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68・ 参りました。

『だから言ったでしょう。魔法は研鑽が大事だと。有り余る魔素に頼った力任せの単純な攻撃など、私には通用しませんわ』


『ココ様の仰る通りです。陽動も無く、ただただ真っ直ぐに拳を突き出したところで、如何に威力が有ろうとも、当たる筈も有りません』


 うわ~、威厳を見せつけるどころか、見下されてしまいました。


 私の放った、空を震わせ、唸りを上げて大地を穿つ、拳に濃紫のオーラを纏わせた、渾身の一撃は、いとも簡単に避けられてしまったのです。


 お2人は優雅に飛び上がって、私の攻撃を避け、そのまま空中に静止して、まるで世間話をしているような呑気さで、


『まあ、しかし、ひとりで相手をするのは少しばかり厄介ですわね』


『ならば、ココ様』


 え、え、え~!? 何故こんな時ばかり息ぴったりなのですか? 2人掛かりは流石にヤバいですー! 


 給仕長の、にこやかな返事を合図にするかのように、お2人揃って右手を天にかざし、振り下ろします。

 ―――刹那。

 緑と青白きオーラが交錯し、入り混じり合いながら螺旋を描き、槍状になって、もの凄い勢いで迫ってきやがります。辛うじて身体を捻って躱す……『痛ったーい!』 お、お、お尻、お尻を掠めていきやがりました。『魔界一の美尻』と謳われた、この、私の、お尻をです!

 そもそも、お2人が諍いを始めたのが原因だというのに、納得がいきません。あったま来ました! こうなりゃあ、ただ拳を突き出しただけの、力任せの単純な攻撃がどれほどの物か、目にもの見せてやります。

 しっかりと腰を落とし、両脇をグッと閉めて、両拳に魔素を溜め込み、十二分に濃紫のオーラを纏わせて……『砕け散れー!!』気合と共に、一気呵成の無呼吸連打です! 無数の濃紫の閃光が、弧を描き、尾を引いて、お2人めがけて飛翔して行き……。

 なんてこったい! お2人の前には緑と青白のマーブル状の障壁が、すでに張られていやがりました。


『誰を相手にしているおつもり? そんな間延びした攻撃では『どうぞ障壁を、お張り下さい』と言っているようなものですわ』


『退屈で仕方ありません。では、ロキエル様。御無礼ながら、こちらからも』


 給仕長がため息混じりに、障壁に向かって、右手を開いて勢いよく突き出すと、マーブル状の青白い部分が無数の白刃となって、私に襲い掛かってきやがります。

 ふんす! この程度の攻撃、障壁を張るまでも有りません。すべて華麗に、片手で弾き飛ばして……『い゛だだだだ』地に叩き落とした刃が跳ね返って、お、お、お尻、お尻直撃、再びです。


 目にもの見せるつもりが、痛い目に合ってしまいました。

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