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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第十章 平和への道と新たな敵
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第六十一夜 戦いの幕引き

「ナイト!シーガ!」


 ジェンは心配する。ナイトは無事だが、シーガは全身を強打した為、体に衝撃が走り、少々動きづらい様子だ。

 ジェンは油断せずに剣を構えるが、奴の隙きを突くにはどうしたら良いか迷っていた。


(相手には、隙が無い……。何か、あるはず……。)


 隙を見つけるには、あらゆる手で攻撃をしなくては余地が明かない。ジェンは、まず遠距離攻撃を開始する。光矢(ルークス・アロー)を複数放ち、相手の防御方法を見てから、すぐ別方向から光矢(ルークス・アロー)を飛ばす。しかし、奴は攻撃を防ぐ。


(遠距離だけじゃ、(らち)は開かない……。こうなったら、近距離で‼)


 ジェンは、一気に間合いを詰めてやつに刃を振るう。奴は、(シールド)で防ぐが、ジェンは何か違和感を感じ取った。脳に何かが聞こえる様な……。しかし、今はそれ所では無い。ジェンは、素早く奴から離れて別の方向から間合いを詰めて剣撃を繰り出す。



 同時刻。ナイトとシーガは、ジェンが戦っている中、互いの無事を確認していた。


「大丈夫か?」


「平気だよ。神器のおかげで、俺の強靭さは、今までの倍だ。」


 ナイトは、シーガが無事である事を確認した時、通いの瞳でチャールズとメイダがジェンの姉・エムリを救出したとの報告が入った。ナイトは、シーガがまだ動ける事を先程の言葉から感じ、二人と合流するようにと言った。


「分かった。けど、お前、無理すんなよ。」


「お前もな!」


 ナイトはそう言って、シーガとグータッチをし、剣を手にジェンの援護へと向かう。


「ジェン。遅れてすまない。」


「大丈夫なの、ナイト。」


「問題無いさ。それで、今は、どんな状況だ?」


 ジェンは、ナイトに奴の隙きを話し、二人で撃破する事に合意した。接近戦がナイト、遠距離がジェンで隙きを突いて鎮める。彼らは、最後の戦いを始めた。



 二人は、連携して残酷王に攻撃を行う。ジェンは彼の反対側から攻撃を行い、その直後にナイトが接近して残酷王が創る盾に攻撃をする。その際、ナイトは盾の破壊…「防御破壊(ディフェン・デスト)」を行っている。高度な魔法で、王族だけに許される特権である。ジェンなどの貴族も使用できなくはないが、これを使うと魔力を多く使ってしまう為、彼女は使用できない。


(あと少し‼)


防御破壊(ディフェン・デスト)‼)


「……っ‼」


 何度目だろうか…。残酷王の盾に微かに罅が入った。これは、チャンスだ‼と、その時!


『うっ‼』


 二人に風が襲い掛かり、吹き飛ばされるも体勢を整える。よく見ると、残酷王の様子がおかしい。彼らが見たのは、(おぞ)ましいものだった。

 残酷王の姿が徐々に暗いオーラを(まと)い、二人よりも一回り以上の化け物へと姿を変えた。それだけでなくジェンの瞳には、その化け物の中に父親の姿が映されていた。いかにも、トラウマを思い出させてしまう。

