜美ガチ恋勢じゃないでしょ」
「んでもHarumaに勝てる顔面を持ってる人いないしー?」
「いや顔面国宝だから、そんなの現実にいないわ」
「いやHarumaくん生身の人間だから」
「いやそうだけど…芸能人は違うじゃん!!」
「はいはいそうですねー」
キーンコーンカーンコーン
「あ、座らなきゃ、今日の放課後空いてる?」
「ごめん、バイト。」
「そっか、りょーかいっ」
「座れー」
ガタガタガタガタ
「キリーつ」
ガラガラガラガラ
「れー…着席っ」
ガラガラガラガラ
好きな人…か
中学進学であいつは私学に、私は公立に入学。
習い事の帰りしに。大好きと言い合った仲だが、お互い勇気がなく告白できずに、そのまま会うことはなくなった。
中学時代はあいつのことが好きだと正直に言っていたがもう高校生。
いつまでも引きずるのはお互いのためじゃないし、会う機会もないのだ。
思ってるだけ無駄だろうと頭では理解しているが、やはり諦められないのがこの恋の悪いところ。
未練たらしくあいつの写真や、ホワイトデーにもらったボールペン、誕プレにもらったシュシュなどが未だ机の中に眠っている
何だよ
未練たらしい元カノかよ
そのうちストーカーでも始めるんか、私
そうなったら全力で引くぞ。
「たくち。二口」
「は、はい!!」
あははは
…最悪
「何やら考え込んでいるところ悪いが、今は授業中だぞ」
「…すみません」
「そこで、この問題解いたら見逃してやる。解けなかったら反省文な」
「…マジ最悪」
「先生意地悪ーそこ明日習うとこなのにー」
「先生だからな」
…ドヤ顔がうざい
「先生忘れてません?」
「何を?」
その鼻へし折ってやる
「私、学年主席ですよ?25ですよね、せーんせっ」
「くっ…」
おおー顔が苦渋に歪んだ
「てことでセンセ、反省文はなしですよね?先生が言い出しましたもんね、反故にしたら生徒に約束は破るものって教えるようなものですもんね」
「はあ…二口にふった俺がバカでした。座っていいぞ。」
「はあい」