第七十四夜 神代最後の奇跡と真の平和
―あれから、三年は経とうとしていた。
最後の戦いの後、アッシュは遠い西の故郷へ戻ると言い、旅に出た。時々、伝達の瞳を通じて連絡をくれている。少し不器用なのは相変わらずだけど、俺たちの事を心配してくれているのは間違いない。
アンネとシーガは、ネアとレオンと楽しく過ごし、家族としての時間を過ごしていた。ネアはシーガに似ていて、レオンはアンネによく似ている。
リティは、ナイツァノ王国でツキノと共に国を支えている。妹ながら、よくやっている。ツキノも、リティを愛しい人と、連絡する時にいつも言っている。相当、惚れこんでいる様だ。
リアフとジャドは、それから恋人関係になったようなのだが、ジェンが帰ってくるまでは挙式しないと言う。ジェンを入れての祝いを挙げて欲しい、と言う彼らの思いなのだろう。
ペラリとフーティは、彼女はどことなくズレる所はあるけど、それでもフーティは彼女を支えている。意外と、上手く行っているのかもしれない。
ニックは、あれから変なコレクションを集めなくなった。多分、フウカのおかげだろう。彼は、フウカ一人を愛し、夫婦円満で暮らしている。
メイダとウルフィは、それぞれ族長として務めを果たしている。時々、彼女らと出会って話をしているけど、貿易船・荷車を保護したりと本当にありがたい。
クラッドは、妹のアイカと共に国の治安を守る警ら隊になっていた。罪を犯した人々を捉え、人々を平穏な暮らしへ導かせている。これも、ジェンが貫く導きのおかげだろうな。
俺か?あ、俺は、オリバーとミーアを育てながら、公務を行っている。と言っても、王政権ではなく。あくまで、王は国の象徴として他国を訪れる役割などを行う決意をした。時代は移り変わって行くからな。
オリバーとミーアは、ネアとレオンと共に遊んで、すくすく成長している。
でも、何故だか、俺はジェンがいない事に寂しさを感じている。探しに行こうと思うが、公務が忙しく都合よく行う事は出来なかった。
それでも、国々の復興は進んでいた。まだまだの所はあるが、三国友好同盟が結ばれ、協力関係へと進む事が出来た。―
夏の某日。ナイトは、本日を機に行われるエルシィーダン祭を控えた前日。彼は、あの時の夜にジェンとアンネが踊っていた事を思い出していた。
忘れない思い出の一つだ。ナイトは、彼女をかけがえのない存在であるのを、改めて感じていた。しかし、うだれてばかりでいる訳には行かない。ナイトは自分の子供たちの前では、涙を見せず、父親としての見守りを続けていた。
「祭り、楽しみ‼」
「だよな‼ミーア。」
「私も、一緒に良い?」
「ぼ、僕も‼」
オリバーとミーア、ネアとレオンはそれぞれ楽しみにしている祭りの話題で盛り上がっている。ナイト、シーガ、アンネは共に茶を飲みながら話しては、彼らの遊びを見守る。
子供の成長は早いものだ、と思わせる。大人になればなる程、時間の流れを早く感じる事はある。楽しい時があっという間に過ぎる様に…。
そして、待ちに待ったエルシィーダン祭り。国を上げての祭りの為、商店街は屋台の商売で、広場ではパフォーマンスで、町の各所や三つの学園では出し物で一層の盛り上がりを見せる。
王城にいたナイトは身支度を整えて、オリバーとミーアと共に外へ出ようと正面玄関の方へ向かおうとした時、伝令兵が息を切らしながら走り込んできた。
「ナ、ナイト陛下‼」
「ど、どうした?」
「そ、それが…‼」
伝令兵の言葉を聞いて、ナイトはオリバーとミーアを抱えて走り出す。伝令兵も、息を整えて走って行く。町の人々が祭りで賑わう中で一人、フードを被って王城へと向かう者がおり、徐々に近づいて行き、門へと到着すると、門兵はその服装を見て驚いたのだ。
その者は、門へ手を伸ばしてゆっくりと開けた。
ナイトは、オリバーとミーアを抱えて運んで正面限界へ続く扉へ到着し、二人を降ろす。オリバーとミーアは離れない様に一緒に手を握る。ナイトは扉をゆっくりと押して開くと、開いた門の方かこちらへ歩く人物を発見する。
「遅くなって、ごめんね。ナイト、オリバー、ミーア。」
そう言うと同時に、フードをめくると―
『お母さん‼』
とオリバーとミーアは走り出す。そう、その正体は、ジェンレヴィ・フィーメ。美しい白髪、瑠璃色の瞳、アイカがくれたカチューシャ。それを特徴とする人はだた一人……彼女本人である。
オリバーとミーアは、ジェンの元へ来て泣きながらも抱きしめる。ナイトは驚いて言葉が出なかったが、オリバーとミーアを抱きしめている事で幻ではないと確信した。
「ジェン‼」
ナイトは彼女の名を呼んで、子供たちと共に彼女を抱きしめた。彼は、探しに行けなくて済まないと言い、涙を流してしまった。しかし、ジェンは許してくれた。自分が戻ってくるまでに、国を、子供たちを必死に守っていたから、と。
すると、丁度そこに、アンネ、シーガ、リティ、リアフ、ジャド、ニック、フウカ、ツキノ、メイダ、ウルフィが来て、彼女を見て再会の歓喜に包まれた。
ナイトは、ジェンの帰還を民に知らせると、民は大歓喜に包まれた。また、ジェンはクラッドとアイカ、アレックス、フィノ、ダティ、ウィルソン、エムリ、チャールズ、マリアと再会した。
これは、一度きりの魔法だとしても、彼らは再会を果たした。また、リアフとジャドの挙式も祭りの翌日に行われた。その時の写真には、これまで戦って来た皆が映っていた。
これまでの戦いで、多くの人が犠牲となった。それでも、その人々への弔いと感謝忘れてはいけない。その人々も、誰かの為に戦い抜いてきた事が何よりも証になる。また、ジェン、クラッド、アイカの祖父が願っていた『真の平和』が訪れたのだ。
神代最後の奇跡…。それは、二度は無い、大魔法『絆』である。人との関わりは、いつどこで「巡り会い」、「友情を結び」、「愛情へと発展」、「絆を結ぶ」かは分からないが、一人だけでは成し得ない物が大いにあるのは間違いない。
人は、何かを学び、何かを善か悪を定め、何かを守り、何かを愛し、意味を持って死を迎える。その間に、喜怒哀楽の様に言葉を伝え合い、生きる為に困難に抗うのだ。例え、どんなに矛盾があろうとも、人が唱えるのは『己と仲間を信じる正義』。それは、どんな人であろうとも変わらないものである。
『Awakening Of Magic』を最後まで読んでいただきまして、誠にありがとうございます。
初めての小説を執筆させていただき、まだまだの部分はありますが、最後まで書ききれることを嬉しく思います。途中で、長期休暇であったり、変更などと、色々と慌ただしい所がありました。
なので、次回作やこれから執筆する作品は、今まで学んで来た事を活かしていけたらと思います。
今後とも、私、Hannaをよろしくお願いいたします。
『人を信じる。それは、どんなに不安や困難が来ようとも、乗り越えることのできる大きな絆の魔法です』by ジェンレヴィ・フィーメ




