第十九夜 学校の悪党
四人のへの攻撃をシーガは鋭く考える。彼は、よく人間観察を行っており、人それぞれの行動パターンなどを記憶していた為であった。
せめて年末までは、人々が安全に暮らせるようにと四人は思った。そんなある日、ジェンはふと思った。
「クラスメイト達に護身術を教えてはどうでしょうか?」
「何で、いきなりそんな事を?」
ジェンの発言にソルが疑問をぶつける。
「私たちが教えて来たのは、実際武器以外で護身術の簡易的な物ばかりで、動く者に対しての訓練はやっていませんす。なので、それを練習して、皆さんに少しでも身を守れる事ができる様になってほしいんです。」
「確かに。いいかも!」
「俺も。ジェンちゃんの考えにさんせ~い!」
丁度、昼休みの後の授業は担任の都合で自習となっている為、その時間を利用する事にした。まず、クラスメイトたちを訓練所に集まらせ、説明を行い、まず、アンネとシーガに戦いの見本を見せてもらい。それからジェンはこう言う。
「おそらく、これから護身術というのが役に立つでしょう。今は人々の安全が優先される時なので、皆さんが少しでも身を守れるようにしたいと思いました。」
そして、ジェンは短剣術と斧術を、アンネは薙刀術を、ソルは槍術を生徒たちに丁寧に、武器の扱い方、利点と欠点、有効武器にする方法などを教えた。
すると、たちまち生徒たちは真剣に取り組み始め、苦手克服に励み自分の利点武器を選択して、極めて行った。
さらに、四人はクリスマスまでに間に合うように、一組のクラスメイトそれぞれの鞘と魔法鞄を休日の合間に作る事にした。
しかし、それを良くないと思う者たちがいた。彼らは四人だが、ジェンたちより一つ年上の二年生である。彼らは、ジェンたちに決闘を申し込んだのだ。ジェン、アンネ、ソル、シーガは断りたかったが、余りの脅迫にそれを断ち切る事ができず、数日後に行われる事となった。
数日後、休日の訓練所に四対四で試合コートの端に並ぶ。ジェンたちを見守ろうと学園の生徒たちは訓練所が一望できる場所にいた。そして、審判の掛け声が上がる。
「始め‼」
まず、作戦ではアンネ、シーガが先攻を行う。シーガは神器・ジャダクの力を七割に出力させて闇刃を四つ、アンネは鞘から杖を抜刀し、宝玉を三刃薙刀に変身させ光刃を二つ放つ。
相手の二人はジェンの予想通りに防御で攻撃から守るが、後ろにいた二人はアンネとシーガに向けて闇魔法弾を放って来る。アンネとシーガは上手く光防御で守り切る。
アンネとシーガの着地点の所でジェンとソルは合流する。
「大丈夫ですか?」
「うん。でも、ジェンの言う通りかもしれない。」
「こいつら、魔法を九割も出力させている。当たれば、とんでもない怪我に見舞われるぞ。」
なるほど……魔力を九割にさせて上から見下したいようですね。しかし、何故私たちなのでしょうか?私たちの技術を体得しているクラスメイトでもよいはずです。本当は、良くないですが……。
ジェンがそう考えていると、ソルがある提案を出す。
「二手に分かれよう。俺はジェンと右から、アンネとシーガは左をお願いしても良いか?そうすれば、戦力を引き離せる。だけど、あの四人のリーダー格の奴には特に気を付けろ。」
『OK!』
丁度その時に相手から雷光線が来たため、ソルの提案した通りに動く。すると、リーダー格の奴はジェンとソルの方に回って来た。好機と見たアンネとシーガは七割の魔力をフルで出し、相手二人と激しい戦いを繰り広げる。
ジェンとソルは右側で相手二人と見合いをする。ジェンは短剣を抜かずに、空手の構えを、ソルは杖の宝玉を槍に変身させ構える。
「お前、ジェンレヴィだったけな?」
リーダー格の少年はジェンに話しかける。
「何ですか?いきなり。それよりも、何故魔法を九割相当の魔力で友人に攻撃をしたのですか?理由を述べてください。」
「全く、頭の悪いねぇ。お前の友人は、忌々しいライリーの血族と吸血鬼の末裔だ。それだけだ。」
その言葉にソルはリーダー格の少年にこう問う。
「なぁ、先輩。要するにお前らは伝承に出て来る人物の子孫を探し、殺すのが目的なんだろ?」
「……フハハハハハ!面白い。俺の考えを当てる奴がいるとはな。あ、自己紹介をし忘れたな。俺は、ヴィルン。」
ジェンは確信ではないが、ヴィルにこう言う。
「もしや、あなたたちは……ハンヴィル教ですか⁈」
「あったり!でも、ここでお前らに止めを刺す‼」
ヴィルは、ジェンに斬りかかる。ジェンはソルに「もう一人を頼みます」と言った。ソルはもう一人と接戦を繰り広げた。
ジェンはヴィルの短剣の刃を避け続ける。
「おらおら、どうした!攻撃はしないのか⁈」
「こっちだって、負けていません‼」
ジェンは奴の短剣を捕らえ、奴の利き手の手首に蹴りをかまして短剣を奴の手から離す。それを受けたヴィルは少し悔しがっていたのか、風魔法弾を放つ。彼女は水防御で防ぐ。
“この威力は九割の魔力ですね。何て卑怯な事を!”
