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Awakening Of Magic  作者: Hanna
第三章 年末大会 編
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第二十一夜 年末大会に向けて!

 四人は学校寮の一〇三号室に戻り、話を始める。ソルは紅葉の景色をスケッチブックに描いていた。彼のこれまでの作品は画家並みであり、傑作(けっさく)と言っても良いほどである。


「まず、作戦は誰かが先攻していく。それだけでいきます。」


「えぇ⁈ちょっと、ジェンちゃん、単純すぎない?」


 シーガはそう言う。そこで、ジェンは説明する。


「一人だけで先攻係をするのではなく、それぞれ別々の人が行うのです。そして、相手を驚かせる方法を仕組むのです。」


「目暗ましに、わざと地面に魔法を放つとか?」


「アンネの言う事そのままです。ただし、いくつかのパターンが必要ですので考えておきましょう。ソルには後で詳しく説明しましょう。」


 ジェンは作戦を詳細に話す。追加で、当日の予定なども話し合った。シーガに寄れば、大会当日は自警団(ヴィジェラーンティ)も来て警備にあたるそうだ。怪我も出るこの大会は治癒(ヒール)の魔法を使う事があり、多くの人員が必要だからである。

 話し合っているうちに夕食時となり、四人は食堂へ向かった。ジェンはシーガへの食事をおごり、四人で楽しく食べていた。


「美味しい!栗ご飯、うめぇ‼」


「気になった松茸(まつたけ)ご飯は美味しい。高級食材だって言うのは驚いたけど。」


 ソルとシーガは美味しく食べていた。ジェンとアンネはゆっくり食べていた。


「これが、秋刀魚(さんま)と言う魚ですか。脂身も程よく、塩加減も最適です。」


「今度食べてみるよ!この薩摩芋(さつまいも)ご飯、甘くておいしいよ‼」


「では、今度その薩摩芋(さつまいも)ご飯を食べてみますね。」


 そう話していると―


「ねぇ、アンネちゃん。昼間、そっぽを向いていたけど顔が赤いのバレバレだったよ?」


「う、うるさい‼照れてません‼」


「アッハハ、また顔を赤くしてる!可愛いな。」


 アンネとシーガのやり取りにジェンは脳内に「?」が浮かぶ。


 二人のやり取り…少し分かりにくいのですが…見守った方が良いですよね?


 とジェンはそう考え、二人を見守る事にした。ソルは勢いよく食べていたが、ジェンに注意を受けると「はい」と言い落ち着きを取り戻した。



 それからジェンとアンネはソルとシーガと別れ、一〇三号室で風呂を済ませゆっくりしていた。


「ジェン、何か考えているの?」


 アンネは机に向かっているジェンに声を掛ける。


「えっと、大会に向けての相手の行動を考えているんです。それの対応策とかを。」


「ある意味、凄い事をしているわね。」


「そうでしょうか?アンネも凄い所はありますよ。悪魔(デヴィル)との接戦の時の翼を羽ばたかせて舞って戦う姿は、とても素晴らしいと思いました。」


ジェンは、アンネの見事な空中戦を目の当たりにして、改めて凄いものだと感じた。


「あぁ、でも、何でだろうね?何か不思議な力があるのかな……。そう言えば、お母さんも私と同じ力を持っているせいかな?」


「ヘンリさんの生まれ出は、フィーメ家でしたからね。ですが、私とどんな関係があったのでしょうか?もし、関係があるのだとしたら、私もアンネと同じ様な現象が起きるはず……。まぁ、そこはあまり気にしないでいます。めそめそしても、何も始まりませんので。」


 ジェンは気持ちを切り替えてそう言う。アンネも、彼女の言う通りだと頷く。


「そうね。ジェンがいつか家族の事、思い出せたらいいね。」


「はい。……もう、こんな時間ですか。まだやる事があるので、アンネは先に寝ていても構いませんよ。」


「え?ジェン、大丈夫なの?」


「はい。私は後でちゃんと寝ますので。」


 アンネは「分かった」と了承し、寝床へ入った。秋の季節は寒暖差が激しい為、部屋の暖房や毛布が用意されている。ジェンは大会に向けての作戦やシーガからの自警団(ヴィジェラーンティ)の情報をまとめ考えていた。


 大会での選手表は新聞に掲載されている通りですね。


 ジェンたちは一学年代表で、初戦の試合に出陣する。それから、学年ごとに試合を重ねて行き勝ち取ったチームとの勝負が始まる。それとともに、年上の騎士(ナイツ)学校の生徒と試合を行う意味でもあった。


