外伝Ⅳ パーティーでの出来事
年末大会後のパーティー。勝者の選手たちと王族との関係が深い貴族たちが集まる場所…。ジェンはナイトの案内により、四大公家の三家の者たちと交流していた。
「初めまして、ジェンレヴィと申します。四大公家の三家の方々に会えるとは、光栄の極みです。」
ジェンがそう言うと、赤髪の少女が言う。
「敬語は良いって、それに、一回会った事があるよ。覚えていない?」
「……すみません。覚えていません。」
ジェンは申し訳なさそうに言うが、黄緑の髪の少女が彼女を励ます。
「謝らなくて良いよ。こっちだって、無理に思い出さそうとしちゃったし。まぁ、もう一度自己紹介するね。私は、ペラリッド・ブライリ。ペラリと呼んで。」
「私は、リアシスフ・ビルフ……リアフと呼んで構わないよ。兄は、ニッカーライでニックと呼ばれているよ。」
先程の赤髪の少女が言うと、ジェンは恐る恐るこう口にする。
「もしかして、自警団の兵士長で、変態気質であるニックさんの妹さんと言う事ですか?」
彼女がそう言うと、リアフの表情が真剣になる。ジェンは、不味い事を言ってしまったのかと思ったが―
「兄がまた、失礼な事を‼申し訳ない…。あとで、兄上を縛きに行きます。」
“リアフ先輩は、ニックさんの事で大変なんですね…。”
と思って、次にジェンは青髪の少年を見る。少年と言う顔立ちをしているが、少し童顔で左目には立派な眼帯を付けている。
「俺は、フーティドゥ・ビューター。フーティで良い。お前が無事で…何よりだ。」
彼はクールな性格だが、奥に優しさを秘めている様だ。
「フーティったら、相変わらず不器用なんだら。」
「うるさい。」
「まぁまぁ。フーティだって、ジェンを心配していたのは本当の事だし。良いじゃないか。」
ナイトはそう言う。すると―
「あれぇ~、大会で闘技場にてお姫様抱っこをされていたのは、どこの誰かさんだっけ?」
シーガはわざとらしくナイトにそう言うと、彼はカチンときたのか…。
「お、おい!ここで、その話をするなぁ‼王子として、は、恥ずかしいだろ‼お前だって、アンネさんにカッコ悪い所を見せて嫌だった、とか言っていたじゃないか‼」
「そ、それはね‼たまたま、心の声が漏れただけだ‼愚痴じゃない!」
ナイトとシーガは、またもや言い争いを始めた。アンネ、ソル、リティは呆れたと言う表情をして、ジェン、フーティは「仲が良いな」と心で思った。が、リアフは目を凝視するかのように言い合う彼らを見る。
「あの二人…良いかもね‼こっちが…いや、あっちが……あぁ‼どっちも良い‼」
「あぁ。ペラリのスイッチが入ったか。ジェン、俺はペラリと席を外す。」
「はい。」
フーティはペラリを連れてパーティーを外した。ジェンは二人の言い争いを見守る。
「ナイトとシーガは、とても仲が良いですね。息がぴったりです。」
言い争う二人にジェンはそう言うと―
『ぴったりじゃねぇ‼』
と、ナイトとシーガは言う。
その頃、リアフは「スイッチ」が入ったニックを征する為に追っかけまわし、兄に恐怖を与えていたのだった。
言い争いが終わり、ジェンのスピーチが始まった。これからのスピーチは、本編で明かされていないものだ。
「―――私は、民の皆さんには今までと同じ暮らしをして欲しいと思います。確かに、今は、徐々に強くなりつつある異獣に対する不安は誰にだっておありでしょう。
ですが、毎年の夏に開催される一大イベントである『エルシィーダン祭』が行われるのに、不安ばかり目を向けていては、楽しみの元の子もなくなってしまいます。
私たちは、常に未来へと突き進む小さいながらも大きな使命を背負っているのです。諦めないで下さい‼私だって、過去に何度も魔法の練習で失敗した事もありました。
ですが、失敗して諦めていれば、今の私はないでしょう。だから、皆さんには幸せを掴んで欲しいのです。
私たち、魔導・杖騎士学校と騎士学校、天馬・飛竜騎士学校の生徒と自警団をはじめとする兵団の方々と共に、この異変を突き止めたいと思っております‼」
ジェンはそう言い礼をする。聞いていた人々は盛大な拍手を彼女に送る。
スピーチを終えた会場は盛り上がる。アンネとシーガは、食事を楽しんでいた。
「美味しい‼やっぱり、エビピラフは私の好物!」
「俺も味見‼………美味しい‼」
「ちょっと、盗み食いした‼」
「だって、アンネが美味しそうにしていたからつい食べたくなっちゃった。」
シーガはそう言いウィンクをする。アンネは「まったく」と呆れた表情になる。
「悪かったって。笑っている君でいてよ。…えい!」
「きゃぁ!」
アンネは、弱点の脇腹を突かれて吃驚する。シーガは、彼女の反応を見て笑う。
「も、もう‼こっちも‼」
アンネは、シーガへの仕返しにこちょこちょをする。
「あはっ!くすぐったいって!」
「じゃぁ、からかうのをやめなさいよ。」
「えぇ~。仕方ないなぁ。ごめんね。」
「本当に反省してる?」
「しているよ。」
パーティーは、盛大に盛り上がった。特にジェンとナイトのダンスは、見物となり人々を魅了していた。アンネは、ジェンが楽しそうで何よりだった。ジェンはとても楽しいと言う表情をしている。
「ジェンちゃん、楽しそうだね。」
「うん。」
「じゃぁ。……すみません。写し絵を撮ってもらって良いですか?」
シーガは写真家にそう言って、カメラを向けさせる。アンネは何だろうと思ったその時―
「シ、シーガ君⁈」
「暴れないでね。記念撮影だから。」
「はい。二人ともにっこり笑って‼」
写真家の人がそう言い、シャッタを切る。そして、出て来たのは……姫様抱っこに困惑するアンネと笑顔のシーガが映されているものだった。
「ありがとうございまーす!」
「良い写真だな。きちんと取っておくんだぞ。」
「はーい!」
アンネは、恥ずかしすぎてその写し絵を見れなかったが、シーガはその後…写真立てに納め自分の部屋の机に飾った。彼は、自警団の同僚にその写し絵を自慢していた……かも。




