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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第十章 平和への道と新たな敵
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第六十三夜 玄帝国へ ―仲間との合流―

 ナイトとツキノが話をしている間、ジェンとチャールズは牢獄にいる兄・ウィルの様子を見ていた。チャールズが何度も「兄ちゃん!」と声を掛けてもウィルは反応しない。

 ジェンやチャールズ、エムリにマリアのように白髪で瑠璃色の瞳を持つが、彼はなんの反応もない。


(兄さん。同化を受けている様だけど、複雑なものにしたわね…。)


 そう思っていると、牢獄に通じる扉が開いて誰かが入って来た。ジェンはその方角を見ると、ビルの傍にいた青年・エルアドであった。

 ジェンは礼をして「助けていただき、ありがとうございます」と言うと―


「礼を言われるほどではない。……あの者は、貴様らの兄か?」


 と尋ねた。ジェンは口調の変化に違和感を覚えていると、チャールズは「あぁ。そうだよ」と言い、エルに話をする。


「だけど、何度読んでも反応が無いんだ。姉さん、やっぱり同化(サクロールム)を受けているのかな?」


「ん~。私もそう思っているんだけど、解除するには複雑すぎる。」


「どれ。俺が見てやる。」


 エルはそう言って、通り抜けの魔法で牢の中へと入る。ジェンとチャールズは彼の魔法に驚くが、兄に近づいたら危険が及ぶかもしれないと思う。が、エルはウィルの額に手を当てて状態を見る。


「複雑な同化魔術か…。」


「なぁ、エルさん。兄ちゃん、元に戻せるんですか?」


「当然だ。こんな魔術は俺にとっては簡単だ。」


 エルはそう言って、ウィルの額に手を当て呪文をブツブツと唱える。すると、ウィルに異変が起き、彼が苦しみ始めた。


「ぐっ‼」


「耐えろ。そして、己に掛けられた魔術に抗え。」


 エルがそう言うと、ウィルの口から同化魔術の塊が出て来た。エルはそれを見逃さず、鎖で捕らええて破壊した。そして、正気に戻ったウィルは辺りを見回してジェンとチャールズを見る。


「お、お前ら……ジェンと……チャールズか?」


「兄さん!」


「兄ちゃん!」


 ウィルの尋ねにジェンとチャールズは涙して喜んだ。正真正銘の兄・ウィルが無事によってフィーメ家は念願の再会を全て果たした。ジェンはウィルに「見つけられずに、十年過ぎてしまってごめんなさい」と言ったが、ウィルは「お前たちが無事でなによりだ。心配かけて悪かった。ジェンやチャールズのせいじゃない」と言った。

 エルは同化魔術を完全に解いた事を話し、ウィルを牢獄から解放した。廊下を歩いていると、丁度そこにナイトとツキノ、ビルの姿があった。


「ジェン。そいつ……。」


 ナイトがそう言うとジェンは「私のお兄様だよ」と嬉しそうに言った。彼は「久しぶりだね、ナイト王子」と言った。ナイトは「ウィルソン先輩⁈」と驚き、ツキノと共に再会できたことを喜んだ。

 それを見守っていたビルとエルは、小声で話をする。


「あたしたちも、こうやって再会したのが懐かしいわね。」


「そうだな。貴様が俺を、ただの少年に転生させたのだからな。」


「余計な一言よ!それに、今も王だったら過労死しているか飽きてくるでしょ?」


「……まぁ、そうだな。」


 エルはビルにそう言われた事が恥ずかしくなり、照れ隠しをする。




 翌日、いよいよ出発の日を迎えた。朝食に仕度を済ませた彼らは、港に来ていた。行く方法は、ビルが他国から借りている黄金の飛行機にして戦車・ヴィマナに乗る事である。道の大陸で大勢で行くのも無理があり、何が潜んでいるかは分からない為と考えたナイトは、二つの班に分かれた。

 一つ目の班は、ナイト、ジェン、シーガ、ニック、ペラリ、フーティ、ウルフィ。

 二つ目の班は、リティ、ツキノ、フウカ、リアフ、ジャド、自警団(ヴィジェラーンティ)


「気を付けてね、シーガ。」


「あぁ、必ず帰って来る。それまで、ネルガを頼むぞ。」


 シーガとアンネは互いに抱きしめあった。ジルは、彼らには娘のネルガがいた。オリバーと同い年だが、親が離れてしまっては駄目だ。

 ニックも、フウカの事を思って彼女の安全の為に国に残す事にした。愛するものを守る為に、国を守るために。

 ジェンはアンネと話をし、彼女にオリバーとミーアの事も頼みますと頼んだ。


「ごめんね。アンネ。こんな形で押し付けて。」


「いいのよ。ナイトには、ジェンが付いていなきゃ。貴女の代わりに、オリバー君もミーアちゃんも守ってあげる。」


「うん。……じゃぁ、行ってくるね‼」


 ジェンはアンネにそう言う。彼女は「絶対、帰って来てね」と言い、ジェンに手を振った。ナイトは月のと話をする。


「じゃぁ、行ってくる。」


「なぁ、ナイト。帰って来いよ。」


「あぁ。だから、しばらく、俺の国もお願いするぞ。」


「おう‼」


 二人は、グータッチをしてその約束を誓った。王として統べる者として。

 そして、ビルはヴィマナにナイト、ジェン、シーガ、ニック、ペラリ、フーティ、ウルフィ、エルを乗せた事を確認して操縦席に座り、思うがままに操縦して纓那国の港から旅立った。