 先輩たちは経験もありますし、先読みされるのも無理はないでしょう。なるべく、初戦で大技は控えた方が良いでしょうね。


 とジェンは考えてメモの紙に様々な作戦を、さらに、別のメモには新聞や自警団(ヴィジェラーンティ)などの情報を書き込む。



 翌日の朝、アンネは日差しによって目を覚ます。ジェンを探していると、机で寝込んでいる姿があった。アンネは、普段着に着替えてからジェンを起こす。


「ジェン、朝だよ!」


「……うぅ…、アンネ。ごめんなさい…途中で。」


「良いのよ。……随分、書いたね。お疲れ様。」


「いや、思いついた事をさらっと書いているうちに寝落ちしたみたいです。」


 ジェンは顔を洗い、普段着に着替えてアンネと共に部屋を出た。ソルと合流して、食堂で朝食を食べる。


「ジェン、今日から練習するのか?」


「はい。ですが、まず大会が開かれる場所についての把握をします。円形の会場だから、訓練所より断然広く、場所に猶予があります。観客席には魔法を打ち消す防壁(バリア)がある為、魔法を外しても問題はありません。しかし―」


「どうかしたの?」


「しかし…何だ?」


 アンネとソルがそう言うとジェンは真剣な眼差しで言った。


「シーガの詳細な話ですと、リティ王女が言うには最近、ナイト王子の姿が見えないそうです。部屋は鍵がかかっており、部屋の中もカーテンで閉まっていて見えないそうです。それも、突然だったようです。」


「ナイト王子が⁈」


「嫌な予感しかしないな。だが、ナイト王子は民からの信頼も厚いから、そんな事は無いと思うが…。」


「ソルがそう思うなら、用心した方がいいかもしれません。」


 ジェンの考えにソルは「何でだ?」と聞く。


「それは、ソルがこれまでの勘が当たっているからですよ。先読みが得意の様ですし…。」


「そ、そうか?まぁ、サンキューな。」


 ソルは礼を言う。ジェンは大会の作戦が書かれたメモをアンネとソルに見せ、説明を行う。


「―と言う事です。」


「良いじゃないか!その作戦。」


「私も賛成よ。あんなに睡眠時間を削ってまで考えた物を否定する訳、無いよ!」


「二人とも……ありがとうございます。」


 食事を終えて、しばらく休憩をした後…三人は訓練所に身を移した。


「これから見せるのは幻影ですが、大会が行われる闘技場の様子を映します。」


 ジェンはそう言い、右腕をさっと払うと周りは闘技場そのものに変化する。アンネとソルは「ここで行われるの⁈」と心の中で驚く。


「広さは、直径二〇〇mなので大幅に使えます。そして、高さは五十mと高いので空中戦での戦いも可能です。」


「マジか。すげぇ‼」


三刃薙刀(さんばなぎなた)も大きく振れるわね。凄く良い所じゃない!」


「これなら、上級魔法を大いに発動が可能です。それに、詳細によれば縄などの道具も可能だそうです。」


 ジェンの言葉にアンネは言う。


「じゃぁ、少し小細工みたいな事もできるって事ね!」


「まぁ、相手も知っている情報だったら厄介だけどな…。」


「それが良いんですよ。」


 三人は連携攻撃の練習に取り組む。いつも共に行動しているが、最初はどことなく緊張があった。けど、徐々に慣れて来た様で今までの戦闘よりも連携性も高まった。そして、ジェンは新たな魔法を生み出そうと考え、魔導書に新たなページを加え、そこに魔法陣を描き始めた。その事は、アンネとソルにはまだ秘密にしている。



 ある日の昼休み、年末大会に出場する選手が会議室に集まっていた。内容は大会へ向けての結束である。


「俺たちの学校は、七年前から負け続けている。騎士(ナイツ)学校の者は、圧倒的な力を見せつけている。」


 三年の男子生徒が言う。


「では、先輩。今回も危うい状況と言う事ですか?」


 二年の女子生徒が言う。先程の男子生徒は「そう言う事だ」と話す。


「それが、この間の事件と関係があるのなら別の話にはなってしまいますが…。」


 ジェンがそう呟くと、二・三年の生徒らは聞きたがっている様子を見せる。ジェンは丁寧に説明する。


「この間の新聞で人斬りの真犯人は、魔導騎士(マジックナイト)のヴィルです。彼は、私たちに謎の言葉を残しています。敵はまだいると…。万が一ですが、大会に現れた場合は私が何とかしなければいけません。」


 ジェンの言葉に「何故?」と二・三年の生徒たちは言う。彼女は続ける。


「実は、色々と事情があるのですが……リティ王女とナシィー様からの私への使命だと仰せつかっています。」


 王女と女王の命を受けた事に二・三年の生徒たちは驚く。ジェンは話を続けた。


「もし、決戦で何かあった場合は任せてください。でも、それだけではありません。皆さんで優勝を目指す!それがなによりも、私の目標です。決戦へ行く為には、様々な魔法を行使(こうし)する事です。皆さんで頑張りましょう‼」


『おぉ~‼』


 それから大会に向けて昼休みの合間に、学年代表たちは訓練所で練習を重ねた。学校内に三人の噂はまだ残っている為、先輩たちはジェン、アンネ、ソルにアドバイスを求めた。

 彼らは丁寧に先輩たちへアドバイスをすると、直ぐに上達させた。先輩たちはこの時思った。彼らは噂に聞く力以上の魔法や知識があると……。

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