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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第十一章 邪竜・ハンヴィル ―神秘の最期へ―
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第七十二夜 最終決戦! ―また、会う日まで―

 誰もいないこの空間、見渡す限りの闇に心を打ち砕かれそうになった。彼女は口を開かず、名にも聞こえないまま…ただ闇に身を任せそうになる。


「……ら………な‼-……きら…めるな‼……めるな‼」


 遠くから、微かに聞こえる。ジェンは、誰なのだろうかと思った時―


「諦めるな、ジェン‼俺と、約束…しただろ?」


 とナイトの声がした。


「こ、この声は、ナイト!」


 ジェンは、彼の声にハッと我に返って目を覚ます。そうだ。忘れていた事があった。共に、闇を打ち倒して平和な世界を切り開く事を。


「何?完全に、取り込んだはずなのに!……人間‼またしても!なぜ、邪魔をするのだ、小さく脆い虫けらが。」


 ハンヴィルの化身である彼女は声を荒げて言う。


「負けないで‼お願い!起きて、ジェンさん!」


 とリティ、


「君は、負ける訳無い。さぁ、戻ってきて!」


 とシーガ、


「ジェン様!私は信じています‼貴女様が立ち上がってくれることを。」


 とリアフ、


「ジェン様はナイト様と共に、国を照らす光です。私は、あの時のご恩を忘れていません!」


 とジャド、


「ジェンちゃんは、絶対に負けない、諦めない子だ。闇に支配されるな‼」


 とニック、


「ジェンちゃんが、いなくなるのは嫌よ!」


 とペラリ、


「お前なら、出来る。どんな事も、乗り越えたじゃないか。そんなの、お前らしくないぞ。」


 とフーティ、


「我が同胞よ!どうか、戻って来て欲しい!頼む!」


 とツキノ、


「僕は、ジェンさんを信じております。どうか!」


 とフウカ、


「ジェンさん。我が一族、貴女様が負けるなど思いませぬ!諦めないで!」


 とメイダ、


「貴方は、我が人狼の一族の誇り。唯一の友を、可愛い貴女を、失いたくない。」


 とウルフィ、


「母さん!俺は、母さんを失いたくない‼戻ってきて!」


 とオリバー、


「私も、オリバー様と同じく、貴女様を信じております。お父様を助けてくれた御恩、今でも忘れていません!」


 とネア。現場にいる皆が声を掛けてくれる。しかし、それだけでは無かった。


「ジェン!諦めるな。お前なら、出来る。」


「ジェン。貴女は、私たちの大切な家族よ!」


「姉さん!負けないで‼」


「お姉ちゃん。」


 ウィルソン、エムリ、チャールズ、マリアの声も聞こえる。ジェンの危機を感じ、皆で意思を伝え、彼女を応援している。


 “ジェン。貴女に、辛い思いをさせてごめんなさい。でも、貴女は、直ぐに諦める子じゃないわ”


 “迷惑を掛けたのは、済まなかったが…。お前は、絶対にやれる。信じてるぞ”


 語り掛けたのは、彼女の母親のアンヌと父親のディオスであった。それだけでない。アンネの母・ヘンリ、ナイトとリティの母・ナシィーと幼き頃の友であるハリー、ジュール、エマ、ミアが彼女を応援する姿も目に映る。