 無意識にそうなっているのか、ジェンの手は微かに震えだしていた。それに気付いたナイトは――


「ジェン……ここからは、俺に任せろ。」


「え?で、でも!」


「ジェン、無理はするな。お前は、俺の防御を頼みたい。防御(ディフェン)をお前の広い視野と魔法で、俺を守れ。」


 ナイトは、ジェンが「ここで引き下がるのは情けない」と言う思いが瞳から伝わって来る。だから、一つ役割を与えた。


『自分は攻撃に専念する……その代わり、守るのはお前の役目だ。』と。


「うん。お願い……後を託します。ナイアルト・エルシィーダン。」


 ジェンは、ナイトの手を優しく握る。大切な人の温もりで少しでも安心したいと言う思いは、彼女の今の気持ちであった。


「あぁ。」


 ナイトは、彼女の手を優しく握り返し、剣を手に前へ進んだ。ジェンは、宝剣(クラ・ソラウ)を地面に突き刺し、自分を囲う防御壁(ディフェン・ウォール)を作る。

 この戦いで勝たなければ、この島どころか他国、世界へ影響が及び、滅びてしまわないよう……ここで決着を着ける。

 ナイトは、甘く見るなよと言う気持ちからか鋭い目つきになる。


「それが、お前の本気と言う所か?」


「ウガぁぁぁぁぁ‼」


「言語能力を失っているか……。まぁ、良い。本当は中にいる奴を助けたいが……。お前を、中身の人間ごとこの剣で貫き、打ち砕く!」


 ナイトは構えて、攻撃をするべく奴へ間合いを詰めて一撃を加えた。化け物は、ナイトに気付いて反撃を開始する。ジェンは、化け物の攻撃からナイトを守る為に彼に防御(ディフェン)で支援する。彼女は、防御も回復も今ある魔力を全力で行う。



 その頃、シーガ、チャールズ、メイダは、フィーメ家長女であるエムリを無事にフィーメ町に保護した。


「ありがとう、チャールズ。本当に無事で。」


「姉さん、泣き過ぎだっての。」


「だって、生きているのが不思議なんだもの。」


 エムリはそう言う。彼女は、長らく監禁されていて外に出たのは久しぶりで離れ離れとなった兄妹に会った事が嬉しくて仕方がなかった。



 そして、ラフィンナ平原の大軍戦では、最終戦を迎えていた。


「フウカ!魔鏡の力を使え!」


「了解!兄さん!………生命の神・ラーフよ、天照大神よ。生命を戦う我らに力を。この戦いに日輪(にちりん)の勝利を!」


 フウカは呪文で、魔鏡から魔力を放つ。味方軍の傷は癒やされ、魔力量が増加されたことによって、指揮が上がり、敵軍に最後の仕打ちを開始した。

 また、フィーメ町で異獣討伐を完遂したソルとクラッドは、城で戦っている二人の無事を祈る。


(ナイト、ジェン。君たちが、この戦いを、収めるに相応しい。どうか、ご武運を。)


(ナイト王子、姉さん。無事であります様に!)



 敵城の王の間で、ナイトは必死に戦い、ジェンは彼を守っていた。


「あと、少し……。」


 ナイトは、王剣(イーリス)の力を開放して覚醒の姿になっていた。化け物は、彼によって追い込まれていき、傷の回復も追い付けずにいた。


「はぁっ!」


ナイトは一撃、また一撃と化け物に刃を入れて追い込む。化け物は、生きる意地を見せ始めたのか彼に向けて重い一撃を入れる。が、それをジェンが弾き、彼を守る。


「やっ!」


 ナイトが化け物に一撃を入れた直後、化け物は大きな拳で殴り掛かり、彼を遠くへと距離を置かせる。そして、ジェンに向かって突進!


「ジェン!」


 化け物は拳を振り上げ、彼女に殴り掛かった。ジェンは目を瞑り、防御に徹した。が、衝撃は来ず、彼女が目を開けると。


(……っ!)


