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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第五章 結界の儀 編
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第三十三夜 兵団大会② ―ジェンとシーガの手合わせ―

 ジェン、ナイト、アンネ、シーガ、ソル、リティとナシィーは闘技場にある会議室で昼食を摂り終え、話し合っていた。モーナが所持していた武器についてである。


「モーナ団長が何で、あんな事を?」


「実は、モーナ団長の武器に原因があったのです。これが、その武器です。」


 ジェンは、試合直後にモーナが持っていた槍と柘榴石(ガーネット)の欠片を拾い上げた。柘榴石(ガーネット)の欠片は、魔法で一粒残らずに小瓶に納められた。彼女は、それらをテーブルに置いた。


「モーナ団長は、これを呪槍(キャルス・スピア)と言っていました。恐らく、闇の力がこの武器に納められているのでしょう。」


「しかも、柘榴石(ガーネット)の部分が力の根源と言う事は、何かあるのかもしれないね。ジェンは、どう思う?」


「……ナイトの言う通りかもしれません。」


 ジェンがそう言うと、アンネは何かを思い出して言う。


「そう言えば、一年前、大鎌(ジャダク)による事件と同じ様な気がするけど…。」


「確かに言われてみれば、そうだね。俺のこの武器による死者の傷口に現れた宝石には、吸血鬼(ヴァンパイア)一族の紋章が刻まれていたよ。」


 その話を聞いて、リティは言う。


「って事は。その宝石を調べれば、何か分かるって事ね!」


「はい。リティの言う通りです。……それで、ナシィー様にお願いがあるのです。」


「何かしら、ジェン。」


 ナシィーは、ジェンのお願いを尋ねる。


「この宝石の復元を行いたいので、完成するまでの間、城に滞在しても良いですか?」


「えぇ。構いませんよ。城は、ジェンのもう一つの家でもあるのよ。」


「ありがとうごじゃいます‼」


 “ジェン、今、噛んだよね?”


 とアンネは思った。


 ナイトは、ジェンが「ざ」を「じゃ」と噛んでしまった事に内心、苦笑いを浮かべた。しかし、まだ大会は続いている為、ジェンは魔法鞄(マジックバック)に小瓶を入れた。



 観客が再び闘技場へ集まる。決勝戦を開始する鐘が鳴り、審判はこう言う。


「それでは、いよいよ決勝戦へと参ります。勝負するのは、ジェンレヴィ&シーガ‼」


 歓声が上がる中、青のゲートからジェンが、赤のゲートからシーガが出て来た。彼が出て来ると同時に、彼のファンが一斉に「シーガ様~‼」と叫ぶ。


「さぁ、勝つのはどちらでしょうか⁈では……始め‼」


 試合開始と同時にジェンは鞘から宝剣(クラ・ソラウ)を抜き、シーガは大鎌(ジャダク)を紋章から具現化させ、構える。

 そして、ジェンは(ルークス)を、シーガは(テネリス)を纏い、一気に間合いを詰めて刃をぶつける。二人を身に纏う光と闇が同時にぶつかり、火花を散らせる。


 “さぁて、シーガはどのくらいの実力を見せるかが、楽しみですね”


 とジェン、


 “負ける訳には、行かないよ。楽しい勝負と行こうじゃないか‼”


 と、シーガはジェンの刃を弾き、攻撃を繰り出す。ジェンは、刃を弾かれた事に驚いたが、直ぐさま防御態勢に入り、シーガの攻撃を阻止する。

 が、彼女はまた、新たな魔法を使っていた。今まで防御(ディヴァイン)は球体であった。しかし、今、ジェンが使っているのは『(シールド)』だ。

 ジェン曰く、(シールド)は一方的な方向からの距離に友好的な防御魔法だ。さらに、あとひと手間を掛ければ、『反射盾(リフレックス・シールド)』や『回復盾(リカバリー・シールド)』として活用できるようになっている。だが、今はまだ試作段階でこの試合で成功すれば、これからも使用可能となる。

 シーガは、闇槍(テネリス・スピア)を複数放つ。ジェンは、(シールド)に反射魔法を合わせ、反射盾(リフレックス・シールド)にして、闇槍(テネリス・スピア)を反射させた。


「へぇ~、新しい防御魔法か。なら、こっちは……‼」


 シーガは、ジャダクの宝石を光らせ、背後に魔法陣を出現させる。そして―


「いけ、闇矢(テネリス・アロー)‼」


 ジェンに向けて複数の矢を放った。ジェンは、走り抜け矢の攻撃から避ける。だが、矢は早く彼女に襲い掛かる。ジェンは、風刃(ベントゥス・ソード)を複数放ち、闇矢(テネリス・アロー)を破壊するが、まだ数本残っている為、反射盾(リフレックス・シールド)で跳ね返す。が―


「甘いよ。それだけじゃ、攻撃は止まないよ。」


 跳ね返したはずの矢が再びジェンに降り注ぎ、左肩と右腿に刺さり、右頬には掠り傷ができた。


「くっ!さすがですね。神器も十分に使いこなしていますね。じゃぁ、今度は‼」


 ジェンは頼もしく言うと、宝剣(クラ・ソラウ)金剛(ダイヤモンド)月長石(ムーンストーン)に光らせ、魔力を七割に留めた……背中に翼を生やした姿に変わる。


「いいよ。俺も……神器の精霊よ、汝に願う。我に神器の力を宿し給え。」


 シーガはそう言い、紫の光に包まれる。光が治まり、姿を見せる。彼のファンは、「きゃ~♡」などの声を挙げている。彼は、髪が銀にそまり、瞳は(ルビー)の様な輝きを持ていたが、七割の為に服までは変わっていない。。