 支えてくれた仲間が彼女を支えている。さらに―


「ジェン姉さん‼戻って来い!俺、姉さんと戦う‼父さんと母さん、アイカの分も‼」


「ジェン…。貴女が、負けてどうするの?貴女は、私の友達でもあるけど、女王でもあるのよ。民を、不安にさせないで!私も、最後くらい、戦うわ‼」


「……クラッド‼アンネ‼」


 ラーフが運んだのだろうか、クラッドとアンネが駆けつけてジェンに声を掛ける。ジェンは、ゆっくりと立ち上がると、化身(ジェン)は苛立ちを見せ―


「……やめろ……、目障りだ‼やめろ!……無力な、矮小な!貧弱な‼…虫けら共がぁぁぁぁぁぁっ‼」


 と叫ぶ。ナイトはジェンに語り続ける。


「戻って来い。君は、そんな邪竜と同じじゃない。俺が知る、ジェンであり、唯一の愛する人だ‼共に歩んで来ただろ?」


 その言葉に、ジェンは気付いた。ここで、本当に、終わる訳には行かない。だからこそ、やらなければならない、と。


「えぇ、ナイト。私は、貴方と仲間と共に、守り、戦う‼」


 ジェンがそう言うと、異空間は歪んで彼女はナイトたちの元へと帰還した。ラーフは、傷付いたナイトたちを回復させて戦闘態勢を整えてくれた。


「さぁ、ナイト、ジェン。貴方たちが、ハンヴィルに止めを。」


「皆、これが最後の戦いだ‼……行くぞ!」


 ラーフの言葉を胸に刻み、ナイトは皆に指示をする。アンネとクラッドを加えた一団は、最後の戦いへと踏み出して行く。

 ジェンは天馬(ユニサス)へ変身して、覚醒した姿のナイトを乗せて翼を羽ばたかせて前進する。敵は二人の進軍を止めようとするが、シーガとアンネにクラッドがそれを阻んで攻撃する。


「ヴァンア・ラーフ・大鎌(ジャダク)‼」

光風刃(ルークス・ヴァン・ソード)‼」


「ナイト様と姉さんの道を、邪魔するな!」


 二人は彼らに任せて、先へ進む。

 リアフとジャドは、炎を纒って三人で敵を一掃する。ペラリとフーティは、風と水の連携攻撃で敵を巻き込んで撃破する。

 ツキノとリティは、近遠距離を使っていき、ツキノは近距離攻撃で、リティは遠距離攻撃で敵を倒す。

 ニックとフウカは、炎と光の合体技にて敵を一網打尽にしていく。メイダとウルフィは、雷と人狼の力を使い、ナイトとジェンへ向かおうとする敵を捉えて撃破する。

 オリバーとネアは、互いにフォローをしていき、背中を合わせて敵を捉え―


「行くぞ!ネア。」


「えぇ!勿論!」


 と並行進軍して、一斉に交差(クロス)攻撃をして行く。

 ナイトとジェンは進んで行き、いよいよ化身の元へと近づいた。


 “ナイト。ここは、二人で戦いましょ”


「え?で、でも……。」


 “ラーフ様が最後に与えてくれた。剣を、再び手にする事を”


 ジェンはナイトにそう伝える。彼はジェンの為にも、この状況を考えて「分かったと」と言い、地に降りて人に戻ったジェンに宝剣(クラ・ソラウ)を渡す。

 ジェンはラーフの力によって、再び宝剣(クラ・ソラウ)を手にする。正面にいる化身は闇を色濃く纏う。


「モドレ、ワレ ノ モト ヘ!」


 化身はそう言い、棘の攻撃を二人に向けて放つ。ジェンは、刃を振るって棘を打ち消し、拒絶を示す。すると、ハンヴィルの顔がこちらへ振り返って来た。


「Guaaaaaaaa!」


 ハンヴィルは威嚇して、化身の指示を受けて攻撃を始め、(テネリス)息吹(ブレス)を二人に放射する。

 二人は避けて、接近戦へと持ち込もうと走る。


「ジャマ ダ!……ジャマ ダ!……ホロビ ヲ モッテ、ワガ コ ト ナレ!……レイゾク シロ!!」


 化身は荒ぶり、闇の魔法を大いに使う。二人は走り抜けて行くが、徐々に隙きを突いてくる攻撃となり、掠り傷や切り傷ができる。


「……っ!まだ!まだ!」

「……っ!負けねぇ!」


 二人はそう言って己を鼓舞し、刃に魔力を送り込んで化身からの攻撃を弾いたり、打ち消したり、防いだりする。化身(ジェン)は攻撃を届けられない事に腹を立てて―


「ジャマ ダ‼タタキ、ツブス‼」


 と言って、攻撃を更に仕掛けるも二人の刃と走りは止まらない。そうしているうちに、間合いへと彼らは入った。ジェンは強力な光を宿し、ナイトはラーフの加護が宿る炎を宿して構えを取る。化身は防御態勢に入ろうとしたが―


