断章 激戦と恐怖
これはとある高校生の少女の夢である。
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とある神殿内に右腰に聖剣を携えた王子らしき少年と、左腰に短剣を携え左手に魔導書を持っている少女、いや、自分がいた。
「行くぞ、ジェン。奴を止めて奪い返せば、世界は救える。奴を倒して外にいる皆を助けるぞ!」
「えぇ‼ 勿論よ、ナイト。負けてはいられないわ!」
“ジェン? 私は梨穂だよ”
そう疑問に思う暇もなく、二人の正面に左手に魔導書を持った謎の男が現れる。ナイトは左手で聖剣を、自分は魔導書と短剣を構える。
「よくぞ、ここまで。だがしかし、我らの神・ハンヴィル様の復活は近いであろう。」
謎の男は、当然だとでも言う様に二人の前に立ちはだかる。
「そうはさせない‼ 俺たちがお前を止めて見せる。」
「そうよ、お前は私たちの手で‼」
「……小癪な。一生、抗えぬようにしてやる‼ はぁ‼」
謎の男は、二人に向けて闇魔法弾を放つ。二人は避けて、ナイトは右側から回って奴と接戦に入る。
自分は左側から回りタイミングを計って短剣から魔法を放ちナイトを援護する。
謎の男は、強力な闇の魔法を用いて攻撃を仕掛けて来る。ナイトは聖剣で攻撃するが、奴は避けて自分に闇刃で攻撃する。
自分は、光防御で守り、水刃で攻撃するが奴は姿を消し、瞬間移動してしまう。その時‼
「うわぁ‼」
「ナイト‼」
ナイトは、奴が瞬間移動した場所で放った闇魔法弾を受け、壁に打ち付けられ立ち上がるのに必死である。自分は助けるべく必死に彼の元へ走って行くと、奴は次に闇光線を彼に放つ。
自分は走りながら、掌を前に突き出し、光魔法弾を放ち闇光線とぶつけ、攻撃を阻止する。
「ナイト、大丈夫?」
自分は、治癒の魔法で彼が負った傷を癒す。ナイトはお礼を言い立ち上がり、再び聖剣を構え再び戦闘を開始する。
奴は闇魔法弾、闇刃、闇光線を仕掛けるが、二人に防御で守り避けられ、攻撃ができず焦り始める。
接戦で戦う彼と同じ様に、自分も接戦に挑み奴の体に刃を刻む。
「おのれぇぇ‼」
奴は力、体力を奪われ瀕死状態に陥る。自分と彼は、チャンスと見込み一斉に攻撃を仕掛ける。
「終わりよ‼」
「絶対に負けん‼」
自分は身に付けていたペンダントと短剣の金剛を、ナイトは聖剣の鍔にある金剛を青白く光らせ―
『おぉぉぉぉぉぉ‼』
自分たちは叫びながら奴の体に刃を思いっきり刻み込んだ。血飛沫が舞い、奴は悲鳴を上げて倒れ禍々しいオーラを放ちながら塵一つ残らず消えた。
その事を確認したナイトは聖剣を鞘に納め、神殿の奥…毒々しい泉の中央にある宝玉の台座に置かれた手のひらサイズの青月長石。
その宝玉を浮遊魔法で自身の手に戻し、胸元にあるペンダントにはめ込んだ。
「よし。ジェン、急いで戻るぞ!」
「うん。」
彼は出入り口の方へ走って行くが、自分は何かに操られるかのように禍々しい泉の方へ行く。彼は出入り口の近くで自分がいない事に気付き、足早に引き返す。
「ジェーン‼」
彼の呼ぶ声が遠くに聞こえ、自分は毒々しい泉へ入り始めていた……。
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この夢を見たのはジェンと呼ばれていた彼女、野田梨穂が十六歳の頃。何とも不思議な夢で鮮明で現実に起こった様な感覚で、恐怖のあまり目を覚ました時は冷や汗をかいていた。
梨穂は不思議に思いつつも、高校生活二年目へと歩み始めた。その矢先、悲劇が起きようとしていた。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
今後も物語を描いて行きたいと思います(※投稿の遅れはすみません)
まだまだ、学ぶ事がたくさんあると思いますのでアドバイス、感想や意見をくださると嬉しいです。
今後、よろしくお願いいたします。