 化け物の心臓には、ナイトの王剣(イーリス)の穂先が貫かれた。また、中身の者の心臓も貫かれていた。彼は、剣を引き、血を薙ぎ払って鞘に納めると、化け物の姿は消え、中身の者が姿を表した。


「ジェン…か。」


 地に倒れたジェンの父・ディオスは、彼女の姿を捉えてそう言う。


「お父様……。」


「すまないな。俺が……こんな事を。」


「……。」


 ジェンは涙を流し、言葉が出なかった。あまりにも悲しい再会と別れだからだ。彼女の涙がディオスの手に落ちていく。


「お父様のせいでは、ありません。……私が、もっと強かったら……。」


「違う。お前は、悪くない。ウィルもエムリもチャールズもマリアもアンヌも……悪くない。……王子よ、ジェンたちを頼みましたぞ。」


 ディオスは、ナイトにそう言う。彼は、ディオスの元でしゃがみ込み――


「はい。フィーメ公爵。……王子として、責務を果たします。」


 ナイトがそう言うと、ディオスは足元から頭にかけて塵と化して消えていった。ジェンは、悲しみに暮れ、涙を流した。ナイトは、彼女に言う。


「……すまないな。お前の父さんを救えなくて。」


「……大丈夫。もう、決めた事よ。受け入れなきゃ。……それに、お父様は貴方に感謝していた。助けてくれて、ありがとうって。」


 ジェンは涙を拭い、立ち上がりながら言ったが、次から次へと溢れる涙は止まらない。彼は、彼女を優しく抱きしめた。


「……そうか。……俺は、お前の父さんの願いを叶えたい。この国を平和にする為に。ジェン……その、お前はどう思ってるんだ?」


「ぐしゅ……。私も、同じ。行きましょう、ナイト。勝利の旗を上げましょ。」 


「あぁ。」


(…ったく。これでも、気づかないのか、ジェン。)


 ナイトはそんな思いを抱えつつも、王の間の外に出て、魔法にて天高く勝利の花火を上げた。それを見たヴィルハンの民は、武器になる物を手にして兵士に殴り掛かる。

 こうして、歴史に刻まれた「ラフィンナ平原の戦い」と「ヴィルハン国民の一揆」は幕を閉じたのである。フィーメ町へ戻ったジェンは、部屋のベッドで休養していたエムリの元へ訪れていた。


「エムリ姉様‼」


「ジェン。こんなに大きくなって。無事で良かった。」


「無事で良かったです。」


 エムリは、医者によれば一年程は安静にし、栄養を十分に取って欲しいとの事だった。また、エムリは、行方不明の兄・ウィルについてこう話した。


「南の海洋(オーシャン)公国を越えた先の大陸に連れて行かれた」


 この世界は、とても広いが、ラフィンナ大陸島の南の海を越えた先に、巨大大陸がある事をこの時の彼らは初めての情報だった。

 ツキノとフウカは、耳にした程度の情報だったが、本当であった事に驚く。しかし、今は戦争の後の復興だった。ジェンたちは、ウィルを探す事を前提に、ヴィルハン王国、エルシィーダン王国の復興を行う事を決定。ヴィルハン王国の民たちは、改革を行い、民主主義国としての名を挙げた。

 また、悲しい事だけでなく、嬉しい事もあった。ナイトがジェンを妃として迎い入れ、婚礼の儀を挙げた。民たちは、大喜びだ。彼らなら、国を良くしてくれると民の信頼の証でもあった。

 二人の間には、二人の子供に恵まれた。兄を「オリバー」、妹を「ミーア」と名付けた。オリバーは、髪の毛がジェン、瞳がナイトに似ている。ミーアは、髪の毛がナイト、瞳がジェンに似ていた。

 ナイトは、王としての即位も果たし、ジェンと共に国を復興させ、平和を築いた。


 彼らだけではない。シーガはアンネを、ツキノはリティを、ニックはフウカを、フーティはペラリを妻として迎い入れ、幸せを掴んだ。しかし、異変が一つ起きた。今まで行動を共にしていたソルが姿を消した。後日に送られた手紙には、「一人旅に出る」と書かれていた。



 その二年後……彼らの前に、新たな戦いの幕が上がろうとしていた。

物語の前半(辺りくらい)、終了です。主人公は、ナイトに変わり、新たな敵と大地へ飛び出す!

果たして、彼らはどんな運命に?!

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