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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第三章 年末大会 編
30/87

第二十六夜 試合、開始‼ ―王子の異変―

 審判の合図によって、試合が始まった。相手は三人同時に走り、突っ走って来る。


「アンネ…先手をお願いします!」


「OK‼」


 アンネは一人で前に出る。相手は馬鹿にしたような感じでいる。


「まずは…‼」


 相手の目の前に二mの水の壁が立ちはだかる。


「ひるむな!進め‼」


 相手の三人は、水壁(アクア・ウォール)を抜けるが、三人の姿が無い。一体どこへ?


「ソル、今ですよ!」


「任せろ‼…雷矢(サンダー・アロー)‼」


 ジェンたちは、飛翔(フーガ)ですぐに相手の背後へ回ったのだ。アンネは、水壁(アクア・ウォール)を解除し、ソルの雷矢(サンダー・アロー)が通れるようにする。


『うぎゃぁ‼』


 相手三人は、ソルの魔法により痺れを伴う。しかし、水をくぐり抜けた事により伝導性が増したので、痺れが強くなる。が、三人の少年は治癒(ヒール)で痺れを取り、そのうちの一人が剣を振るって光刃(ルークス・ソード)をジェンに向けて放つ。

 ジェンも即座に反応し、素手で闇光線(テネリス・レイ)を放って光刃(ルークス・ソード)とぶつけ、爆発を起こす。この時、相手の少年たちと観客…審判、ナイト、ナシィー、クラッドとアイカ、アレックスは驚いた。だが、彼女のクラスメイト全員は歓声を挙げる。


 ジェンが「素手で魔法を使った」事。今まで無かった魔法を生み出す方法が今、ここで披露された。クラスメイトは何度も見てきている為、慣れているのだ。


「何をぼーっとしているのですか?正々堂々と行きましょうよ‼」


 ジェンは相手の三人にそう言うと、ハッと我に戻ったのか「おう‼」と返事をした。そして、一対一(ワンオンワン)の武術・魔法勝負が展開される。


 ソルは槍、相手は剣で戦う。武器上、槍は剣に強いと言われているが、相手はソルの攻撃を上手くかわす。


 避けるなんて、見事だな。でも、本気までは行っていないから…本気で行こうか。


 ソルは、目を鋭くして刃に魔法を貯めて相手の隙を狙う。そうしていくと、相手に二度、掠り傷を負わせる事ができた。相手も黙ってはいない。ソルの左頬に一本の掠り傷が出来ている。先程、先手を打たれた時に負ったらしい。


 アンネは、鋭い薙刀術で力を調節して突きや薙ぎ払う動作を駆使する。相手はアンネのスピード、リーチの長さによって苦戦しているが、隙をついてアンネに掠り傷を負わせていた。


 やるわね。リーチが長い分、手元に受け流す武器が無い…けど、さっき、ジェンが素手で魔法を繰り出したのを…私とソルにもできるのなら‼


 アンネは力を振り絞って、素手で魔法を繰り出した。相手を遠ざける風魔法弾(ベントゥス・ブーレット)を放ち、相手を驚かせる。

 ジェンは、短剣(ダガー)(さや)に納めたまま、空手の構えを取っている。それも、姿勢一つ崩しておらず、傷一つも負っていない。相手は、体の所々にジェンの拳や蹴りの痕がある。


「お前、どうやって素手で魔法を出しているんだ‼」


「それは…自分で考えてみてはどうでしょうか?自分で考え、相手の弱点を見つける…。それも戦いの醍醐味(だいごみ)でもありますよ?私は、貴方たちが身に付けている防具装備の弱点を見抜きましたし…。」


「おのれぇ‼」


 ジェン曰く、こうだ。

 其の一:まず、アンネが生み出した水壁(アクア・ウォール)とソルの雷槍(サンダー・スピア)。相手の胴体に激しく反応していたことから、腹や背中に電撃や水魔法を与えられるのが弱点。

 其の二:先程、ジェンが相手の持っている剣の持ち手の手首に炎足(フランマ・フート)をかました時に「熱い!」と反応があった。そのため、両方の手首の装備は炎魔法が弱点。

 其の三:さらに、足の向う(むこうずね)闇歯止(テネリス・ブレーキ)を放った時には相手は動けなかった事で、弱点と見抜いた。

 結論を言ってしまうと、魔法防具を造る際に対抗できる魔力の傾きが出てしまった様だ。

 ジェンは、相手が本気になって挑んできたのに気づき、いよいよ短剣(ダガー)を抜刀した。刀身は普段よりも神々しく輝いていた。相手は鋭い剣術でかましてくるが、彼女は全て避けたり剣で受け流しをしたりする。


「何故だ‼俺の方が…剣術は上だ‼」


 相手の少年はジェンに刃を振るうが、彼女に短剣(ダガー)で受け止められてしまう。彼女は、相手の剣の刃に沿って少年に接近しこう言う。


「確かに、才能で決まる事もありますが……一番は、努力です。……力任せに振るうんじゃありません‼」


 ジェンはそう言いながら、腹に水魔法を(まと)った足…水足(アクア・フート)を強烈な力でかまし、相手を向こうの壁まで飛ばした。相手は、衝撃などにより気絶した。


 やり過ぎましたね…。でも、実力は認めます。いい勝負と経験でした。


 そして、決着はついた。ジェンたちの勝利である!同時に歓声が上がる。七年程前から魔導(マジック)杖騎士(ロッドナイト)学校は、大会で大活躍な場面が無かったせいか…大盛り上がりである。

