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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第十一章 邪竜・ハンヴィル ―神秘の最期へ―
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第六十八夜 ハンヴィル神殿 序

 ナイトたちはハンヴィル神殿の境内に入るが、待ち伏せしていたハンヴィル教団の武装勢力が現れた。


「そうはさせませんわ。」


「ノベー‼貴様、そこを退け!」


「そう言って、退く、とでも?我が軍団の力は、英雄と呼ばれた者たちよ。剣士(アーサー)弓兵(アルジュナ)狂戦士(クー・フーリン)復讐者(ゴルゴン)。これは、ヴィズロル様が大陸にて学んだ知恵の結果よ。」


 ナイトたちに立ちはだかる兵士は、黒く染まった英雄であった。剣士、弓兵、狂戦士、復讐者。それぞれが、黒魔術によって呪われている。ナイトは呟いた。


「これも、ビルが予言していたのと同じ、か。」


「…アーサー王にクー・フーリン、アルジュナにゴルゴンか。懐かしいな。……気をつけろ、隙を見せれば死ぬぞ‼」


 アッシュはそう言って注意を促した。

 ナイトは“戦闘開始だ”と言ってヴィズロルの元へ向かう為、障壁となるノベーと少数軍団の戦闘を始めた。最初に立ちはだかったのは、復讐者であった。復讐者は目から魔力を光線で放つ。皆が避けると、攻撃を受けた地面は石化した。


「皆、気をつけろ!石化の魔眼だ!受ければ、石となって死ぬぞ!」


 ナイトは、ビルに言われたそれぞれの英雄の注意点と弱点を言う。すると、ツキノが―


「ナイト、ここは我に任せよ。」


 と言った。ナイトは一人で相手出来っこないと言うが、リティとフウカ、ニック、ネアが彼の援護をすると言った。ナイトは“死ぬんじゃねぇぞ”と言って仲間を連れて次の敵へと向かった。


「虫けら共が、五人で対抗するとでも?」


 復讐者は言う。しかし、ツキノはナイトに言われた事を忘れず、とある武器を手にした。愛刀ではなく、伝説に語られるあの剣だった。復讐者は目を見開いた。


「お前に対抗できる剣は、この天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)だ‼」


「それだけじゃないわ!僕の魔鏡は魔眼にも対抗できる!」


 フウカは魔鏡を翳して復讐者に向けると、復讐者は呻き声をあげ、瞳に封印の印が刻まれた。これで、魔眼の力は無効となる。復讐者は叫び声をあげて髪の一部となっている蛇と体の一部となった尾をツキノたちに向けて攻撃をした。


「貴様らぁ‼よくも‼人間め、消え去れ‼」


 復讐者は全力での攻撃を始めた。



 ナイトたちが次にぶつかったのは、弓兵だった。雰囲気としては神々しい感じだったが、瞳はこちらへの殺意であった。


「人間、不要……。神として、罰を下す。」


 そう言うと、ナイトたちへ弓を引いて青い炎を纏った矢を放つ。地面に突き刺さると、円形に罅が入って爆発を起こした。その後、蒼い炎が小さく燃えていた。破壊力が凄まじい…。すると、今度はリアフが言った。


「ナイト様。ここは私に。」


「し、しかし!」


「炎の一族である私を、信じてください。」


 そう言って、リアフは(ロッド)を構えると青い炎はたちまち赤の炎へと変化して彼女の(ロッド)に集まり、彼女の体を纏い、片目からは赤い魔力が炎のように立ち上がっていた。赤の貴族の覚醒の姿でもあった。


「分かった。」


「俺も残る。」


 ジャドはそう言う。二人だけでは足りないので、メイダとウルフィもシーガも参戦した。そして、オリバーも残ると言った。ナイトは無理すんなよと言って次へと向かう。

 次の敵は狂戦士で、獣のような爪と脚をしていて手には紅の槍を持っていた。狂戦士は叫び声をあげると、ナイトたちは力が出にくくなった。


「クー・フーリンの叫びは、俺たちの力を抑え込む物だ。それと、あの赤い槍は心臓に刺されば命は無い。」


 アッシュはそう説明した。彼が何故ここまで知っているのだろうかと不思議に思う。だが、そんな時間は無い。ナイトは一角天馬(ユニサス)に変身したジェンに跨って剣を構える。

 すると、狂戦士は素早い動きでナイトに迫り、刃の競り合いをする。しかし、狂戦士の力は凄まじくナイトは押されていた。ジェンは彼を援護する為に、狂戦士に斬りかかるも、狂戦士は回避してナイトから離れる。

 アッシュは二人の前に立ちふさがって、白銀竜へと変化する。狂戦士は彼に向かって突進してくるが、アッシュは水息吹(アクア・ブレス)を吹いて反撃。


「ここは、俺に任せて先に行け‼」


『は、はい‼』


 アッシュの言葉に、二人は返事をした。

 ナイトはジェンと共に、剣士の英雄アーサー・ペンドラゴンと再び対峙する。


「再び、戦う事になるとはな。戦う前に貴様らの名を問おう。」


「ナイトアル・エルシィーダンだ。」


「ジェンレヴィ・フィーメ。」


 二人は名乗った。黒アーサーはジェンの剣を見て呟く。


「娘の持つ剣…我がエクスカリバーの元になるものがここにあるとはな。」


 奴は改めて、二人に言った。


「ナイトアル・エルシィーダン。ジェンレヴィ・フィーメ。貴様らを、ここで消し去る‼」


 と、言った瞬間に接近する剣士。ナイトは、剣士と同時に間合いを詰め、奴の剣を受け止める。あの時とは違う。もう、諦める事は無い。だが―


 “何て、魔力の濃さだ‼力も、魔力を使って‼”


