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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第九章 女王・ナシィーと戦いの火ぶた 編
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外伝Ⅷ 町の再建中にて

 フィーメ町再建を計画した自警団(ヴィジェラーンティ)。その計画を実行すべく、大工などの建設業に詳しい者たちと共に仕事に励んでいた。

 ジェンは、建設に必要な木材の原料となる樹木を魔法で作り上げ、切り倒せば再生すると素晴らしい魔法を用いた。また、本物で幻影ではない為、建設目的に使うには有効な策だった。そして、昔の町の景色全体を幻影で映し出し、何がどこにあったのかを分かりやすく提示した。

 大工や兵士だけでなく、自警団(ヴィジェラーンティ)自ら、再建へ貢献した。


 

 冬の日。雪が降っている為、町に雪が積もらぬ様にチャールズとマリアは雨風雪防止の防壁(シールド)を築き、再建を遅らせないようにした。ジェンは、チャールズとマリアと共にフィーメ宅内へと足を踏み入れ、何があるかを探し回っていた。

 ジェンは、二階にある自分の部屋に足を踏み入れる。埃がかぶさり、所々物が破壊されている。


(もう、十年前なんだね…。何か、あるかな…。)


 ジェンは机の中やクローゼットなどを見つけ、引き出しや扉を開けて何かあるかを見ていた。すると、机の引き出しの中の奥にとある箱があった。何だろうと開いて見ると、まだ新品かと思われる瑠璃(ラピスラズリ)のイヤリングだった。


「これは……。」


 幼い時だったか、城でのパーティーの際に付けていたものだ。ジェンは近くにあった鏡を見つけ、早速つけてみた。瑠璃(ラピスラズリ)のイヤリングは、彼女にとても似合っていた。それだけでなかった。彼女はここの所、髪の毛を切っていないせいで、胸元辺りまで伸びていた。


(髪の毛……随分伸びちゃったなぁ。)


「姉さん。」


「あ、チャールズ。ごめんね。他はどうだった?」


「何も無いよ。時計とか家具が壊れているから、修繕魔法で治すしかない。でも、原形は何とか保っていたよ。」


「そう。ありがとう。」


 ジェンがチャールズに礼を言うと、マリアが来た。


「お姉ちゃん。これ。」


 彼女が差し出したのは、一つの封筒だ。ジェンはマリアから受け取って、その場で開く。そこには、驚くべき事が書かれていた。衝撃的な内容にジェン、チャールズ、マリアは驚いた。だが、今はそれどころではない。一刻も、再建をするのが優先だ。

 そう判断したジェンは、修繕魔法を用いての修復作業を行う事に決定し、庭の設計を幻影を元に創り直す事にした。


 ジェン、チャールズ、マリアは修繕と掃除魔法を使って、家の中にある埃や瓦礫を集め、処理をする。それでも、冬の寒い風で体が震える。


「うぅ……寒い。くしゅん‼」


(風邪?いや、今はやる事をやんなきゃ!私の責任の様な物だし…。)


 ジェンは、修繕・掃除を終えると、数人の庭師と共に庭の設計を手伝っていた。館までの続く石畳の道を造り、真ん中には噴水を作って壊れかけた水道を修繕し、道以外には芝生と様々な花や木が植えられた。彼女は、フィーメ邸の敷地内の壁や門を一人で修繕に掛かった。そして、水道をフィーメ邸に全て通じ、完成と言った所になった。



 数分後、ナイトはフィーメ邸の会議室となる部屋にてツキノとフウカと共に、軍の調達について話を終え、部屋を後にして廊下を歩いていた時だった。


「ジェン、しっかりして!」


「無理し過ぎたんだよ。ジェンちゃんが倒れて、額に手を当てたら、熱っぽかったんだ。」


 アンネとシーガは、ジェンの腕を自分の肩に回して彼女の部屋へと運んでいた。


「俺、水とタオルを持って来る!」


 ソルはそう言って、急いで走って行く。ナイトは、反対側の廊下からそれが見えた為、駆けつける。


「アンネ、シーガ!」


「ナイト。」


「ナイト君。ジェンちゃんが熱を出したんだ。」


 シーガ曰く、ジェンはフィーメ邸の仕事を終えて、町の方の手伝いをしていた時の事だった。ジェンはマフラーで防寒をしていたが、寒そうにしていたらしい。だが、それを気にせずに彼女はオーバーワークをしてしまい、熱を出してしまった。


「今、部屋に運んでいるんだ。」


「分かった。ジェンの看護は俺に任せろ。」


「ナイト、忙しいんじゃ。」


「アンネちゃん。ここは大丈夫だよ。ナイト君に任せなよ。ね?」


「な、何だよ?そのニヤニヤした顔、きもいぞ。……とにかく、部屋に行こう!」


 ジェンの部屋へ着き、彼女をベッドに寝かせてアンネとシーガは部屋を後にする。直後に、ソルが桶に入れた水とタオルを持って来た。ナイトは、ソルに礼を言い、彼女の看病を任せてと言った。ソルは了解し、部屋を後にした。

 ナイトはタオルに水を沁み込ませ、よく絞ってからジェンの額にそっと置く。同時に、彼女の耳に瑠璃(ラピスラズリ)のイヤリングが付けられていたのを見る。


(これ……パーティーの時につけていた…。残ってたんだな。よく似合っているな……って、何思ってんだ、俺⁈)


 そう思っていると、ジェンはゆっくりと目を開ける。


「ナイト…。…ここは?」


「お前の部屋だ。お前、熱を出しているのを隠して無茶しただろ?」


「……。」


 ナイトは無理やりだが、ジェンの腕を引っ張って彼女を腕の中で抱きしめる。ジェンは、突然の彼の行動に驚いてしまい、言葉が出なかった。彼は、ジェンを抱きしめてこう言う。


「ったく、お前は無茶し過ぎなんだよ。心配するじゃねぇか……。前にも言っただろ。お前のせいじゃねぇって、全てを背負う事は無いって、我慢のし過ぎだって……。同じ事を何度も言わせるな。」


「……ありがとう。」


 ジェンはそう言って、ナイトを優しく抱きしめ、静かに涙を流した。少し経って、彼女はナイトにこう言う。


「少し、手を握っても良い?」


「あ、あぁ。今日は、あまり仕事が無いし…。それに、お前を看病するのが俺の…役目だかんな。」


「ありがとう。」


 ジェンがそう言うと、ナイトは頬を少し赤くしながらも、ジェンを寝かせて手を優しく握った。彼女は、とても安心しきって、ナイトの手を握る。それは、ジェンにとある感情が芽生えた事を示していたが、彼女自身は「それ」が何かを知らなかった。


 そして、季節は春となり、三月にはアンネの誕生日を祝い、四月となり新入団員が入って来た。

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