 “七割とはいえ、美しいです。シーガにとてもお似合いですね”


 とジェンは確信した。


「さぁ、やろうじゃねぇか‼」


「喜んで‼」


 二人は、刃にそれぞれの神器の力を宿して再びぶつかり合う。しかし、リーチはシーガが有利である。その事を事前に予測していたジェンは宝剣(クラ・ソラウ)(スピア)へと変化させた。

 実は、宝剣(クラ・ソラウ)しか持たない「変化(ムダレ)」である。以前、ナイトに教わった事であり、ジェン自身も初めて知った。


「ジェンの剣が変化した⁈」


 アンネは驚く。ナイトは、彼女に宝剣(クラ・ソラウ)の力について説明した。


「実は、ジェンが持っている宝剣(クラ・ソラウ)の力なんだ。変化(ムダレ)と言って、剣や槍、斧、(ロッド)短剣(ダガー)と様々な武器に変身できるんだ。

 ただ、僕の剣と異なるのは、ラーフ様の邪竜を鎮める力を宿せないという所かな。」


王剣(イーリス)は、四つの神器とジェンさんの持っている神器の力が宿っていて、ラーフ様の力も宿せる最強の武器みたいよ!」


 リティは、ナイトが持つ剣について簡単に説明する。


「へぇ~。ナイトは、素晴らしい神器を持っているのね。」


「いいえ。アンネは、薙刀術に優れているとジェンが褒めていたよ。ぜひ、一度は手合わせしたい。」


「良いんですか?……お、お願いします‼」


 再び試合に視線を向けると…。凄い事に両者共に同じ数の傷を負っている。避けては攻撃の繰り返し。


「てやぁっ‼」


 シーガは「今だ!」と思い、刃を振り降ろしたが……。


「……っ!」


 そこには、ジェンではなく真っ二つに割れた丸太だった。そして―


「痛っ‼」


 上から打撃を受けたシーガは地面へ倒れる。直ぐに体勢を直そうとしたが、顔の近くに剣の刃があり、ジェンの姿もあった。まだ、戦える状況であったが、両者ともに強力な魔法の七割維持は限界を迎え、疲労して元の姿に戻った。


「お、お手上げだよ。本気とは言ったけど、怪我させちゃってごめんね。」


 シーガはそう言ったが、ジェンは刃を地面に突き刺し支えにしながら言う。


「いいえ。今回の優勝は、シーガです。」


 よく見ると、ジェンの左腕の柘榴石(ガーネット)の宝石の範囲が広がっていた。「まだ、完全な治療を受けずに挑んだ自分が負けです」と、彼女は言い続けた。


「さぁ、シーガ。優勝の証を。……皆さん、彼のたゆまぬ努力を称えて大きな拍手をお願いします‼」


 観客は、シーガを優勝者として祝福した。彼のファンはとても喜んでいて、涙を流す人もいた。

 彼は優勝者の証、黄金の月桂樹の冠を審判により被せられた。その冠の宝石は、シーガの美しい目を表す紅玉(ルビー)であった。



 その後、ジェンは左腕の治療を受けていた。自分の傷口に張り付いている柘榴石(ガーネット)の宝石の一部を剥ぎ取り、柘榴石(ガーネット)の欠片とは別の小瓶に入れた。彼女の元にナシィーが訪れ、左腕の傷を元の状態に戻した。


「ジェン、大丈夫?」


「大丈夫ですよ。御覧の通り、元通りです。」


「良かったぜ。」


「わざわざ、優勝を譲ってくれてありがとう。……何か、申し訳ないかな。」


 シーガはそう言うが、ジェンは首を振ってこう答えた。


「いいえ。私の力では、生徒である他の皆さんの勝負が楽しめなくなります。ですから、努力を重ねて来た人が、その優勝者の証を手にするのが一番なんですよ。」


 ジェンがそう言うと、シーガは「ありがとう」と言い一礼をした。彼の心は、彼女にとても感謝する気持ちが溢れて来た。

 しかし、彼女はのんびりしている暇はないと思い、すぐさま城にある自分の部屋へと向かい、赤黒(ガーネット)の詳細を調べ始めた。



「ジェン、何か、凄く急いでいる様に見えるけど…。」


 アンネは彼女の様子や行動に心配をする。ソルはこう言う。


「大丈夫だって。……確かに、お前の言う通りだけどよ。心配し過ぎ。ジェンが言っただろ、シーガの優勝祝いをしてあげてくれって。」


「そ、そうね。じゃぁ、何をプレゼントしようかな?」


「俺は、食事をおごる。と言っても、何か良いんだ?アンネ、シーガの好物とかヒントをくれないか?」


「シーガ君は、トマトが好物だけど……他のものも食べてみたいって言っていたけど……あ‼ソル、耳貸して。」


 アンネは、ソルの耳元で何かを言う。ソルは「なるほど!」と思い、アンネの案を参考に、早速、買い出しに行った。

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