異世界結婚式
「この聖剣も、もう使わないで済みそうだな」
「そうね、でも、白いタキシードに、黒い聖剣バロムワーツがよく似合うわ、素敵よ、あなた」
「君も純白のドレスが眩しいよ」
「そんなありきたりなセリフで、喜びませんよ、全く」
「はは、君は嬉しくなると、エルフの長い耳がパタパタ揺れるから、可愛くて仕方ないよ」
「うるさい!早く指輪をはめなさいよ!」
「やれやれ、お姫様がお怒りだ。これをどうぞ、私のお姫様」
「ふん、分かればいいのよ、あんたも早く指出しなさいよ」
「へいへい、ムードってものがあるだろ、そういうとこ、小さい時から変わらないよな」
「おほん、ここに、魔王を倒した二人の婚約を認めます。では、誓いのキスを」
「早くしなさいよ」
「お前なあ、ムードがあるだろ、かかとあげろ」
「うるさい、うん。……ん。ふふ、愛しているわ、あなた」
「俺も愛しているよ。結局可愛いからずるいよな、お前」
「うるさいわよ!」
「大変です!我が空中都市に、見たことのないドラゴンが現れました!」
「やれやれ、夫婦初めての共同作業とするか」
「ええ、そうしましょ。ふふ、少しは手応えあると良いのだけど」
「そうだな。あ、ごめん、ちょっとトイレ」
「あなた、こんな時に余裕ね。ふふ、待ってるわよ」
「ふう、可愛いなあ、エルフ。はあ、現実にも居ないかな。結婚してえなあ。VRの向こうが現実なら良いのに……」