 そして、二学年、三学年と試合が行われた。二学年は惜しくも負けてしまったが、三学年は勝利した。しかし、騎士(ナイツ)学校二学年の相手を誰がすべきなのか…ジェン、アンネ、ソルと三年の先輩たちで話し合っていた。


「どうしますか?先輩は。」


 ジェンは、三年の先輩のチームリーダーに尋ねる。


「そうだな…。お前たちは優秀だが、俺たちの希望でもある。ここは、俺たちに任せてくれ‼」


「せ、先輩⁈」


 ソルは驚く。いや、ジェンとアンネもそうだ。二回連続で出場は、体力の消耗を見てる限り過酷に程近い。もし、動けなくなってしまった場合、最悪になりかねない。

 この大会は、三つのチームが全滅するまで戦う形式で、一つのチームが敗れると控えているチームが出場し試合を行う。


「大丈夫だ。これは、先輩の意地だ。強いから勝つが間違っている事を教えるのさ。」


 こうして、ジェン、アンネ、ソルは決勝まで控える事となり、三年が次に出場し、試合が始まった。やはり、体力に差があり一時押される状態へとなった。ジェン、アンネ、ソルや魔導(マジック)杖騎士(ロッドナイト)学校の生徒ら、観客も応援する。

 ジェンは、二年同士での試合を見ていた際に気付いた点や不可解な点を、先輩たちに伝え、戦力へとつながる様にしておいた。が、今は心配でいっぱいだ。

 心配する中、三年のリーダーが勝利へと導く先手を打った。二年の三人は、相手が背中を必死に守っていたのだ。ジェンはそれを見抜いた。何故なら、魔法防具の力を増加させる宝石が背中に見えているからである。それを三年の先輩が剣で破壊したのだ‼ほかの二人も相手の背中の宝石を破壊した。

 これを見た相手、騎士(ナイツ)学校の二年は焦りが出始めたのか、力任せに迫って来た。三年の先輩たちは意地を見せ、相手を怯ませて勝利を納めた。


『やったぁ‼』


 三人は、喜びに包まれた。ジェンたちの先輩も涙を流していた。三年の先輩たちにとって、これが最後の年末大会だ。兵団に入団し、この王国の未来を築く者へと成長する。思い出の一品が一つ増えた所だ。


「大丈夫か?」


 三年のリーダーは、相手チームのリーダーに手を差し伸べる。相手の少年は、三年の先輩の手を取り立ちあがる。


「お見事です。まだまだ、ですね。」


「いや、防具は立派なものだった。これからは、また驚かせるものを作ってくれ!」


「は、はい‼」


 相手チームのリーダーの少年は、意気込んで返事をした。そして、昼食の時間となりそれぞれ食事を始める。クラッドとアイカの母・フィノが選手の為に昼をご馳走してくれた。しかも、全て丹精込めた手作り料理!皆それぞれ、美味しくいただく。


「フィノさん、わざわざありがとうございます。」


「いいのよ。皆、頑張っているから私も頑張ってみたの。」


 フィノの手料理を完食して、アンネ、ソル、生徒らはお礼を言った。そして、いよいよ決戦。王子・ナイトとのチャレンジ戦の争いが繰り広げられる。


 “ここで負けたら、先輩たちの努力が水の泡だ!”


 三人は、同時に思った。しばらく休憩をした彼らは、武器の状態や準備体操…先陣作戦を確認する。

 闘技場の観客席では、徐々に昼食を終えた人々が再び集まりつつある。王族の席では、ナイトが準備のためいない。リティは、近くにいたシーガに質問する。


「ねぇ、シーガさん。お兄ちゃんに、何か様子がおかしい事はなかった?」


「そうだね…。あ、確か、王剣(イーリス)を持っていくのかと思ったら、断っていたな。」


「お母さん。」


「えぇ、やはり最終戦は厳しいかもしれない。シーガ、貴方に頼みがあります。」


 ナシィーは、緊張を高めるべきだと心の奥底で強く思った。

 ジェンたちは青の入り口前でスタンバイ。深呼吸をして、審判の入場合図を待つ。そして―


「選手、入場‼」


 ジェンたちが入場する。彼女は周囲を見渡したが、違和感があった。審判席に審判がいない事、自警団(ヴィジェラーンティ)団員が観客席のあちこちに用心している事…。さらに…。


「今日は、魔導(マジック)杖騎士(ロッドナイト)学校の実績の素晴らしさに免じて、ルール其の二の治癒(ヒール)魔法を無制限使用を許可する。」


 “え⁈”


「どういう事だ?」


「やっぱり、それ程激しい戦いなんじゃないの?ジェン、どう思う?」


「分かりませんが、アンネの言う通り…激しい試合が繰り広げられるでしょう。」


 赤の入り口…彼らの正面には、決戦相手のナイトと精鋭の騎士(ナイツ)学校の生徒だ。精鋭の生徒はナイトの前に立っていて、いかにも防御体制である。だが、アンネはふとこう呟く。


「ねぇ、何か嫌なオーラを感じるんだけど…。」


 その時‼ジェンは何かを感じたのか…素手で空気を操り、対戦相手の生徒二人を自分の方へ引き寄せる。同時にナイトが刃を振るっていた。怪我は負っていないものの、ナイトの行動に誰もが疑問を抱いた。

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