 圧倒的に差があったのは体内にある“魔力”の器である。ナイトをはるかに上回るその器を、剣士は全力で解放している。ジェンは競り合いをしているナイトが苦戦していると直ぐに察知して、横から攻撃を入れる。剣士は避けて、二人との距離を持つ。



 同時に、復讐者を相手に戦うツキノ、リティ、フウカ、ニックは苦戦を強いられていたが、徐々に追い詰めていく。復讐者は魔眼を封じられ、天叢雲剣で蛇に変異している髪も斬られていた。


「な、何故だ‼私の方が、貴様らより強いと言うのに‼何故だ‼私は、人間共に奪われた分、復讐していると言うのに‼」


 復讐者はそう言っているが、ツキノ達にとって、この復讐者は自分たちの敵であって、生かす訳にはいけないのだから。それに、復讐は例え果たされたとしても、消える事は無く、永遠に檻に閉じ込められるのだから。


「覚悟‼」


 ツキノは隙を突いて、空中へ舞い上がって剣を握りしめる。狙うは復讐者の首。ツキノは狙いを定めて空中で構えを取った。復讐者は反撃しようとしたが、ツキノの構えにある事を思い出し―


 “貴様‼何故!”


 と思った。それは、ツキノが、かつてこの世界を救う冒険に出た一人の少女の姿の様に見えたからだ。そして、ツキノは反撃を受ける事無く、復讐者の首を討ち取ったのだ。復讐者は何も言えないまま、姿を消して行った。


「兄様。」


「大丈夫だ。行こう。」



 そして、弓兵と戦うリアフ、ジャド、メイダ、ウルフィは弓兵の素早さと的確な照準に苦労していたが、少しずつ慣れて来た。剣と弓は攻撃の仕方もあるが、近か遠となると、遠の方が有利となる。不利な状況でも、四人は屈しなかった。


「何故、完璧な私が?!」


 弓兵は戸惑っているが、リアフは(ロッド)を構えて言う。


「自分が神とか、完璧とか言うけど、自らの欠点を見据えているの?」


「その通りだよ。神々にも欠点がある。それを、完全に治すことなんてない!」


 リアフの言葉に、シャドは賛成して言う。弓兵はそれを聞いて、動きを止める。その隙を突いて、ウルフィとメイダは攻撃を入れる。弓兵はウルフィとメイダに向けて弓を構えるが、隙を見たシャドは攻撃して弓を弾いた。


「取った!」


 リアフは(ロッド)を力強く握り、赤い炎を纏って弓兵に迫る。弓兵にとっては、ある人物の様に見えた。


 “カルナ?!”


 しかし、カルナではなく、リアフ。彼女はそのまま、弓兵に致命傷を与えた。弓兵は―


「私は、また、自分の愚かさに気付かぬとは、とんだ恥だ……。」


 と言って消えて行った。

 また、アッシュは狂戦士との対決で素早さ、獣の如き勝負を繰り広げていた。


「はぁぁっ!」

「せやぁっ!」


 竜と怪物。二人の戦士は拳に己の武器を何度も、何度も交える。そして、それはどんどん速くなる。どちらに決着が着くのか、と言うほどの勢いだ。だが、それは終わる。


「どりゃぁ!」


 決着は、アッシュが爪で狂戦士に致命傷を与えた。狂戦士は


「全く。お前は運が良い。俺なんか、若いうちに死ぬからよ。」


 と言って消えて行った。アッシュは拳を握り―


「いや、お前は、英雄としての第二の道を進んだ。俺より、良いもんだ。」


 と言った。

 だが、油断はできない。最後の敵、剣士の英雄はまだ健在であり、ナイトとジェンは苦戦に追い込まれる。

 そして、剣士は剣を天に掲げ、刃に魔力を貯めて行く。


「世界は反転する。闇が支配する……」


 二人は、あの時の呪文だと分かり、立ち上がる。しかし、あの攻撃は凄まじいを超えるものだ。どうしたら良いのだろうか?二人が迷っていた時―


「諦めちゃ駄目です。貴女の剣を、使うのです。」


 とジェンに声が聞こえたが、ナイトには聞こえていない。ジェンは前に出て―


「ナイト!私の剣で!」


「何を!」


「ここで、皆を死なせる訳には行かないでしょ!」


「………っ!……分かった。」


 ナイトは宝剣(クラ・ソラウ)を、彼女の手の上から握る。二人であの攻撃を止めるのだ。


「光を穿て、反転勝利聖剣(エクスカリバー・インヴァート)!」

「ラーフ・フィーメズ・宝剣(クラ・ソラウ)‼」


 剣士の呪文と同じくして、ナイトとジェンは剣の刃に光を溜めて放つ。光と闇……二つの嵐がぶつかる。それを見ていたアンネやシーガたちは眩しさに目を凝らしつつ彼らを見守ることしかできない。


 “絶対に、守る。仲間も、家族も、国も、世界も!”


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ジェンは強い思いを胸に叫んだ。

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