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31・ みんな驚くのも当たり前です。

 

「うんしょ!」


 何故かマリが椅子の上に立ち上がります。危なっかしいから止めて欲しいです。


『アサメシ、クライヤガッタ、カ?』


 両手を腰に当て、辺りを睥睨して、今までの態度とは打って変わって偉そうに言うものですから、皆さん唖然としています。

 まあ、普通は何の事やら分かりませんよね。


「マリ、皆さんに何か召し上がって頂けるものがあるの?」

「コンフィが、まだある! フラットブレッドならすぐできる!」


 なるほど、マリの心情としては魔王様に何か召し上がって頂きたいけど、えこひいきは出来ないから皆さんに何かお出ししようという事ですね……優しい娘です。


『皆さん、朝食がまだでしたらマリがご用意するとの事ですが、如何ですか?』

『おー、それは有り難いですな。本日の試食の為に朝食は抜いてきましたので、そもそもマリ様のお料理なら、腹いっぱいでも是非頂きたいものです』


 総料理長が代表して仰るのをマリに伝えると、


『ゴヨウダ、マチヤガレ!』


 何だか良く意味の分からない事を言って、椅子の上から飛び跳ねて、もーう、危ないなぁ、食材庫に向かいました。

 マリが取り出して来たのは、コンフィと小麦粉の袋、と、あぁ~この香りは昨日のブランデーです。

 ん? ココ様が何やらモゾモゾしています。ブランデーの香りが気になるのでしょうか?


 それはさておき。

 マリは大きなソテーパンを三つ焜炉に掛けると、一つにコンフィを並べました。次に小麦粉をボールにあけてオリーブオイルと水と塩を加え、捏ねた物を手だけで器用に伸ばし、熱くなったソテーパンに滑らすようにして入れます。取って返して、作業台の上に準備してあったピザ用の具材から、キノコを何種類か取り出し、ひと口大に切り、ソーテパンにオーリブオイルを馴染ませ、岩塩を加えて炒めます。コンフィをひっくり返して、う~ん、美味しそうな焼き色です。すかさずブランデーを掛け回し、ソーテーパンを斜めにして、ソースを木べらで勢い良く掻き混ぜます。その合間にフラットブレッドをひっくり返し、コンフィをソテーパンから取り出し皿に山盛りにすると、そこにキノコソテーを入れてブランデーソースと絡めます。焼き上がったフラットブレットを皿に盛り、キノコ入りブランデーソースをコンフィの上に掛け回しました。

 実況が追い付かない、目にもとまらぬ早業です。


 マリの調理する姿を料理人の皆さんが呆気に取られて見ている中、ラビちゃんとウルちゃんの真剣な眼差しが、ひどく印象的でした。

 マリの声が静まり返った開発室に響き渡ります。


『デキタ! ウメーゾ、クライヤガレ!』


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