 港が見えなくなった頃にナイトは、操縦席に座るビルに話をする。


「ビル。そう言えば、この空飛ぶ乗り物は一体?」


「あぁ。これはヴィマナと言う。我の国にはないが、他国から借りているのだ。貴方たちに操縦は難しい飛行戦車と言う事だ。」


「戦車?全然そう見えないが…。」


 ナイトに言われるのもそうだ。まるで飛行する物であり、戦車には全く見えない。


「あぁ。これは、戦車の中でも空の移動に優れているんだ。昔、神々が地上や天に実在していた頃……これは兵器として使われていた事もあってな。兵器として使ってしまえば、都市一つ分は失う。これを扱う者には相当の心得が必要なのだ。」


「そ、そんなに恐ろしいものを⁈」


「安心せい。我はそのような事はせぬ。移動手段にしか用いれないし、攻撃はエフと私で賄える。」


 確かに。彼女は操縦をうまくこなしている。これが乱暴なヤツだったら、とんでもない事になるのはナイトは完全に理解できた。すると、先頭に立って景色を見ているエルが―


「おい、大陸が見えたぞ。……だが。」


 早い。ヴィマナは高速で移動するものである為、大陸まで数分と言える。また、その場に乗っている者たちには、巨大な風圧が掛からぬ様に施されている。少々の風は吹きつけるが、物が飛ばされず混乱せずにいられる。古代の戦車としては、凄く優れている。


「エル。何か、感じるのか?敵か?」


「あぁ。しかも、俺たちが交渉した隊長が追い詰められているぞ!港町の人も、このままでは巻き込まれるぞ!」


「何⁈それは行かぬ!ナイト、皆に戦闘準備を指示しておくがいい。敵は凶悪な連中だ。新たな道を歩む事を願って、斬り伏せるのだ。」


 ビルの言葉にナイトは頷き、仲間に指示する。


「……戦闘準備だ。港町で困っている人々の為、俺たちで救うのだ。」


『了解‼』


「皆。我が指示するまで、降りるなよ。下手すれば、死ぬ破目になる。慎重に行くぞ!」


『おぉ‼』


 ビルの指示に、皆は返事をする。そして、ヴィマナの速度と高度を落とし、敵に気付かれない様に港へ着く。ビルは「行け。敵が来ない事を確認した後、合流する」と言い、皆を降ろした。エルは皆への先導を行い―


「かかれ‼」


 と言った。ナイトたちは、一斉に出撃した。最初にジェンとペラリが(アロー)を放ち、敵の一部を討伐する。当然の出来事に敵は驚き、混乱に陥る。エルは港町に迫る敵を鎖で縛り付け、斬りつける。カンナギは妖怪の仲間を七人程召喚し、その直後に魔術を敵に放つ。

 ナイトは、シーガと共に青年を助けるべく急いで走って行く。


「待て!」


 (ナイト)の声に敵は振り返る。二人は自身の武器で敵に斬りかかる。シーガは拳に闇魔法を纏い、敵の心臓を狙って付きつけ、敵の心臓を打ち砕いた。が、ナイトは敵に攻撃を塞がれた。彼はシーガに「行け!あの人を守れ!」と言った。シーガは青年の元へ行き、味方である事を伝えて守備体勢に入る。

 ナイトは敵の鋭い剣戟を鮮やかに避け、敵が横切りした時に上へ飛び、止めを刺すべく刃を振り降ろした。


「せやぁっ‼」


 敵は彼の攻撃を額に受けてしまい、即死した。空からの偵察を終えたビルは、ヴィマナから降りて亜空間にそれをしまった後、青年の元へと駆けつける。


(とう)殿‼ご無事で何よりだ!」


「き、君は、ビル⁈こやつらを、援軍に連れて来たのか?」


 (とう)と呼ばれた青年は、ナイトとシーガを見てそう言う。ビルは「あぁ。この方たちは、我の眼に映った救世主と言う人々だ」と説明した。青年は「あ、ありがとう、ございます」とナイトとシーガに言った。


「いいよ。お礼だなんて、それよりもどうして敵に追われていたんだい?」


「朕は、港町に調査で来ていたんだ。けど、奴らに見つかって、捕まるものかと思って逃げたんだ。」


「そうだったんだね。もしかすると、君は貴族なのかい?」


 湯の話を聞いてシーガはそう問うと、「何で分かるんだい?」と言う。シーガは「ただ者じゃないオーラと着ている服からしてそう思った」と言う。ナイトは「どんな判断だよ」と突っ込みを入れつつ、商が無事であったことを喜び、自己紹介をした。


「俺は、ナイト。ラフィンナ大陸島にあるエルシィーダン王国の国王代理だ。こっちが、俺の友人で吸血鬼(ヴァンパイア)一族の末裔・シーガだ。商さん、俺たちはビルの依頼に応じてここへ来ました。俺たちで出来る事があれば、願いします。」


「うむ、心得た。君たちが助けてくれなかったら、朕はとても危ない状況だった。感謝する。」


 湯はナイトの手を取り、拍手を交わした。港町の人々は、彼らによって安心する事が出来た。さらに、応援の品として地図や遠見の瞳(望遠鏡の一種)を貰った。

 その後、湯によって敵にバレぬ様に進んで行き、反乱軍のアジトへと到着するのだった。

(しょう)の名を、(とう)に変更しました!

突然の変更に、申し訳ありません。

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