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1時間待っても、誰もログアウトしない……。
くそっ、はしゃぎやがって!
子供はもう寝る時間ですよ!
いや、実際の時間がどうなってるか知らないけどさ。
「ねぇ、何してんの? ストーカー?」
「誰がストーカーだよ!」
「いや、ずーっとそこに居て、ログインするプレイヤーを見てるからさ。
てっきりストーカーかな~と」
「違うよ! ログアウトする人を見ようと思ってるの!」
「はぁ?! 何で?!」
「……いや、……その」
「やっぱり人探し、いやストーカー?!」
「違うっての! ログアウトの仕方が判らないからだよっ!」
あっ、思わず言ってしまった。
というか、誰? 頭の上の△はプレイヤーという事を示してるが。
「……えっと。どうして知らないか、聞いても良いかな?」
「その前に。誰? 何? そう言えば俺がずーっとここに居る事を知ってたな。
もしかして俺のストーカー?」
「違うわっ! 1時間前に通った時に見かけて、戻ってもまだ居たから。
ちょっと気になって話しかけたの!」
「気になったって……惚れた?」
「男が男に惚れるか!
運営に通報する必要があるかと思ったの!」
「何で通報?!」
「だからストーカーかと思ったから」
「だから違うって! 通報するなよ?」
「しないしない。で、何でログアウトが判らないのさ?」
「チュートリアルとかすっ飛ばしたから」
「へ?」
「チュートリアルとかすっ飛ばしたから。ついでにキャラ作りとかも適当にしたから。
もっと言えば、VRとか初めてだから」
「……」
絶句すんな!
良くある事だろうが!
「あのさ……ポーチを開いて、チュートリアルすれば良いじゃん」
「それはダメだ」
「何で?!」
「それは負けだ!」
「意味が判らない!!」
「何にも頼らずにプレイするから面白いんじゃないか。
色々な発見があるぞ?」
「いや、発見する前に死にそうだけどな」
「……もう1回死んでる」
「はぁ?! 何やってんだ?! 待てよ、チュートリアルをしてないって事はレベル1か?!」
「ん? どういう事だ?」
聞けばチュートリアルは、画面の見方やポーチの使い方を教えるだけでは無いらしい。
実際の戦闘までして、レベル3になるそうだ。
その中にはパーティーの組み方や戦闘方法まで親切に教えてくれるようだ。
「な? だからチュートリアルしとけって」
「だが断る!」
「頑固だな! はぁ、まぁいいや。頑張れよ」
「待て。もう少し教えてくれ」
「おいおい。習うのはNGじゃないのかよ?」
「親切な人から話を聞くのはOKだ!」
「基準が判らん!!」
何でだよ。簡単じゃないか。
ゲームの親切な説明はNG、攻略方法とかを書いた掲示板や本もNG。
他人から聞くのはOK。ほら、友人とかと一緒に攻略方法考えたりしただろ?
「俺、友達じゃないし」
「良いじゃないか! な~、教えれてくれよ~、頼むよ~、首おいてけよ~」
「最後のは何だよ! 妖怪かよ!」
「な~、頼むよ~」
「……はぁ。変なのに捕まったなぁ……。
しょうがねぇ。個人クエストって事で受けてやるよ。
クエスト出しな」
「個人クエスト? クエストを出す?」
「……そこも知らないのか。って当たり前か。
筆記用具を出して、紙にクエストって書くんだよ」
「持ってないけど?」
「買ってこい!!」
道具屋まで走る事になった。
今買ってくるからな! 逃げるなよ!