『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼』


 彼らの刃の力が一瞬の速さを取った。


「Gyaaaaaaaaa!」


 化身は二人の力を浴び、叫びながらその場に崩れて膝をつく。ナイトは化身を葬り去ろうと、再び剣を強く握りしめるが―


「ナイト。ここは、私が。」


 とジェンは言う。ナイトは、彼女がこれから行う事に驚いて止めようとするが、彼女は防壁を敷いて彼を通さなかった。彼女は覚悟を決めていた。以前、ビルが話していた事を思い出す。


『貴女が、その命を持って、化身となった自分を倒すのならっば、覚悟を持って欲しい。もし、貴方の心が化身に届くのなら、奴も魂ごと消え去り、貴女は戻る事が出来る。神秘の終わりが、やって来る。真の平和が』


 と。


「ナイト。しばらくの別れよ。……こんな不躾で、申し訳ないけど…国の事、頼んだよ。」


「ジェン‼」


 彼女の言葉にナイトは防壁を破ろうとするが、全く微動だにしない。ジェンは止めの一撃を持つ為に宝剣(クラ・ソラウ)を手にして一撃だけ許されたラーフの炎を宿す。化身は苦しみながらも「何をするのだ」と言う。


「貴方が、自分自身である事、()は感謝するよ。……こうして、大切な人々の為に、未来のために、私の命を持って使えるのだから‼」


「ナ、ナニ…ヲ‼」


「貴方のやった事は、許されない。でも、私その者よ。……だから、一緒に逝かせてもらうわ‼」


 ジェンはそう言い、化身が叫ぶ中、刃に宿した炎をもって奴に接近して奴の心臓を貫いた。ハンヴィルは叫び声をあげて空から落ちていく。ナイトたちは、ラーフの魔術によって地上へ移動させられた。ナイトは彼女の名前を叫ぶ。彼女は振り返って、手を振っていたのかもしれない。


「また、会う日まで…。さよなら。」



 同時刻。ヴィマナに乗るビル、エル、勇者、アッシュ、ヒミコ。ビル、エル、勇者は最後の仕事を行う為に、剣を握っている。


原初の七嵐(イムフル)‼』


 と、ビルとエルは二人で嵐を、


星を守る剣(ブルーアース)‼」


 と、勇者は打刀と銀の剣で光の攻撃を放った。それを見守っていたアッシュとヒミコは、これで神秘が終わると確信した。

 攻撃を終え、ハンヴィルは塵一つ残さずに消え去ると、勇者とヒミコの体が消えかかっていた。彼女たちは、もうこの世にはいない。英雄として、この事態を収束する為にやって来たので、それが終われば必要ない。


「アッシュ。貴方は、故郷に戻らなくていいの?」


「そ、それは…。……っ‼そんな顔で見るな‼わ、分かったよ。行けばいいんだろ?」


 アッシュは不貞腐れつつもそう言うと、ヒミコは微笑んで話す。


「素直が一番であるぞ。さて、私たちは、歴史の行く末を、理想郷から見守っていましょうか。勇者。」


「はい。例え、私たちが呼ばれなくとも、ね。」


 ヒミコの言葉に、勇者はそう言った。例え、英雄と言う人々が召喚されなくとも、その時代ごとに英雄と呼ばれる人は現れると、信じて。ビルは―


「ありがとう。未来も、其方たちの言う通り、なのかもしれぬな。」


 と言い―


「では、まただな。また会うとしたら、王の姿であろうさ。」


 とエルは言った。勇者とヒミコは、エルの言葉に微笑んで別れを交わし、姿を消した。アッシュは、ビルとエルに礼を言い、故郷へ戻る為にナイトたちに別れを告げに行くと話してヴィマナから地上へ翼を羽ばたかせる。


「平和は、取り戻せたが。あの娘の事、忘れる者はいなかろう。」


 とエルは言う。確かに、ジェンの死は痛手だ。誰もが、悲しむに決まっている。


「確かに。あまつさえ、受け入れがたいものよ。でも、意思が強ければ、最後の奇跡は起きるぞ。……ナイト。そして、彼と彼女を支えた者たちよ。また、しばらくの別れだ。今度は、国同士での支え合いをして行こうぞ。」


 そう言って、ビルはヴィマナを操作して故郷へと戻って行った。いつか、また会えると信じて。

いよいよ、エピローグの始まりです。

残された彼らは、何を思うのか…。

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