ヴィルは次に闇光線を放つ。ジェンも同じタイミングで光線を放つ。二つの光線がぶつかり爆発を起こす。
他のメンバーはアンネ、ソル、シーガが怯ませたが、ジェンとヴィルの戦いは激しさを増すような空気であった。
「自警団‼」
シーガがそう言うと生徒の中に紛れていたリティたちが訓練所に降り、怯んでいる三人を連行する。アンネとソルは予想外で驚く。
「シーガ君、どういう事?」
「実は、決闘を申し込まれた時にソル君が念のため、自警団の皆を呼んだ方が良いって。」
「ま、まぁな。」
ソルは少し照れくさく言うが、アンネは「たまにはやってくれるじゃない」と言う。しかし、こうしている場合ではない。アンネ、ソル、シーガ、リティたちは捕らえた三人を連れて安全な場所へ避難する。
ジェンは、真剣な表情でヴィルを見る。
「よくも……。なら、こうだぁ‼」
ヴィルがそう言うと闇魔法弾を放つ。
「きゃぁ‼」
「アンネ‼」
安全な所にいたアンネが正面から攻撃を受けてしまい、口から血を吐いて倒れてしまう。シーガは、怒りに燃える。
「お前ぇ‼」
「シーガ。ここは私に任せてください!」
「ジェン!」
シーガは、ジェンに反論しようとするが―
「私も怒りでいっぱいですよ‼‼早く、アンネの治療をお願いします‼」
ジェンは、今までにない感情を込めた声を挙げる。しかし、ヴィルはジェンを馬鹿にする。
「何が、怒りでいっぱいだぁ?短気だな。貴様みたいな女は嫌われる身だぞ。ガッハハッハ‼」
「……だ?」
ジェンは何かをポツリと呟く。
「あぁ?何て言った?」
ヴィルンは聞くと―
「……何が、嫌われるだ?こっちのセリフだ。」
ジェンの口調が変わった事に皆がざわめき始める。でも、これは彼女の猛反撃の始まりである事を…皆は知らない。
「お前、自分で何をしているか分からないのか?今までお前を友人としてクラスメイトとして接してきた者たちの事はどうするつもりだ?」
「……っ!」
「まさか、偽物の自分で演じて来たんじゃないだろうな?嫌われる事をしたのはお前じゃないか。」
「うるせぇ‼」
「図星だな。でも、お前はまだ迷いがあるんじゃないか?悪として生きるか、教団を裏切ってでも平和の道へ行きたいか。だが、これまでの罪は何にも謝罪なしか?友人を誘拐したのも、人斬りだってそうだろ?」
「……黙れぇぇぇぇ‼」
ヴィルはそう叫びながら、魔法弾をすさまじい速さでジェンに放つ。彼女は、ヴィルの攻撃を全てかわして、短剣を抜刀する。
"命を奪わずに……刃は薄傷を作る程度へ。少し落ち着かせるしかないですね‼”
ジェンは、ヴィルの魔法弾を短剣で斬り裂き、さらに短剣を振るって光刃を三つ放つ。奴に軽傷を負わせる。
見ていたリティはソルに「ジェンさんは何をしようとしているの?」と恐る恐る聞く。
「ジェンは彼を落ち着かせる方法を実行しているだけで……おそらく、――」
ジェンは、ヴィルを止める為に短剣を振るう。刃は、彼女の魔法で鈍寸前になっている為、傷しか作れないのを利用する。ヴィルはジェンに向けて、刃を連続で放つ。彼女は走って避け切り、短剣を持っていない左手でヴィルが放った炎光線と対抗し、水光線を放つ。炎光線と水光線がぶつかって爆発を起こし、煙を挙げ、訓練所を包み込む。
「……どこだ!………そこかぁ⁈」
「ぐっ‼」
煙が明けると大変な事になった。ジェンの左腕にヴィルが隠していた小型ナイフが刺さって、血が流れていた。ジェンは即座に距離を取り、小型ナイフを抜いた。傷は手首の方ではなく腕の真ん中ら辺に貫通していた。ジェンは出血を抑える為に治癒の魔法を発動しながら、右手を構える。
「左手を塞がれて憎いだろ?お前らには自由などない‼自由があるのは、この世界の創造主・ハンヴィル様である!それに、まだ他にも敵がいる!」
ヴィルの言葉は、どういう事なのだろうか。ジェンはまだ、諦めてはいない…彼女の瞳がそう告げていた。




