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67・ 強いんだから!

  

『殺し合いがしたい、と、ココ様は仰るのですね』


『それで済むなら、喜んで』


 ココ様と給仕長が、微笑みをたたえ『これからお茶でも飲みに行きません?』と、誘い合っているような口振りで話していますが……危険すぎます! 


『ウルハ、イイコ、イイコダナ、ナ、ナ! マカナイ、スゲー、ウメーシ、リョウリモ、ジョーズダナ、ナ!』


 マリには、ココ様がウルちゃんを褒めた言葉しか通じていないようで、我が事のように嬉しいのか、凍り付いたように固まって動かないでいる皆さんの周りを、1人で飛び跳ねています。


 いけません! ココ様と給仕長の身体から、オーラが滲み出てきているではないですか! この2人本気で闘り始める気です! とばっちりを喰らってしまっては大変です。防御力の高い調理服を着ているとはいえ、マリとラビちゃん、ウルちゃんを避難せなくてはいけません。あとの野郎どもは、放っておいても逃げるぐらいなら自分で何とかするでしょう。


 考える事は皆さん同じなようで、あちらこちらから3人娘に手が伸びてきたのですが、視界の端に魔王様が私に向かって何か合図を送って来たのを捉えました。改めて魔王様の方へ視線を飛ばすと、眼が合うなり魔王様は大きく頷きました。


 え? 如何いう事?


 その途端です。

 大きく視界が歪み、何本もの光の帯が不規則に浮かんでは消えて行き、全身が浮遊感に包まれました。


 転移魔法!? と、思った時には、足元に負荷を感じて、よろめいてしまったのですが、目の前には先程の状態から微動だにもしていない、ココ様と給仕長の姿が。


 やりやがったな、魔王の野郎! ココ様と給仕長、私の3人だけ異次元に飛ばして、事態を収拾させようという腹積もりですか。

 こうなれば仕方が有りません。何とかお2人の仲立ちをしなければ……いや、いっその事、此処でならば、どんなに暴れようと、誰に迷惑が掛かる訳でも有りませんので、好きに闘らせるのもアリかもしれません。お2人が本気で闘り合うというなら、高みの見物とシャレこみますか。


 おぉ、お2人も此処でならば何の遠慮もいらないとばかりに、緑のオーラと青白きオーラを全開……くっ! オーラの波動で吹き飛ばされそうです!

 瞬く間に膨れ上がったオーラが交わり、せめぎ合い、閃光を放ちながら、けたたましい炸裂音を響かせ、爆風を呼びおこします。


 ひぇー! これ、本当に死んじゃうやつだ。

 

 さすがに看過する訳にはいきません。近寄ろうにも、近寄れませんので、声を限りに叫びます。


『ココ様、給仕長。落ち着いて下さい!』


『……』『……』


 ちっくしょー! お2人とも聞く耳持ちやがりません。こうなれば実力行使あるのみです! 


『ふんす!』 


 と、気合一閃。

 負けじと濃紫のオーラ全開にして、お2人の間を割るようにして突っ込みました。もの凄い衝撃波が全身を襲います。

 お2人は私に見向きもせず、互いに見つめ合ったまま、


『ロキ! 止めても無駄ですわ』


『ロキエル様、お手出しは無用でございます』


 返答こそしてくれたものの、やはり私の言う事など聞きやがりません。どーも最近、私の立場が軽んじられている気がします。ここらで、ひとつ、私の威厳を見せつけてやりましょう。


 よーし! 闘っちゃる!


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