閑話・ ラビとウルの逡巡。
『う~ん、ラビ姉、どーするっス?』
『ウルらしくないわね。何を悩むことがあるの?』
『だって、責任重大っス』
『じゃあ、このお話をお断りするの?』
『とんでもないっス!』
『だったら悩む必要なんてないでしょ、答えは出てるもん。やるっきゃ無いもの』
『ラビ姉、何気に大物っス』
『『何気に』は余計です』
『上手くできるかどうか、心配じゃないんスか?』
『それは、もちろん心配だけど ラビもウルも、ちゃんとマリ様のご指示通り、きちんとできたじゃない。自信持とうよ』
『ラビ姉は良いっスよ。「ラビスペシャル」をロキエル様に褒められて自信満々なんスから』
『え~、ウルだって魔王様に認められて、自信ついたって言っていたじゃない。何をいじけているのよ』
『ウルは褒められて伸びるタイプなんス』
『そんなこと言っていないで。何しろ毎日「ピザ」食べ放題よ』
『え!』
『何が『え!』よ、あの腸詰だって食べ放題よ』
『へ!』
『給仕長様が仰っていたでしょ。聞いていなかったの? 当面は「マリサマオススメ」二品と「マリナーラ」と「マルゲリータ」をお出しするって。それに、あの腸詰をサイドメニューに載せるんだから』
『ほ!』
『「マリサマオテセイソーセージ」を、私たちがマリ様に教わって、作るという事でしょ』
『なんと! そういう事っスか!』
『そういう事も何も、そういう事でしょうよ。マリ様のお手を煩わせる訳には、いかないのだから』
『気が付かなかったっス』
『呆れたわね。あの「コンフィ」も,私たちが作るのよ』
『「コンフィ」もっスか!?』
『給仕長様仰ってたでしょ、サイドメニューに加えるって』
『あ~そういえば。給仕長様が何か言ってたっス。「コンフィ」食べるのに夢中だったし「アカワインニ」で意識が飛びそうになって「フライドチキン」に止めを刺されて記憶がないっス』
『しっかりしてよ、もう!』
『っス。う~、何だか身体の奥底から力が湧いてきて、やる気満々ス!』
『単純なんだから』
『でも、ラビ姉、実際に、ここ二、三日、身体のキレが凄く良いんス』
『あ! ラビも』
『ウルが思うに野菜を食べているからかな、と。マリ様のお料理って、不思議な事に野菜も旨いんス』
『ラビもそうなの。普段食べ慣れないお肉が妙に美味しくて、ついつい食べてしまうの。気の所為じゃなく、力が有り余っている感じがするの』
『ウルは気づいたっス。肉を美味しくするために野菜が必要なんだなって』
『逆もまた真なりよ。お野菜を美味しくするために、お肉は必要なのよね……ラビとウルみたい、ね!』
『っス!』




